「不毛地帯 第3巻(山崎豊子著)」読了。

いよいよ後半突入である。

主人公:壱岐正は、愛妻を不慮の事故で亡くした後、アメリカ近畿商事(伊藤忠商事がモデル)社長としてニューヨークへ赴任する。そして千代田自動車(いすゞがモデル)とフォーク(フォード)との提携斡旋の闘いを繰り広げる。

結果は東京商事(日商岩井、現在の双日がモデル)の鮫島に東和自動車(マツダがモデル)との提携という形で持って行かれて敗北してしまう。東京商事との闘いは、防衛庁の次期戦闘機選定では勝利したものの、今回は負けてしまう。

壱岐正はその後専務取締役にまで昇任するのだが、これを周りのプロパーの人間から強い反撥を受けてしまう。その最右翼が里井副社長であり、本作品においては壱岐をベビーフェイス、里井をヒールという形で構成されていく。しかし、私にとって里井の仕事への姿勢には充分に感銘を受けた。出張先のアメリカで心臓発作を起こし入院するのだが、一部の者を除き周りには隠ぺいし、あくまで健康体を装いながら仕事を続けるのである。これは、新参役員である壱岐への対抗心も確かにあるのだが、自らの仕事は自らの手で全うしたいというプロ意識を見て取れる。私からすれば「大企業のナンバー2にまで君臨したのだから、もう十分ではないか」などと思ってしまうし、私がもし心臓発作など起こしたならば、心筋梗塞などを心配して弱気になってしまうだろう。そこまでして成し遂げたい仕事がある里井はある意味幸せ者と言える。

こうした経済小説を読むと、仕事の活力が漲ってくるから不思議である。とてもとても小説の登場人物のような高いレベルの仕事はできないものの、仕事に対する姿勢は見習いたいものだ。
不毛地帯 (3) (新潮文庫)不毛地帯 (3) (新潮文庫)
著者:山崎 豊子
販売元:新潮社
発売日:1983-12
おすすめ度:4.5
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本日の中日新聞朝刊1面に「中国人実習生は『過労死』 長時間労働、初の労災認定」の記事が躍っていた。

引用↓
「日本の技術を学ぶために外国人研修・技能実習制度で来日し、技能実習生として金属加工会社:フジ電化工業(茨城県潮来市潮来)で働いていた中国籍のジャンシャオトンさん=当時(31)=が2008年に死亡したことについて、鹿嶋労働基準監督署は違法な長時間労働による「過労死」と判断し、労災認定することを決めた。遺族側の代理人弁護士によると、外国人実習生が過労死で労災認定されるのは初めて。」


外国人研修生や技能実習生が日本企業に食いものにされているという実態が、近年後を絶たない。労働基準法上の労働者か否かで各種労働法や社会保険関係の適用対象から外れるというケースが起こりうるからである。

もし労働者でなければ各種規制はほとんどなく、低賃金・長時間などという劣悪な労働条件を強いられることになってしまう。この兆候は諸外国からの評価を落とすものであり、今後国際化の波が更に押し寄せる日本にとって、明らかに負の遺産である。

各企業や業界の「自分さえ良ければいい」という姿勢が中長期的に自分の首を絞めることになることを認識すべきなのだ。

これまでは来日から1年間の「研修」では労働関係法令が適用されなかったが、各地でトラブルが多発したため政府はようやく重い腰を上げ、この7月に入管難民法を改正し、日本語研修など座学講習を2カ月受ければ、労働関係法令の適用対象となった。
日本人が、外国人に対して堂々と自国を誇れるためには、一つ一つの施策が大切なのだ。