「クライマーズ・ハイ(横山秀夫著)」読了。

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先月、この映画を観たのだが、俳優陣の豪華さもあってそこそこ楽しめたのと、意味不明な伏線を原作を読むことで回収しようと手に取ってみた。

社会派小説作家である横山秀夫作品は7年前に読んだ「半落ち」以来。本作品も「半落ち」同様、社会人として生きる人間の内面がしっかりと描かれており、読み応えがある。

特に主人公の悠木和雅の屈折ぶりが凄い。少年時代の母親の暗い過去を40歳を越えた今も引きずり、父親が居なかったことで息子とも上手く向き合えずその後も数十年経過したり、自分に付いた部下を交通事故で亡くしたことに罪悪感を感じ続けたり。

でも、映画版で日本人親子が米兵男と映画を観るシーンが伏線として理解出来なかったところ、これが主人公の少年時代のトラウマとして残っているのかな、と腑に落ちた。映画版では、「そんな辛い少年時代の出来事だったが、その時観た映画で新聞記者を志し、『チェック、ダブルチェック』のフレーズが自分の仕事観として植え付けられた」という描き方をしたかったのだろう、たぶん。

あと、映画版ではやたら「大久保連赤」のキーワードが飛び交っていたが、この原作を読んでようやくイメージが出来た。要するに、自分の仕事の武勇伝を後生大事に抱えてそこで進歩が止まってしまうことに著者は警鐘を鳴らしているのである。たまたま関わったその仕事をいつまでも引きずり、事あるごとに武勇伝として盛り、後輩や部下に煙たい顔をされても気付かず、それ以上仕事を進化させていくことを怠り、後輩や部下がそれ以上の仕事をしようとすると羨む、というもの。どこの職場にもそういう奴はおり、私の社内でも例外ではないのだが、私もそれに陥らないよう気をつけねば。

とまあ、得るものが多い作品だったと思う。横山秀夫作品は今後も読みたいな。