「その数学が戦略を決める(イアン・エアーズ著 山形 浩生 訳)」読了。
本日の読書勉強会の課題本。久しぶりに(私にとっては)難解な書だった。まずタイトルに圧倒された。数学は超文系の私が最も苦手な科目。高校二年生時に進路を私立文系に決めてから、まともに数学を勉強したことがない(それまでもあまり勉強していなかったが)。なので、本書の類は最も避けて通っていたのだ。まぁ、課題本ならば仕方ない。読了せねば参加資格がないのだから。
そう思って読み始めたが、序章のワインの値段を方程式で予測する、という話は意外に面白く、引き込まれていった。野球のスカウトの話もよく理解出来る。
が、章が進むにつれて話は難解になり、中々理解出来なくなってしまった。引用される企業の例示がアメリカのものであり、普段接点がないためかイメージが全然湧かないのだ。

私自身にあてはめてみれば、私も企業のデータ戦略に組み込まれている。例えばTカード。TSUTAYAレンタルはしていないが、私という人間が、いつ、どこでコーヒーを飲み、ガソリンを入れ、コンビニで買い物をするかがデータ化されている。ポイントが貯まるからと、喜んでカードを使用しているが、どんどんデータが蓄積されているのだ。100円の買い物で1円のポイントという餌に、私を始め多数の消費者が自身の行動パターンを企業に売っていることになる。そう考えると薄ら寒いものを感じる。最近、東海地方で始まったマナカも同様。今のところ弊害は見つけられないので、目先のポイント稼ぎのためカードは使うつもりだが。

本書では絶対計算と専門家を敵対させ、絶対計算に軍配を上げさせているが、私の意見としては絶対計算の有効性は認めるものの、専門家のいわゆる目利きも大切にすべきだと思う。世の中の現象をデータ化し、計算式にあてはめることによって効率化が図れるのだろうが、永年の経験による専門性というのは無形財産である。
回転寿司と職人が握る寿司を比べれば一目瞭然である。回転寿司にすることにより、売れ筋商品を中心に在庫を揃え、機械が作ることによって時間と人件費を節約出来る利点はある。機械さえ改良すれば職人の握る寿司に比肩する寿司を作れる場合もあるかもしれない。しかし、そこには握る職人とそれをいただく顧客との間の暖かい空気、間、といったものはない。顧客の好みに応じてネタやシャリの大きさを調整したり、出す順番を工夫したりといったこともない。
いわば、本書はアナログとデジタルの闘いを説いているものであると思う。

勉強会では初めてファシリテーターを任じられたため、司会・調整を行った。
こうした任務は私、得意なほうであるが、内容が内容だけに盛り上げ方が難しい。私を含めほとんどのメンバーが世の中のデータ化や数値化に少なからず嫌悪感を抱いていたが、主催者の方がやや厳しめの鋭い論点を述べてくださり、色々考えさせられた。
主催者の方の論点は
「絶対計算が我々のロマンチックな部分を侵食してくることに抵抗しても仕方がない。絶対計算が届かないところに人間の尊厳を見るならば、我々がすべきことはむしろそのポイントをクールに探すこと。人間性やヒューマニズムというものにロマンチックな幻想を抱くことこそ、実は危険」
というもの。
私は、どちらからと言うと幻想を抱く傾向にある。いわば保守派なのだろう。自身の領域(例えば仕事等の)を侵されることに嫌悪感と恐怖感を抱く側の人間。その辺をクールに捉えないと今後生き残っていけないことは分かるのだが…。
その数学が戦略を決める (文春文庫)その数学が戦略を決める (文春文庫)
著者:イアン エアーズ
販売元:文藝春秋
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無事、会は終了し、鶏料理のお店で二次会。
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この会に参加すると、自分の思考力をもっと上げなければならないと痛感させられる。次回も参加できるようにしたい。