「先生。俺さ、大人と子供って何が違うんだろうって思うんだ」
「おいおい。急にどうしたっ。まさか、先生がカッコ良過ぎて早く大人になりたいとか思っているんじゃないだろうな。これは、僕だからカッコいいんであって…」
「ちげーよ。クソ」
「…うむ。で、どうした。誠也」
「思ったんだけど。知識はあるけど大人も子供と変わらないじゃないかってさ。」
「ばっかやろう。先生はな、誠也の2倍も生きて、4倍も経験して、8倍も賢いんだぞっ」
「うっせーんだよ」
「ごめん、ごめん。つい、冗談をね。はっはっはっ」
「いや。だからさ、大人は知識も経験も持ってるけど、行動の本質的な部分は俺ら子供と変わらないんじゃないかって」
「ふーん。例えばどんなところだい」
「まあ、先生は十分良い例だと思うけどさ」
「オーーイッ。なんかおかしいぞーぅ」
「それはまた違う話だけど。うーん、上手くいえないなぁ。例えば、大人は悪さをすると子供を叱るけど、大人だって悪いことはするじゃない」
「そうだね。先生だってまだ未熟だ」
「それは、知ってるけど。経験を積んだ大人が子供を叱ることはいい形式だとは思うよ。だけど、全てが完璧な訳じゃない。大人だって叱られるべき所はあると思うんだ」
「誠也よ。警察というところがあってだな。大人は悪さをすると…」
「聞いてねえよ。そういうことじゃねえよ」
「はっはっはっ。そりゃ、失敬」
「大人ってさ、子供に注意されるの嫌うでしょ。自分たちはムダに注意するくせにさ。自分の方が子供よりすべて勝っていると思ってるよ」
「そりゃ、もちろん僕に関しては誠也とくらべてすべてで勝ってるよ。他の大人は知らないけど」
「あぁん」
「がははっ。ジョーク、ジョーク。…そりゃ、大人のプライドってもんさ。自分よりも人生経験の浅い人に叱られるとムッとしてしまうんだよ」
「そこだよ。プライドとかさ、そういう本質的なところ。大人もたいしたことないなって思う」
「良い所に気がついたな」
「何も考えずに17年間生きてきた訳じゃねーんだよ」
「どうせ、考えの半分は女の子のことだろっ。いや、先生もそうだったよ。女っていいよな。カワイイし」
「先生と一緒にすんな。教え子をイヤらしい目で見てんじゃねえだろうな」
「なにっ、紳士にたいして失礼なっ」
「とりあえずだ。人生長く生きているからって人を叱ることは出来ないとおもうんだ。いくつになろうと人間って未熟なことがあってさ。」
「ほう」
「そりゃ、様々な経験を積んで色々と分かってきただろうよ。でも、人を叱れるほど大人って偉いのか。ある程度まで育てたら、子供を導くことしか出来ないんじゃないか。」
「んー、その通りかもしれないね。我々だって子供から学べることはたくさんあるし」
「うん」
「大人だからって上から見ていないで、子供と同じ目線で見ていかなきゃいけないんだろうな」
「それが言いたかった。大人も子供も同じ人間。お互い未完成なんだから、同じ目線でモノを言って欲しいよ」
「誠也はなかなか賢いんだな」
「それは、どうも……」
「ププッ、きっめーっ、こいつ褒められて照れてやがるっ。はっはっはーー。やっぱりガキだなっ」
「チッ、あぁん。ガキはテメーだぁっ」
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