君の方から話しかけてくれるなんてめずらしいじゃないか。
うん。
どうしたの。
私、将来の夢をみれないの。
へぇ、どうしてだい。
夢に限らず、明日のことも分からないもの。
僕も、分からないさ。きっと、誰もがそうだよ。
そうかな。
うん。
でも、あなたは夢を持っているんでしょう。
んー…。あは。まあ、持ってるね。
なによそれ。
でも、夢が持てるようになったのは最近だよ。
…ふーん、夢が持てない事もあったのね。
僕はイイ男だけど、完璧じゃないぜ。
聞いてないわ。
あはは。
ねえ、私の話を聞いて。
うん。
私ね、物心ついたころから夢を持った事がないの。もちろん、理想はあるのよ。
うん。
でも、夢とは違うの。
どう違うんだい。
んー、上手い言葉がみつからない。あなたはそういう事はない?
そうだね。……今は、夢と理想が一致しているかもしれない。
えー、なによそれっ。
いや、全てがすべてじゃないけど。理想を現実に変えたいのかな。
あなたって、自分に自信があるでしょ。
……はは、割と。
わかるわ。でも、私はそう言えないもの。
控えめな女性も素敵だと思うけど。
もうっ、そんな話はしていないでしょう。
はは。
ふふ。…………私、自分に自信が無いのね。
……
……‥
大丈夫だよ。
まったく、他人事なんだから。
ははは、そんなつもりはなかったんだけどね。僕が夢を持てたのは大丈夫って思えたからなのでね。
ん。
この先どうなるかなんて、わからないじゃない。
うん。
でもね。何が起きても大丈夫だよ。
そうかな。
きっと大丈夫さ。
…
死にやしない。ははは、なんてね。
…ふふふ。そうね。
うん。いつか夢も持てるさ。
あなたと話していると…んーん、続けて。
なんだよ。気持ち悪いな。愛の告白なら僕の方からしてあげるよ。
バカね。ほらっ。
夢は、持った方がいいと思うよ。でも、今ね、夢を持てなくてもいいと思うんだ。
そうなの。
夢を持てない自分を責めないであげて。
周りは持っているじゃない。
はは、焦っているようだね。
ニヤニヤしてないで。
あはは…今は、夢を持つ為の準備だと思ってさ。
もう成人よ、社会に出て行くのに。
夢は自分が変わる為に持つもの。いくつになっても夢を持てるんじゃないかな。
そんな事を言ってたら、遅れを取っちゃう。
大丈夫。人それぞれ個性がでただけだよ。いくつになってからもやり直せる。なんだったら僕が責任とって上げようか。
ふうん。
まあ、それが早い方がいいけど。…焦る必要はないよ。今、悩んでいるでしょ。それ、将来に自分の糧になる日がくるよ。
うん。
僕が言える事は大丈夫ってことだけ。
…大丈夫。
そう、夢は持った方がいいけどさ。持てないなら持てないでもいいじゃない。平気だよ、いろんな世界を見てから持つ夢ってのも素敵だしね。
そうね。…なんか大丈夫な気がしてきたかも。
……かも。あ、いや、いいね。
むっ、大丈夫よっ。
はは、そうそう。
私、あなたと話していると落ち着くの。
へぇ………それは恋だね。
違うわ。
……はい。あはは。
ふふ、今日は話ができてよかったわ。おしゃべりって自分を見つめ直すいい機会ね。
うん、そうだね。…良かったら今度はもっと良い場所で語り合わないかい。良い所を知っているんだ。
調子いいんだから。その手には乗らないわ。でも、またお茶でもしながらおしゃべりしましょ。
おやおや、これはデートの約束だね。
まあ…そういうことでもいいわ。
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