「日本人が知らない! ユダヤの秘密 (佐藤唯行著)」読了。
現在、「不毛地帯(山崎豊子著)」を読んでおり、中東情勢絡みでユダヤビジネスが数多く登場しているため、その理解への助けとなるだろうと読んでみた。
今までユダヤについては、迫害の歴史、ホロコースト(ナチスドイツが第二次大戦中に行った大虐殺)、イスラエル、パレスチナ問題等で新聞やニュースで触れてきたくらいであるが、ユダヤ人の優秀さやユダヤビジネスの成功など随所で耳にするため、従来から興味があったのだ。

以下に、興味深かった点を抜粋してみたい。

・ユダヤビジネスには低価格普及品に特化した戦略がある。その代表がマイケルデルが設立した世界屈指のPCメーカー「デル社」である。「顧客は最新最高の機能の機種を求めている」というPC業界の常識を覆し、「低価格で、そこそこの性能の機種の方が多くの顧客に支持される」と考えた。そこから到達したのは「独自技術の開発に大金を投じるのは無駄遣い」という判断である。同じ発想は、後発医薬品(ジェネリック)業界でも見られる。
→蛇足かもしれないが、デルはアフターケア対応の顧客満足度が低いと良く聞く。これも意図した戦略なのだろうか…。

・ユダヤビジネスには「他人が見落としたモノの中に埋もれた価値を見出す」という手法がある。「男の子は人形で遊ばない」という当時の玩具業界の常識にとらわれず、ハッセンフェルド兄弟は手足が動く、男の子向けの兵隊人形を1963年に発売した。これがG.I.ジョーだった。
また「女性のあるべき姿は、子を産み育てる母親である」という男社会の偏見に染まっていたため、「幼い女の子は、あどけない顔立ちの赤ちゃん人形で遊ぶもの」という同じく玩具業界の常識があったが、本格的な女性のキャリア志向が始まる中、キャリアウーマンという新しいコンセプトに基づく人形、「バービー」が誕生した。
→G.I.ジョーもバービーもワスプ(北西欧系の白人プロテスタント)の色が濃い印象があったが、ユダヤビジネスだったとは意外である。

・隙間産業を発見するのもユダヤビジネスの傾向である。「アメリカ人にはイタリア人のように洗練されたコーヒー文化を楽しむことができない」という業界の常識があったが、1980年代にハワード・シュルツはシアトルでイタリアのカフェラッタ方式のコーヒー店を始めた。これが世界最大手のスターバックスの誕生である。
→スタバもユダヤビジネスだったとは。スタバでお茶する日本人で、それを知っている人は多くないだろう。

・ユダヤ教を母体として生まれたキリスト教とイスラム教は世界の宗教人口の54%を占めているが、ユダヤ教はわずか0.2%。多くの信徒を獲得できなかった理由は3つ。第1は異教徒に向かって積極的に布教して信徒獲得をめざす伝道宗教ではなかったため。第2は西洋キリスト教世界における900年近い反ユダヤ主義の歴史のため。第3は、ただひたすら祈れば神に近付けるキリスト教やイスラム教と違い、教典学習の宗教のため難しい教典を学習しなければならず、学習不適格者には向かない宗教であるため。

・ユダヤ人はノーベル賞受賞率は群を抜いているが、優秀である理由はいくつかある。環境説や遺伝説など諸説入り乱れるが、有力視されだした言説が「職業選択説」。9~10世紀、ユダヤ人が西欧、中欧へと定住し始めてから、ユダヤ人の職業は金融業・商業に限定されていた。その限定の中で知力が磨かれたというもの。

日本人が知らない! ユダヤの秘密 (雑学3分間ビジュアル図解シリーズ)日本人が知らない! ユダヤの秘密 (雑学3分間ビジュアル図解シリーズ)
著者:佐藤 唯行
販売元:PHP研究所
発売日:2009-04-21
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