ヴァンガードチャンピオンシップ決勝トーナメント、「Run」ことユランたちチーム・エクステンドは、妹・ヒユリたちのチーム・なかよしと対戦。
先鋒戦をAKIが勝利し、勝負は中堅戦。ヒユリと「Kさん」ことコウノの対戦カード。
謎のカード「マスク・オブ・ヒュドラグルム」とマスクス・ユニットを操り、普段とは異なる言動でコウノを挑発するヒユリとの対戦は第7ターンのコウノのターンまでを終了。
<ヒユリ>「すごい攻撃だね、コウノちゃん。おかげでわたしの手札は…2枚にまで減っちゃった。だけど、倒しきれなかったね」
<コウノ/Kさん>「ファイトの行方が決まったとでも?」
<ヒユリ>「うん。そうだよ。ここからは…ここまでの攻撃を何倍にしてでも返すよ!」
ヒユリがマスクスユニットを渡された人物から教えられたバーチャルストリーマー・アルター“の正体。コウノ自身とそれは次第に重なり合っていく。
ヴァンガードファイター・「Run」。カードゲームを通じて様々な出会いと経験を果たす物語。
謎のデッキ「マスクス」。これまでと一風違うヒユリがコウノに襲い掛かるようでー。
ヴァンガード Extend-Run
…
盤面整理
〇コウノ/Kさん(先攻)
ヴァンガード:虚幻の切札 サイファー・ギィルゼクス(グレード4)
右後列:仮初の鼓動 アルデルタ
手札:7枚
(1) 仮初の鼓動 アルデルタ(2) ディアブロスガールズ ナタリア (前) (3) リペルドマリス・ドラゴン(守護者)(4) ステムディヴィエイト・ドラゴン(☆)(5) サークリッド・ギドラ(6) スワンキィ・エンスローラー(☆)(7) ステムディヴィエイト・ドラゴン(☆)
ダメージ:4枚(裏1枚)
ソウル:3枚
ライドデッキ:5枚(表5枚裏1枚)
◇ヒユリ(後攻)
ヴァンガード:グランドハイター・マスクス・ドラゴン(グレード3)
右前列(龍樹マーカー1枚):なし
右後列:グロウアップ・ワイバーン(グレード1)
左前列(龍樹マーカー1枚):なし
左後列:龍樹の落胤 ドラコ・バティカル(グレード1)
手札:2枚
(1)グランドハイター・マスクス・ドラゴン(2) コネクトレン・ドラゴン
ダメージ:5枚(裏3枚)
ソウル:0枚
…
〇第8ターン(ヒユリ)
<ヒユリ>「…あぁ、聞こえてくるよ。このファイトの終わりを告げる鐘の音。待ってたよ、“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”。わたしたちは今、憧れを超えるんだよ」
<コウノ/Kさん>「憧れていること、すごくうれしい。だけどそう簡単に超えられる私と“ギィル”でもない!」
<ヒユリ>「コウノちゃんに憧れている…? ちょっと違うかな。わたしが憧れているのは、コウノちゃんの…その偽りの仮面。わたしのターン! スタンド&ドロー! エネルギーチャージ!」
【ヒユリ:エネルギー0→3】
<ヒユリ>「それを知った時、わたしは驚いたよ。憧れがこんなに近い存在だったんだってね。そして、悲しくもなった。この力を受け取ったことで…その憧れを壊しちゃうことになることにね! 力に力を重ねた時、憧れと悲しみを打ち砕く偉大なるドラゴン! “グランドハイター・マスクス・ドラゴン”にペルソナライド!」
ペルソナライドによって、このターンヒユリの前列ユニットすべてがパワー+10000され、1枚引く。
<ユラン/Run>「…AKI、さっきからヒユリが言っている“アルター”の正体って」
<AKI>「…。今は目の前のKさんのファイトに集中するんだ、Run」
<ユラン/Run>「そうだけど…!」
ユランは次第に状況が見えなくなる。自分だけ何かを知らないような感覚に襲われる。
<ヒユリ>「“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”の起動能力。ドロップの“ラッキーナイス・ドラゴン”を2枚山札の下に置いて、同じ能力を3つ得て、アタックした時に手札を1枚捨てなければならない」
【グランドハイター・マスクス】(起動)〇【T①】:[CB①,ドロップからノーマルユニットを2枚山札の下に望む順で置く]ことで、そのターン中、このユニットは、『【自】【(V)】【T①】:あなたのターンにあなたの手札からノーマルユニットが捨てられた時、そのカードを龍樹マーカーのある(R)にコールしてよい。』を3つ得て、このターンにこのユニットがアタックした時、手札から1枚捨てる。
<ヒユリ>「“グロウアップ・ワイバーン”の起動能力。手札を1枚捨てて、1枚ドロー。“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”が得た能力で、捨てた“ドラゴ・バティカル”を龍樹マーカーのある右前列へコールだよ」
【グロウアップ】(起動)〇【T①】:「グランドハイター」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、 [手札から1枚捨てる]ことで、1枚引く。
【グランドハイター・マスクス】(得/自動)〇【T①】:あなたのターンにあなたの手札からノーマルユニットが捨てられた時、そのカードを龍樹マーカーのある(R)にコールしてよい。
<ヒユリ>「ナイスドローだね。龍樹マーカーのある左前列に“バッドエンドネクスト・ドラゴン”をコール! 能力で2枚ドロー! 手札の“フレアヴェイル(ドロートリガー)”を捨てるよ。“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”の能力は使わないよ」
【バッドエンドネクスト】(自動)〇このユニットが龍樹マーカーのある(R)に登場した時、あなたのヴァンガードが「グランドハイター・マスクス・ドラゴン」なら、[CB①]することで、2枚引き、手札から1枚捨てる。
<コウノ/Kさん>「“グロウアップ・ワイバーン”を起点にしたいいドローだったってわけね…!」
<ヒユリ>「さっきのターン、“サイファーギィルゼクス”の効果で“グロウアップ・ワイバーン”を退却させていれば…こうはならなかったね。あ、けどそうしちゃったら前列のパワー増加が減っちゃうか」
ヒユリはコウノのプレイを引き続き煽る。
<ジャッジ>「キミ、これ以上の同じような言動は対戦相手の過度の煽りプレイと見なしますよ」
<ヒユリ>「む。まぁ、もうわたしが勝っちゃうんで大丈夫だけどね」
ジャッジから忠告を受けたものの、それすらも微動だにしない姿勢を見せるヒユリ。それを見たユランは…。
<ユラン/Run>「…見てられない」
<AKI>「…今は辛いだろう。あんな姿のヒユリを見せられるのは。…だが、耐えるしかないんだ。Run」
ユランの心の揺れはどんどん大きくなっていく。
<ユラン/Run>「けど…!」
ユランの頭の中のカエデとの約束が、その心の揺れを抑えている。
<カエデ>「リエナちゃんを見たでしょう? あたしはいいよ。その状況で負けてしまっても。けど、ヒユリちゃんが負けたら? リエナちゃんみたいになってしまうかもしれない! それに…あたしには今、リエナちゃんを見守るっていう任務もある。目の前のヴァンガードファイトも大事。だけど、リエナちゃんを送り届けるのも大事。…ヒユリちゃんを、お願いできるかな」
<ユラン>「…どうなっても、ヒユリは俺がなんとかします」
今のヒユリは普通ではない。“マスク・オブ・ヒュドラグルム”の影響を受けて、普段とは全く別のヒユリになってしまっている。
力に固執し、ファイトに敗北するとそれまでの言動の反動が来るように精神を崩壊させる。同じ“マスクス・ユニット”を使ってAKIに敗れたリエナと同じようにヒユリがなるとは限らないが、近い現象に襲われる可能性が高いのは間違いない。
<ユラン/Run>「…Kさん、ヒユリを早く楽にしてやってください」
<ヒユリ>「バトル! “グロウアップ・ワイバーン”のブーストした“ドラゴ・バティカル”でヴァンガードにアタック! 龍樹マーカーの力を得てパワー31000!」
<コウノ/Kさん>「ノーガード! ダメージチェック、トリガーなし」
コウノのダメージに5枚目のカード・“スチームスカラー サルゴン”が置かれる。後がなくなった。
<ヒユリ>「あと1ダメージ! これで、わたしはわたしの憧れを…超える! わたしたちが得たこの力が、“アルターちゃん”を超える!」
<AKI>「…核心を、射抜いている。これは」
<ヒユリ>「“バッドエンドネクスト・ドラゴン”でヴァンガードにアタック! 龍樹マーカーの+5000を得て、パワーは28000!」
<コウノ/Kさん>「“ナタリア(フロントトリガー)”でガード! シールド+5000して、これでパワーは33000!」
【ナタリア】(永続)〇相手のヴァンガードがグレード3以上なら、このユニットのシールド+5000。
<ヒユリ>「アタックだよ、“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”! 効果で手札の“コネクトレン・ドラゴン”を捨てるよ!」
<コウノ/Kさん>「お馴染みの“コネクトレン・ドラゴン”ね…!」
<ヒユリ>「カウンターコストは使っちゃった。“バッドエンドネクスト・ドラゴン”の能力は使えない。けど、“コネクトレン・ドラゴン”はカウンターコストを使わないからね。“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”が得た能力で、捨てられた“コネクトレン・ドラゴン”を龍樹マーカーのある左前列へとコールだよ! そして、“コネクトレン・ドラゴン”の能力で1枚ドロー! 手札から1枚を捨てて、その捨てた“バッドエンドネクスト・ドラゴン”を、“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”の得た能力でさらに龍樹マーカーのある右前列へとコールだよ! そして“バッドエンドネクスト・ドラゴン”は、その能力によりパワー+15000!」
【コネクトレン】(自動)〇このユニットが(R)に登場した時、「グランドハイター」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、【コスト】[ドロップからノーマルユニットを1枚山札の下に置く]ことで、1枚引き、手札から1枚捨てる。
【グランドハイター・マスクス】(得/自動)〇【T①】:あなたのターンにあなたの手札からノーマルユニットが捨てられた時、そのカードを龍樹マーカーのある(R)にコールしてよい。
【バッドエンドネクスト】(永続)〇このターンにあなたのカードの能力で手札が3枚以上捨てられているなら、そのターン中、このユニットのパワー+15000。
今、ヒユリの盤面にはパワー23000でアタック中の“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”。右前列にはパワー43000の“バッドエンドネクスト・ドラゴン”と、その後列にブーストを終えレスト状態の“グロウアップ・ワイバーン”。そして左前列には“コネクトレン・ドラゴン”と、その後列にブーストを温存しスタンド状態の“ドラゴ・バティカル”のブーストを合わせたパワー31000のラインが形成されている。
コウノは自身の手札を改めて確認する。
コウノの手札には、シールド15000のクリティカルトリガーが3枚。シールド5000のノーマルユニットが2枚。そして守護者が1枚の計6枚。合計シールド値は55000と守護者。守護者のコストを払う場合、最もシールド値の低いノーマルユニットから1枚を除くと合計シールド値は50000になる。
対してヒユリの残りのアタックは最低でもヴァンガード23000に対するシールド15000。“バッドエンドネクスト・ドラゴン”の43000に対するシールド35000。“コネクトレン・ドラゴン”の31000に対する20000の合計60000。
しかし内1回は守護者によってガードできることから、いずれかの攻撃に対してシールド値をある程度温存することができる。
<コウノ/Kさん>「…(ヴァンガードのアタックを完全ガードで防ぐと、手札は残り4枚。残りの攻撃を防ぐことはできない…。“バッドエンドネクスト・ドラゴン”のアタックに守護者を使うとなると…、ここのガードは)、ガード! “バーニングフレイル・ドラゴン”!」
コウノが導き出したガードの答えは、シールド15000のクリティカルトリガー・“バーニングフレイル・ドラゴン”によるガード。トリガー効果を1枚でもヴァンガードに与えられるとこのガードを突破されてしまうが、逆にトリガーが出なければこのターンを凌げるという算段だ。
<ヒユリ>「トリガー1枚貫通…」
<コウノ/ヒユリ>「今の“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”。のドライブは2! トリプルドライブでない以上、トリガーを捲る確率は下がっている!」
<ヒユリ>「確かにそうだね。わたしはこのターン、“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”の除外能力を使えていない。けど、だからといってトリガーが出ないとは限らないよ」
<コウノ/Kさん>「それは…もちろん」
<ヒユリ>「ふふふ。じゃあ勝負しようよ。このツインドライブでトリガーが出るか出ないか。出なかったら…わたしはリエちと同じようになっちゃうだろうね。けど…出てもわたしが勝つだけで、コウノちゃんには何もデメリットがない。不公平だよね」
<コウノ/Kさん>「遠慮せずに言ってみるといいじゃない。ヒユリンちゃんの言い分を」
<ヒユリ>「ふふふ。ツインドライブ」
ヒユリは不気味な笑みを零しながらドライブチェックを始める。
<ヒユリ>「1枚目。“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”。トリガーはないよ。あと1枚。2枚目…」
ヒユリは山札の上のカードを自分だけに見えるように確認し、“それ”の存在に気付く。
<ヒユリ>「わたしが勝ったら…コウノちゃんは終わりだよ」
<ユラン/Kさん>「Kさんが…終わり…!?」
ヒユリは捲ったカードを、コウノにも見えるように公開した。
<ヒユリ>「ドロートリガー(フレアヴェイル)発動。1枚ドローし、パワー+10000を“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”に!」
パワー28000の“虚幻の切札 サイファー・ギィルゼクス”を、トリガーによってパワー33000となった“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”が上回った。攻撃がヒットし、コウノのダメージチェックが始まる。
<コウノ/Kさん>「確かに、アタックは通った。このトリガーを捲るか捲らないかの勝負はヒユリンちゃんの勝ち。だけど、次は私の番! 私がここでヒールトリガーかオーバートリガーを出せばいいだけのこと!」
<ヒユリ>「そうだね。じゃあ次の勝負だ。コウノちゃんがここでヒールトリガーかオーバートリガーを捲るか、捲らないか」
コウノはそっと山札の上に手を添える。
<コウノ/Kさん>「…例えわたしが負けても、わたしの後ろにはまだRunくんがいる。わたしの代わりに戦ってくれるRunくんが。けど、ここで終わらせない! ここでショーの幕引きになんてさせない! ダメージチェック!」
コウノは山札の1番上のカードを確認すると、それをヒユリに見えるように公開した。
<ヒユリ>「…ふふ。それが、コウノちゃんの身に着けている仮面の答えだね。“虚幻の切札 サイファー・ギィルゼクス”。コウノちゃんの虚幻の姿…それこそが“アルター”ちゃんなんだよ」
<コウノ/Kさん>「っ…トリガーなし」
コウノのダメージに6枚目のカードが置かれた。
<ジャッジ>「チーム・エクステンド対チーム・なかよし! 中堅戦勝者、チーム・なかよし!」
<ユラン/Run>「Kさんが…コウノさんが、あのバーチャルストリーマー・アルター? どういうことだよ」
<ヒユリ>「“バーチャルストリーマー・アルター”は、この大会に参加している。そして今わたしが力で叩き潰したファイター・Kさんこそが、正真正銘の“アルター”本人だよ!」
ヒユリの透き通る声が会場に響き渡った。
<コウノ/Kさん>「…終わりって、そういうことね。薄々予想は付いていたよヒユリンちゃん」
<AKI>「ヒユリが持ちかけた勝負は、ヒユリが負けた場合はヒユリがリエナと同じことを起こすことに対して、Kさんが負けた場合は…身バレ。ということだったようだね」
<ユラン/Run>「身バレって…。なんでAKIはそんなに落ち着いていられるんだよ。それって大変なことじゃ…!」
<コウノ/Kさん/アルター>「…ははは、これで“アルター”も終わりだ。さようなら、わたしの…アルター」
<ユラン/Run>「Kさん!」
<コウノ/Kさん/アルター>「Runくん、ごめん。1人にさせてくれないかな」
<ユラン/Run>「あっ…。わかりました…」
<ヒユリ>「さ、あとはカエデさんが勝てばわたしたちのチームの勝ちだね。そうでしょ? お兄ちゃん」
<カエデ>「いや、あたしたちのファイトはこれで終わりだよ。ヒユリちゃん」
そこへ、リエナの看護から戻ってきたカエデがやってきた。
<ヒユリ>「…は」
<ジャッジ2>「チーム・なかよしの棄権を認めました。よって、大将戦を行わず対戦の勝敗を決定してください」
<ジャッジ>「わかりました」
<ヒユリ>「カエデさん、どうして」
<カエデ>「ユランくん! リエナちゃんはさっきより落ち着いている。安心して。今はスタッフさんが見てくれている」
<ユラン/Run>「よかった」
<AKI>「リエナさんはこのまま帰ることになったみたいだね。この様子だと」
<ユラン/Run>「あぁ、さっき伝えようとしたことだ。一応2人でも継続はできるみたいだけど、ヒユリがあの調子だ。いつ壊れてもおかしくないだろ」
<AKI>「賢明な判断だ」
<ヒユリ>「…リエちが負けていなければな。残念」
<ジャッジ>「この対戦の勝者チームをチーム・エクステンドとします!」
波乱の決勝トーナメント1回戦。ユランたちチーム・エクステンドは1勝1負のまま、チーム・なかよしの棄権による大将戦不戦勝によって幕を閉じた。
<ジャッジ>「決勝トーナメント第2回戦は明日となります。チーム・エクステンドの皆様は明日また会場へお越しください」
……
こうして、ヴァンガードチャンピオンシップ初日が終わった。
会場の外では、数多のファイターたちが“バーチャルストリーマー・アルター”の正体がチーム・エクステンドのKさん(コウノ)であったことの話題で持ち切りだ。
<ユラン/Run>「AKI…お前は知っていたのか。アルターがKさん(コウノ)だってこと。思えば…俺が初めてKさんにあった時も、AKIから紹介されたな」
「Kさん」こと叶絵コウノは、“バーチャルストリーマー・アルター”の代理人としてユランたちと出会った。
<ユラン/Run>「それに、合宿の時もアルターがホテルを用意してくれた。…ということは、Kさんが自分で用意したってことだよな」
チーム合宿のホテルをチームの3人とヒユリの4人分取っていたのはアルターだ。その時は“少しでもチームに貢献したい”という理由だった。
<ユラン/Run>「…AKI、俺だんだん分からなくなってきた。何が本当で。何が違うのか…」
ユランは頭を抱えた。
<AKI>「…1つ言えることは。“アルター”と“Kさん”が同一人物だとしても、僕たちは明日に備えるということだ。Run」
<ユラン/Run>「…そうだな。そう…だけど。ヒユリ…」
ユランのモヤモヤは晴れないまま、初日の会場を後にした2人は滞在するホテルへと戻っていった。
……
一方、ヒユリたちは一足早くホテルに戻っていた。
リエナと一緒に部屋を取っていたヒユリは、1人きりで部屋にいた。
<ヒユリ>「…今日は全勝だ。“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”、すごい力だよ…! けど、チームとしては終わり。なんだかもったいないなぁ」
ヒユリは“グランドハイター・マスクス・ドラゴン”に向き合いながら、独り言をこぼしていた。
……
一方、某所では。
<アルス>「“マスク・オブ・ヒュドラグルム”による力の仮面…素晴らしい。やはり私の与えた新たなる構築改革に間違いはなかった!」
この男は“江久世 アルス”。大会前に、ユランたちと顔見知りのファイター“熱”と接触し、“マスク・オブ・ヒュドラグルム”を託した人物。
<アルス>「だけど…チームとしては敗北してしまったようだ。残念だね。だが、彼を経由して託した彼女たちはあくまで力を見せつけるものに過ぎない。明日はデッキのカードを変えることができる。…さぁ、本当のショーはここからだ」
ヴァンガードチャンピオンシップ。初日の2日目で、ライドラインはそのままにメインデッキの構築を変更することが可能なルールとなっている。
<アルス>「私たちのチーム・インフィニティが、この大会を制するのに相応しい舞台が着々と築かれている。さぁ、世界へ見せつけよう! 新たなる構築の可能性を!」
“マスク・オブ・ヒュドラグルム”による新たなるデッキ改革を持ちだした江久世アルス。そして、それを使用するに至ったヒユリとリエナ。
目標だったはずのヴァンガードチャンピオンシップ。
その初日は、思わぬ大波乱で終えることとなった。
続くー。
〇注目カード●
『グランドハイター・マスクス・ドラゴン』
所属国家:ドラゴンエンパイア
種族:フレイムドラゴン
ノーマルユニット
グレード:3
パワー:13000 シールド:なし
ツインドライブ!!
【永】:このカードは「グランドハイター」を含むグレード3からのみライドできる。
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[手札かソウルかドロップから、このユニットと別名の「グランドハイター」を含むカードを1枚除外する]ことで、そのターン中、このユニットは『【自】【(V)】【ターン1回】:このターンにあなたが手札を捨てた時、そのターン中、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000/ドライブ+1。』を得る。
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1),ドロップからノーマルユニットを2枚山札の下に望む順で置く]ことで、そのターン中、このユニットは、『【自】【(V)】【ターン1回】:あなたのターンにあなたの手札からノーマルユニットが捨てられた時、そのカードを龍樹マーカーのある(R)にコールしてよい。』を3つ得て、このターンにこのユニットがアタックした時、手札から1枚捨てる。
出自:オリジナルカード
“グランドハイター・ドラゴン”を“マスク・オブ・ヒュドラグルム”によって強化した姿。手札から効果やコストで捨てたカードをコールする能力が龍樹マーカーのあるサークル限定にはなったものの、少ないコストで3回分発動が可能となった。除外能力によって前列のパワー補強と自身のドライブ増加も加わり、特定カードと組み合わせて強力な連続攻撃を狙う。
●登場人物
加我矢 ユラン(加我矢 癒爛)/Run(H.N.)/チーム・エクステンド
使用デッキ:ストイケイア/アテナイアー(オリジナル)
樋野 アキト(樋野 愛生人) /AKI(H.N.)/チーム・エクステンド
使用デッキ:ケテルサンクチュアリ/メグリビ(オリジナル)
叶絵 コウノ(叶絵 香乃(アルター) /Kさん(H.N.)/チーム・エクステンド
使用デッキ:ダークステイツ/ギィルゼクス(オリジナル)
加我矢 ヒユリ(加我矢 日癒璃)/ヒユリン(H.N)/チーム・なかよし
使用デッキ:ドラゴンエンパイア/グランドハイター・ドラゴン(オリジナル)
神定 リエナ(神定 梨恵那)/チーム・なかよし
使用デッキ:リリカルモナステリオ/ルカルファー(オリジナル)
宮川 カエデ(宮川 楓)/チーム・なかよし
使用デッキ:ケテルサンクチュアリ/ファントム・ブラスター
江久世 アルス(江久世 或守)/チーム・インフィニティ
使用デッキ:国家選択可能/アルティマキナ(オリジナル)
ヴァンガード Extend-Run 9話:偽りの仮面(3)