1年生のコタローくん。
年長さんだったコタローくんは、
言葉によるコミュニケーションがうまくいかず、
じっとしているのが苦手でした。
楽しくなるとテンションが上がり、
いつでもどこでもピョンピョン飛び跳ねたり大きな声に。
レッスン中に遊びたくなると「せんせい、もうかえってー」と。プハハ!!
それがコタローくん
小学校入学を半年後に控え、コタローくんのお母さんは
日常生活をなんとか円滑に過ごせるくらいになって欲しいと、
毎日懸命のご様子でした。
無事に特別支援学級で入学を迎えたコタローくん。
学校が楽しくて仕方ない様子が、ぐりさんには伝わってきていました。
レッスンも安定してきて、見違えるほどの落ち着きと集中力とともに
成長著しかったコタローくんが、
いつの日からか、そわそわして、
キーキー言うことが多くなってきたことがありました。
どしたんだろ・・・
前の週にお母さんからこんな話を聞いていました。
「この前、あんまり聞き分けがないから、
お母さんは知らん!もう出て行くからね!
って言って、玄関から出て行く振りしたんです。
フツーなら、泣いて追いかけてくるのかなぁーと思うけど、
振り返ったらこの子 ドアのところでキョトンとして立ってるだけなんです。
あー、そういうことなのかぁーと思ってですねぇ」
お母さんのの切なさ、やるせなさ、虚しさ、はがゆさ、ご自身を責める気持ちが
全身から痛いほど溢れていました。
思い当たることがあります。
毎週「こんにちはぁー♪」と玄関のドアを開けるたび、
ピリピリした空気と同時に
「ホラ!真面目にしなさいっ!こんにちは言った?
靴を揃えて!きちんとしなさい!☆※◆◎△#!!!」
あーらら、お母さんどうしたのかなと感じるようになった頃から、
コタローくんのキーキーは始まっていたのでした。
入学してから、やっぱりコタローくんだけが
みんなと違う行動をしてしまうことの連続。
先生から注意をされたり、お友達からからかわれたり、
けなされたりドン引きされている衝撃の場を目にする毎日。
コタローくんのお母さんは一人で抱え込んで、
孤独に頑張って、頑張りすぎて、
すっかり追い詰められていたんだね。
帰り際に玄関先でお母さんとハグすると、
堰を切ったように涙が溢れてとまらないお母さんでした。
今までも、いろいろ思い悩むことはたくさんおありだったでしょうが、
初めて発達障害という現実を痛感なさったのかもしれません。
今のお母さんのは心の中はどしゃ降りでも
そのうち虹がかかると・・・いいな。
レッスンがもちろん大切だけど、
やっぱり一番大切なのは お母さんの笑顔。
コタローくんは、この1年で驚くほど伸び、
多くの可能性と明るい未来への希望を手にすることができました。
ずーっと1本指で弾いていたピアノ。
場所が覚えられない、模倣が難しい、
指がバラバラに動かないコタローくんは、
1年間これで弾いていました。
スタイルなんてどーでもいいのさ。
そして1年経って最近、5本バラバラに動かせるようになりました!
「今日 はしっこの指まで使った!」って
嬉しそうにお母さんに報告してました。
両手の日は近いゾ!
コタローくんが作ったガネーシャは、
必ず願いを叶えてくれるよ♪
夏に沖縄を旅して初めての海を体験したそうです。
ぐりさんには赤いシーサーを選んでくれました。
ありがとう♪
「なんかね、水の浴び方が
みんなとチョット変わってるんですー、うちの子!アハハハ」
そう笑って話してくれるお母さん。
少し元気になったようで嬉しくて。
ぐりさんは、いつも応援しています。
福岡ぐりむ療育とピアノと学習の教室です。別ブログやXの過去記事にコメントを加筆して書いていっています。
2010年の記事です。
ぐりさんが出張レッスンもお受けしていた頃です。
まだ自閉や発達障害については全然情報が得られず、
お母さんたちにとって、療育ってなにそれ?という時代。
ですが、誰に相談していいのか、何をどうすればいいのか
お母さんが お一人で抱え込んでいらっしゃるのは
こんなに情報過多になった今も変わっていないのかも。
検索で手軽に情報を得られますがね。
何をやるか
は、もちろん大切ですが
何をしないか
は、もっと大切なのです。
あれま、その程度でいいの?と思うことはたくさんあります。
どんな集団の中で『できる、わかる、やっている』といっているのかな
どんな人たちから『できる、すごい』といわれているのかな
成績という数値には必ずしも結びつかないこともありますが、
社会に出て適応するチカラ、生きていくチカラは強く太く
と考えています。
ご理解の深い親御さん方に感謝しています。
ファイトなのだ。
伸びろっ