「会社はこうして潰れていく(帝国データバンク情報部編)」読了。
サブプライムローン問題に端を発した「100年に一度の津波(グリーンスパン前FRB議長)」が押し寄せて未曾有の金融危機が始まった2008年12月に、大手信用情報機関の帝国データバンクによって編集された書である。各企業ごとの倒産に至ったプロセスが簡略化して記されており、読みやすかった。以下に興味深かった点を引用する。
・近年の企業倒産の大きな要因は「原材料高を価格に転嫁できなかったため」「コンプライアンス(法令遵守)を軽視したため」「粉飾決算により信用低下を招いたため」である。
→これらのどれもが社会問題化されたものである。1つ目の、「原材料高を価格に転嫁できない」という点は企業や業界の力関係(売り手市場か買い手市場か)によるだろう。本書では運輸業、建設業、印刷業などがこの要因により倒産に至ったと説明しているが、一方で飲食業などは平気で価格転嫁してくる。私が大好きなラーメン屋、毎日ランチに通うレストランは小麦粉の高騰を理由として昨年末から価格アップした。「値段が高いからその店には行かない」という訳にはいかず、リピーターとして通う私。しかし、それを小遣いアップには転嫁できず、ジリ貧となるのである(笑)。
・ゼネコン業界は、「公共事業の縮小」「供給過剰」「脱・談合」「原材料高」「改正建築基準法」「不動産不況」の六重苦にあえいでいる。
→企業とは結局、他力本願であるという事実をあらためて感じさせてくれる。上記6点はどれもゼネコン各社の内部的な問題というよりは、周囲の環境変化によるものだからだ。もちろん、公共事業の縮小などはそれに依存する戦略・体制が問題ではあるのだが。
・2008年10月に倒産した大和生命保険の2008年3月期のソルベンシー・マージン(保険金支払余力)は555%を確保していた。それが、含み益の減少、危険準備金や価格変動準備金の取り崩しによって、9月末では26%へ急低下した。
→ソルベンシー・マージンは200%あれば生保経営の健全性には問題がないとされている。555%が26%へ急低下した状況は尋常ではない。高コストの保険事業を高利回りの有価証券運用で補填する特異な収益構造が倒産の主たる要因であるという。2008年のリーマンショックを契機とした株価暴落と無関係ではあるまい。ハイリスク・ハイリターンの失敗例の象徴たるものだ。
・急速に事業拡大を図る企業の「身の丈」や「リスク評価」には改めて注意したい。
→人も企業も「身の丈」に合わない行動は慎むべきである。ベンチャー企業にもかかわらず、一等地の家賃が高額な場所にオフィスを構えたり、事業を急激に拡大・多角化したりするなどの例が最たるものである。足腰の弱いランナーが全速で走り続けても、早晩息切れするか故障するのは自明の理なのだ。
・人は欲望におぼれると隙ができる。反社会的勢力は、そこを巧みについてくる。一方で、欲望が経済発展の原動力であることも事実である。日本が法治国家である以上、法律を遵守しながら経営するのは当然だ。欲望をいかにコントロールしていくか、これが経営の肝要であろう。
→この論理は経営のみならず、個人が生きていく上でも当てはまるものである。欲望とまではいかなくとも、人は欲求があるから成長する。しかし、欲求におぼれ周りが見えていないと道を外すことになりかねない。気をつけよう。
[緊急版] 会社はこうして潰れていく
著者:帝国データバンク情報部
販売元:中経出版
発売日:2008-12-25
おすすめ度:
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サブプライムローン問題に端を発した「100年に一度の津波(グリーンスパン前FRB議長)」が押し寄せて未曾有の金融危機が始まった2008年12月に、大手信用情報機関の帝国データバンクによって編集された書である。各企業ごとの倒産に至ったプロセスが簡略化して記されており、読みやすかった。以下に興味深かった点を引用する。
・近年の企業倒産の大きな要因は「原材料高を価格に転嫁できなかったため」「コンプライアンス(法令遵守)を軽視したため」「粉飾決算により信用低下を招いたため」である。
→これらのどれもが社会問題化されたものである。1つ目の、「原材料高を価格に転嫁できない」という点は企業や業界の力関係(売り手市場か買い手市場か)によるだろう。本書では運輸業、建設業、印刷業などがこの要因により倒産に至ったと説明しているが、一方で飲食業などは平気で価格転嫁してくる。私が大好きなラーメン屋、毎日ランチに通うレストランは小麦粉の高騰を理由として昨年末から価格アップした。「値段が高いからその店には行かない」という訳にはいかず、リピーターとして通う私。しかし、それを小遣いアップには転嫁できず、ジリ貧となるのである(笑)。
・ゼネコン業界は、「公共事業の縮小」「供給過剰」「脱・談合」「原材料高」「改正建築基準法」「不動産不況」の六重苦にあえいでいる。
→企業とは結局、他力本願であるという事実をあらためて感じさせてくれる。上記6点はどれもゼネコン各社の内部的な問題というよりは、周囲の環境変化によるものだからだ。もちろん、公共事業の縮小などはそれに依存する戦略・体制が問題ではあるのだが。
・2008年10月に倒産した大和生命保険の2008年3月期のソルベンシー・マージン(保険金支払余力)は555%を確保していた。それが、含み益の減少、危険準備金や価格変動準備金の取り崩しによって、9月末では26%へ急低下した。
→ソルベンシー・マージンは200%あれば生保経営の健全性には問題がないとされている。555%が26%へ急低下した状況は尋常ではない。高コストの保険事業を高利回りの有価証券運用で補填する特異な収益構造が倒産の主たる要因であるという。2008年のリーマンショックを契機とした株価暴落と無関係ではあるまい。ハイリスク・ハイリターンの失敗例の象徴たるものだ。
・急速に事業拡大を図る企業の「身の丈」や「リスク評価」には改めて注意したい。
→人も企業も「身の丈」に合わない行動は慎むべきである。ベンチャー企業にもかかわらず、一等地の家賃が高額な場所にオフィスを構えたり、事業を急激に拡大・多角化したりするなどの例が最たるものである。足腰の弱いランナーが全速で走り続けても、早晩息切れするか故障するのは自明の理なのだ。
・人は欲望におぼれると隙ができる。反社会的勢力は、そこを巧みについてくる。一方で、欲望が経済発展の原動力であることも事実である。日本が法治国家である以上、法律を遵守しながら経営するのは当然だ。欲望をいかにコントロールしていくか、これが経営の肝要であろう。
→この論理は経営のみならず、個人が生きていく上でも当てはまるものである。欲望とまではいかなくとも、人は欲求があるから成長する。しかし、欲求におぼれ周りが見えていないと道を外すことになりかねない。気をつけよう。
[緊急版] 会社はこうして潰れていく著者:帝国データバンク情報部
販売元:中経出版
発売日:2008-12-25
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