「うまい話あり(城山三郎著)」読了。

久しぶりの城山三郎作品。タイトルに惹かれて手に取ってみたのだが、かなり面白かった。
一流製鉄会社で主流から外れたサラリーマン津秋が、友人からの誘いに乗り、アメリカ資本の石油会社が募集するガソリンスタンド経営者に転身する、という話。
タイトルは「うまい話あり」なのだが、実際はそうではなく厳しい現実と向き合うことに。
アメリカ式の合理的な経営という大義名分の下に割高な仕入れや家賃を強制され、小役人のような指導員に嫌味を言われ、従業員からは飼い犬に手を噛まれるような仕打ちを受け…。
ま、これが経営者の現実なのだろう。一国一城の主になりたいと願って、例えばコンビニのオーナーになっても運営会社からは高い権利金を取られるし、建築会社を興しても元請企業の顔色を伺ってばかりいなければならないし。結局、サラリーマンが独立開業しようとも、新たな強者の傘下に入ることになるだけなのだ。うまい話などないし、世の中そんなに甘くない。
サラリーマンには不満がある一方で、経営者には不安があるとはよく聞く話。どちらなら耐えられるかと聞かれれば、私は不満かな。そう言う意味で、私は経営者向きではなくサラリーマンになるべく生まれたのだ。娘には先日、「サラリーマンはトイレに行っている時間さえもカネになる」と教えたばかり。
経営者に憧れる方、うまい話に飛びつきそうになっている方などは一度本作品を読んだ方がいいと思う。
本作品について1つ言わせていただくならば、正月に妻子が車に轢かれて妻が記憶喪失になる、というくだりは要らない。あくまで普通の経営者の苦しみだけで勝負して欲しかったな。
本日は刈谷でヤボ用。

刈谷は2010~2011年に2年間勤務した想い出の場所。その後も年に1回は刈谷児童遊園に娘を連れて行っているので私にとって関わりの深い街。訪問先までは駅からバスなのだが、何とバスが無料。しかも結構な本数。さすが、デンソーやらアイシンやら織機やら紡織やらトヨタ系大企業の城下町だけはある。税収で潤っているのだろう。
ヤボ用後は古巣も訪れた。昔お世話になった方々とも旧交を温められて良かった。
