アローラ(こんにちは)。本日もよろしくお願いします。第11話、スタートです。

 先日、ツキさんは初めての公認試練である「イリマの試練」へ挑戦。スカル団さんの妨害がありつつも、イリマさんとデカグース。そして、ヌシであるラッタさんの力で退け、その後ヌシであるラッタさんとツキさんが勝負し、無事勝利。見事試練達成と、Zクリスタル「ノーマルZ」を手にいられました。


 そして本日早朝、ポケモンセンター前にて
ツキ「こうか?」
ロトム図鑑「違うロト! もう少し動画をしっかり見て動きを覚えるロト!」
 ツキさんは、ノーマルZを使用したZワザを繰り出すポーズをロトムさんに指導を受けていました。
ロトム図鑑「だから違うロトー! ここはこうするロト!」
ツキ「お前の感覚じゃわかんねって言ってるだろ!」
モクロー「クロゥ?」
ツツケラ「ケラァ?」
リーリエ「ふふふ。楽しそうですね、ほしぐもちゃん」
ほしぐも「ピュィ!」
 私とほしぐもちゃんは、ツキさんたちのZワザポーズ練習を見守っています。


ポケモンムーン
  月 詠 の 記 録


【記録.12】
ほしぐもちゃん -


ツキ「そろそろ行くか。で、次ってどこだ?」
ロトム図鑑「ここから進めば、リリィタウンという町に辿り着くロト。メレメレ島マップを見るからに、次が最後の町ロトね」
モクロー「クロゥ?」
ロトム図鑑「違うロト?」
リーリエ「実はですねロトムさん。私がツキさんと初めて出会ったのは、リリィタウンを超えた谷なんです」
ロトム図鑑「なんと! 僕の知らない情報ロト!」
ツキ「次がリリィタウンってことは、メレメレ島一周するってことか。案外早かったな」
ハウ「メレメレだけじゃ狭く感じるよねー」
ツキ「あぁ。…あぁ?」
ハウ「ツキー、リーリエちゃん。やっほー」
 いつから傍にいたのかわかりませんが、ツキさん私の後ろにはハウさんとそのパートナーであるアシマリさんの姿がありました。ほしぐもちゃんは少し驚いた後、私のバッグに戻ってしまいました。
ハウ「ツキはもしかして、イリマさんの試練にクリアーしたのー?」
アシマリ「マリィ」
ツキ「まぁな」
ハウ「凄いねー! マラサダの試練が活きた?」
ツキ「どうだろうな」
 実際にはあの試練のおかげで〝試練〟というものを体験できた以上、マラサダの試練の経験は大きく活きているに違いないのですが、ツキさんはやや否定気味。
ツキ「そういうハウは試練突破したのか」
ハウ「俺? 俺は今到着だからねー。今からなんだー」
ツキ「またマラサダ食べてたのか」
ハウ「さすがツキー。鋭いねー。この辺りに面白い場所があるって情報を分けてあげるから、許してよー」
ツキ「面白い場所?」
ハウ「うん。メレメレの花園って言うとてもきれいな花畑なんだー」
アシマリ「マリィ!」
リーリエ「わぁ! とてもロマンチックです!」
ロトム図鑑「まだ見ぬポケモンを記録できるかも知れないロト!」
 私たちはハウさんの提案に絶賛していました。
ツキ「どーでもいー」
 ツキさんはハウさんの提案について考えることすらしてませんでした。

メレメレの花園

リーリエ「わー! とってもきれいです!」
ハウ「でしょー」
アシマリ「マリィ!」
 ハウさんに付いて行った私たちは、ハウさん先導の下で「メレメレの花園」へやってきました。2番道路のポケモンセンターからそれほど距離もなく、この近くにある2つの洞窟の内の1つの中を通って辿り着くのがこのメレメレの花園です。もう片方がイリマさんの試練会場である「茂みの洞窟」です。
ほしぐも「ピュィ!」
リーリエ「あっ!」
ほしぐも「ピュィー♪」
 花畑の美しさに魅了されたのか、ほしぐもちゃんもバッグから飛び出してきました。
ほしぐも「ピュィー!」
リーリエ「あっ! 待ってほしぐもちゃん! あまり遠くへ行かないでください!」
ハウ「僕たちも遊ぼうかなー!」
ピチュー「ピチュ!」
アシマリ「マリー!」
ツキ「遊ぶのかよ。お前この後試練じゃないのか?」
ハウ「遊ぶかつ、特訓だね! 新技アクアジェット! まだまだ磨き足りないよー!」
ツキ「そういえばそうだったな」
アシマリ「マリー!」
 以前、マラサダの試練挑戦の際にアシマリさんが習得した新しい技「アクアジェット」。これがハウさんマラサダの試練突破への布石となりました。
ハウ「そこでだよツキー。俺と勝負してくれない?」
アシマリ「マリー!」
ツキ「勝負? いいのか、俺Zワザ使うぞ」
ロトム図鑑「けどツキだって、ポーズ練習しかやっていない身ロト!」
ツキ「残念ながら俺は1回Zワザ放ってるからな」
ロトム図鑑「そんな時期知らないロトー!!?」
 ロトムさんがツキさんと出会う前でしたから、こればかりは仕方のないことですね。
ハウ「よくわかんないけど、Zワザは体感してみたいかなー。よし、やろう!」
アシマリ「マリー!」
ハウ「アシマリも賛成だってー」
ツキ「後悔するなよ」
ハウ「ツキこそねー」
ロトム図鑑「勝負の始まりロト!」

 ツキさんとハウさんがポケモンバトルに燃えている頃、私はほしぐもちゃんが遠くへ行ってしまわないよう見守っていました。
ほしぐも「ピュィー♪」
リーリエ「ほしぐもちゃん…、ちょっと…早いです…」
 あまりにも動き回るもので、私はもうヘロヘロです。
ほしぐも「ピュィ!」
リーリエ「あっ。よかった…止まってくれました…。ふぅ」
ほしぐも「ピュィ!」
リーリエ「あぁ…また…。ふふ」
 ほしぐもちゃんがまた動き出したので、私は追い始めます。
 私とほしぐもちゃんの出会いは、とある施設でした。そこから私が…連れ出したのが、「ほしぐもちゃん」と呼ぶこの可愛らしい謎の生物です。ほしぐもちゃんは元気いっぱいですが、ポケモンバトルに参加できるかはわかりません。私がなるべくそういう場面に接触しないように努力しているわけですけど。
リーリエ「…ようやく解放されたのに、私のバッグの中の窮屈な生活も疲れますよね。ほしぐもちゃんがこんなに動き回っているのを見ると…、なんだか嬉しい。もっと元気に…羽ばたいてほしいなぁ…」
ほしぐも「ピュィ!」
リーリエ「あっ」
 ほしぐもちゃんに感動していた私は、ほしぐもちゃんが花畑をドンドン進んで行っていることに気付くのが遅れました。そして、
ほしぐも「ピュィー♪」
リーリエ「あっ…。あっ…、あぁ…」
 ドンドン奥へ進んで行ってしまいました。

 ほしぐもちゃんが花畑を進み始めた頃、ツキさんとハウさんの戦いが白熱していました。
モクロー「クロゥ!」
アシマリ「マリー!」
ハウ「アシマリー! アクアジェット!」
アシマリ「マリ! マァリィ!!」
ツキ「このは!」
モクロー「クゥロォォゥ!!」
ハウ「突っ切ってー!」
アシマリ「マリッ! マァリィィッ!!」
モクロー「クロゥ!?」
ロトム図鑑「このはをアクアジェットで攻略されてしまうロトぉ!」
アシマリ「マリィィ!!」
ツキ「だったら、たいあたり!」
モクロー「クロォォゥ!!」

 咄嗟の判断で、ツキさんはモクローさんへとたいあたりを指示。このはから態勢を変え、アシマリさんへたいあたりを繰り出します。
アシマリ「マリィ・・!」
モクロー「クロォゥ・・!」
ハウ「あちゃー。惜しいー」
ツキ「このはをアクアジェットの速さでゴリ押しかよ」
ハウ「へへーいいでしょー」
ツキ「けどそう簡単に負けねぇからな。モクロー!」
モクロー「クロォォゥ!!」
ツキ「やってみるか! Zワザ!」
ハウ「Zワザ!」
アシマリ「マリィ!?」
ツキ「行くぞ!!」
モクロー「クロォォゥ!!」
ツキ「……………」
モクロー「クロゥ?」
ロトム図鑑「どうしたロト?」
ツキ「………、ポーズ忘れた」
モクロー「クロゥ」
ハウ「あれー」
アシマリ「マリィ」
ロトム図鑑「あれだけ練習したじゃないかロトぉぉ!!!」
 ツキさんはロトムさんに再指導を受けながら、その動きを確かなものにしました。
ハウ「できたー?」
ツキ「あぁ。今度は行ける。行くぞモクロー!」
モクロー「クロォゥ!!」
ツキ「Zリング! セット、 ノーマルZ !」シャキンッ
 Zワザ発動を促せるポーズをとりながら、ツキさんは続け、ハウさんは驚きます。
ツキ「行けっ、Zの力!」
ロトム図鑑「完璧ロトぉ!」
ツキ「モクロー!!」
モクロー「クロォォォゥ!!!」
ハウ「来るよ…!」
アシマリ「マリッ・!」
ツキ「全身全霊っ! 全速全身! ゼンリョク…駆け抜けろ!!」
モクロー「クロォォォォゥ!!!!」
ツキ「 ウルトラダッシュアタック !!!!
モクロー「クゥゥゥゥゥゥロウッ!!!」
アシマリ「マリ!?」
 モクローさんがアシマリさん目がけ、ものすごい速さで駆け出していきます。そしてあっという間に、アシマリさんの前へ到達すると、
モクロー「クロォォォゥ!!!」
アシマリ「マリィィ…!!」
 吹き飛ばしてしまいました。
ハウ「うわぁぁ!?」
ツキ「どうだぁっ!」
モクロー「クロォゥ! クゥ‥!」
アシマリ「マリー…」ドォンッ
ロトム図鑑「アシマリ戦闘不能。モクローの勝ちロト!」
ハウ「やっぱりZワザってすごーい」
アシマリ「マリィ!」
 ハウさんは倒れたアシマリさんを優しそうに抱え、ツキさんとモクローさんへ近づいて行きます。
ツキ「これがウルトラダッシュアタックか。悪くないな。モクローはなんか予想以上に疲れてるけど」
モクロー「クロォォ」
ハウ「Zワザにも慣れ不慣れがあるのかなー? あったら仕方ないよねー」
アシマリ「マリー!」
ツキ「でも使わないといけないしな」
モクロー「クロゥ」
 ツキさんとハウさんがバトル後の会話を楽しんでいるところで、私はその輪に合流しました。
リーリエ「ツキさん! ハウさん!」
ツキ「なんだ」
ハウ「どーしたのー?」
リーリエ「あの…」

 私は事情を説明し、ほしぐもちゃんが花畑へ進んでいった場所まで付いて来てもらいました。
ツキ「この辺りか。ほしぐもが消えたの」
リーリエ「はい…。考え事をしていたらつい…」
ハウ「見つけやすいところにいればいいけどねぇ…」
アシマリ「マリー」
ロトム図鑑「上空から探してみるロト!」
リーリエ「お願いします」
ハウ「ツキー。モクローとツツケラにも手伝ってもらわない?」
ツキ「モクローとツツケラ? あぁ、空飛べるしな。雑用係に使えと」
モクロー「クロゥ!」
ツツケラ「ケラァ!」
ツキ「そんじゃよろしく」
モクロー「クロォゥ!」
ツツケラ「ケラァ!」
ツキ「…あっ。ちょっと待った!」
モクロー「クロォ?」
ツツケラ「ケラァ?」
ツキ「どっちか俺のとこ残れ。俺の手持ちがいなくなる」
ハウ「あぁ!」
ロトム図鑑「僕がいるロト!」
ツキ「論外」
 再びツキさんとロトムさんの口論が発展しましたが、ハウさんが仲介しました。ちなみにツキさんの元に残ったのはモクローさんとツツケラさんの話し合いの末、ツツケラさんです。
ツキ「んじゃ、探すか。リーリエ、俺から離れるなよ」
ツツケラ「ケラァ!」
リーリエ「はい…」
ハウ「俺はあっちを探すねー」
アシマリ「マリー」

 ツツケラさんを先頭に進む、ツキさんに付き添いながら、私は花畑の中を進みます。
ツツケラ「ケラァ」
ツキ「そういえばさ、ほしぐもって…どこで会ったんだ?」
リーリエ「私と…ほしぐもちゃんがですか…?」
ツキ「あぁ」
リーリエ「…それが…、私もよくわからないのです…」
ツキ「そうなのか? …そうだ、こういう時のロトムじゃん」
ロトム図鑑「ツキが僕を頼ったロト! もちろんこういうところは僕に任せるロト!」
リーリエ「お願いします、ロトムさん」
ロトム図鑑「お任せロト! ほしぐもちゃん…ほしぐもちゃん…。ほしぐも…ほしぐも…。データなし。データなし。ででで…データがないとロトぉぉ!!?」
ツキ「使えねー」
 ツキさんのロトムさんへの信頼度が下がったようです。
ツキ「そもそもあいつが〝ほしぐも〟って名前かも分からないしな」
リーリエ「はい…」
ツキ「でも、だからってなんでこんなに庇ってるんだ。ポケモントレーナーでもないのに」
リーリエ「それは…、ほしぐもちゃんのためなんです」
ツキ「ほしぐもの?」
リーリエ「はい…。あの子は…、とても窮屈な世界にいましたから…」
ツキ「…詳しくはわからないけどさ、リーリエがほしぐもをバッグに入れてるのって…外の世界を見せたいとか、そういうことか?」
リーリエ「はい。もっと大きな世界を知ってもらいたい。羽ばたいて欲しい。それが私の願いなんです。走って…走って…、謎の光に包まれて、迷い、走り、倒れ、立ち上がり…、その時に見たお星さまに、お願いしたんです」
ツキ「星に願いを…ってことか。ほしぐもだけに」
リーリエ「はい!」
ツツケラ「ケラァ! ケラァ!」
ツキ「どうしたツツケラ。見つけたかー」
ツツケラ「ケラァ!」
リーリエ「ほしぐもちゃん!」
ほしぐも「ピュィ? ピュィー!」
リーリエ「ほしぐもちゃん! よかった…! 本当によかったです…!」
ツキ「全く、あんまリーリエに手間かけさせんなよ。ほしぐも」
ほしぐも「ピュィ?」
ツツケラ「ケラァ」
ツキ「なんだ? …あ、ポケモンいる」
?「ピピ?」
 ツキさんが振り向いた先には、踊りのポンポンのようなものを持った黄色い鳥のポケモンさんでした。
ロトム図鑑「説明はお任せロト! オドリドリ。ぱちぱちスタイル。ダンスポケモン。でんき、ひこうタイプ。羽毛を擦り合わせ帯電。踊るように敵へ近づき、電撃パンチをお見舞いする。ロト!」
ツキ「ぱちぱちスタイル?」
ロトム図鑑「オドリドリは4つの姿が確認されているロト。あのぱちぱちスタイルは、メレメレ島でとれる〝やまぶきのミツ〟で変化するロト!」
リーリエ「あなたがほしぐもちゃんを?」
オドリドリ(ぱちぱちS)「ドリィ!」
ほしぐも「ピュィー!」
リーリエ「こんなに仲良く…! ありがとうございます!」
オドリドリ「ドリ! ドォリィ!」
ほしぐも「ピュィィ!」
 オドリドリさんは私たちに別れを告げると、空へ飛び出して行ってしまいました。 
リーリエ「ほしぐもちゃん」
ほしぐも「ピュィ?」
リーリエ「楽しかったですか」
ほしぐも「ピュィ!」

 私たちは再び2番道路のポケモンセンターへ戻り、明日の出発の準備をしていました。
ハウ「試練楽しかったなー!」
アシマリ「マリー!」
ツキ「ずいぶん早かったな」
ハウ「イリマさんが待っててくれてね、早く終わっちゃったー」
リーリエ「明日は3番道路でリリィタウンに戻るんですね」
ツキ「あぁ」
ハウ「大試練が近づいてきたねー! コンデション整えておかないとねー」
アシマリ「マリー!」
ピチュー「ピチュ!」
ツキ「Zワザでなんとかしてやるよ!」
モクロー「クロォゥ!」
ツツケラ「ケラァ!」
ロトム図鑑「楽しみロト!」
リーリエ「はい!」
ほしぐも「ピュィ!」
 メレメレ島の試練、「イリマの試練」を終えたツキさんとハウさんは、いよいよ立ちはだかる島キング、ハラさんとの大試練が楽しみでたまらない様子です。

 私とほしぐもちゃんも、そのドキドキ感を共有しているのですから。

 

◆ ほしぐもちゃん ◆

 

旧タイトル:【記録.12】ほしぐもの守護者