「宇喜多の捨て嫁 (木下昌輝著)」読了。

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戦国~安土桃山時代の宇喜多と言えば、豊臣秀吉に指名された五大老の1人である宇喜多秀家がメジャーである。

本作品の主人公はその宇喜多秀家の実父、宇喜多直家の話。大河ドラマ「軍師官兵衛」を観ていた方は、陣内孝則が演じていた姿を思い出してもらえればいい。

さて、この宇喜多直家、数多くの作品で「奸雄」と表現されており、智略、謀略の限りを尽くすという印象を持っていた。

実際、本作品を読み始めるとその通り。娘の婿などを次々に油断させて暗殺したり攻め滅ぼしたり。果ては妻をも死に追いやったり。こういう作品を「ピカレスク小説」というらしい。

が、読み進めるにつれて、それはやや認識誤りであることに気付かされる。

どの事件も、宇喜多直家が否応無しに追い込まれて行ったものである、と。つまり、宇喜多直家は奸雄でもなんでもなく、戦国時代における悲劇の英雄なのだと。

まぁ小説なので、著者によって独自の解釈や色付けが行われているのだろうが、読者に宇喜多直家英雄説を信じこませてしまうことが出来るのは著者の力量なのだろう。

この作品を念頭に置きながら、宇喜多直家が登場する歴史小説を再読すれば、また違った楽しみが出来るかも知れない。

宇喜多の捨て嫁
木下 昌輝
2014-10-27