<アルス>「いや、初めましてだ。私は“江久世(えぐせ) アルス。よろしく頼むよ。早速だが熱くん、私とファイトしないかい?」

 

<熱>「ファイト? …まぁいいですけど。急ですね」

 

 いよいよ迎えた、ヴァンガードチャンピオンシップ予選会当日。“Run”ことユランたちは一足早くチーム揃って会場入りし、受付を完了させた。

 

 一方で、ユランたちとはライバルチームに当たる、チャンピオンシップを目指してユランと対戦した1人の“熱”。彼はチームの2人の到着を待っている中で、1人の人物“江久世 アルス”と出会い、ファイトを申し込まれる。

 

 その人物の使用するデッキは、まったく未知のライドライン。すべての国家の「ドラゴン」たちを従えるデッキだった。

 

<熱>「まったく知らないあのデッキ…。けど、俺たちも本当のファイトはここからです! 今こそ見せましょう! 我がグレイトフルパレットの真の力を!」

 

ヴァンガードファイター・「Run」。カードゲームを通じて様々な出会いと経験を果たす物語。

 

ついにチャンピオンシップ開幕!熱の前に謎のデッキを操るファイターが現れたようでー。

 

ヴァンガード Extend-Run

 

 

 ヴァンガードチャンピオンシップ地区予選会場周辺…

 

盤面整理

 

〇アルス(先攻)

ヴァンガード:アルティユニマス・ダイヤベクトス(グレード3)

右前列:トランケイトブレス・ドラゴン

右後列:ドラゴンブライトネス スバリー

左後列:ドラゴンブライトネス スバリー

手札:11枚

(1)ビートアップ・ドラコキッド(2) 爽風竜 ディノブリーズ(治) (3) アルティユニマス・ダイヤベクトス(4) ヴァイオレート・ドラゴン(守護者)(5) 妖獣 スネゴスリ(☆)(6) 爽風竜 ディノブリーズ(治) (7) ジュエルコア・ドラゴン(8) 蒼砲竜 インレットパルス・ドラゴン(9) バーニングフレイル・ドラゴン(☆)(10) 爽風竜 ディノブリーズ(治) (11) ジュエルコア・ドラゴン

ダメージ:3枚(裏1枚)

◇熱(後攻)

ヴァンガード:鋼竜 ドラミングランサー(グレード2)

手札:4枚

(1) プラネットウォール・ドラゴン(守護者)(2) 恩寵湛えし聖なる杯(3) 空拳怪獣 イガレンダ

ダメージ:3枚(裏0枚)

オーダーゾーン:4枚

(1)鋼竜 ペトロメシアス(RL/照覧)(2) セキュリティ・ランナー(3) 鋼拳竜 ブロンズブースト・ドラゴン(4) 空拳怪獣 イガレンダ

 

 

〇第6ターン(熱)

 

<熱>「俺のターン、スタンド&ドロー! エネルギーチャージ! 手札の“ボバルマイン”を捨て、ライドするのはグレード3! 来たれ、鋼鉄なる七色のドラゴン! “虹鋼竜 グレイトフルパレット・ドラゴン”!!」

【熱:エネルギー6→9】

 

<アルス>「これが熱くんのグレード3! さぁ、私たちにその真価を見せておくれ!」

 

<熱>「言われなくても! ライドされた“ドラミングランサー”の能力発動! ソウルチャージ、このカードを照覧セットオーダーとしてオーダーゾーンに置く! “ドラミングランサー”はオーダーゾーンで発動する能力が有効になる!」

 

 【ドラミングランサー】(自動)〇このユニットが「虹鋼竜 グレイトフルパレット・ドラゴン」にライドされた時、【ソウルチャージ】(1)し、このカードをセットオーダーの照覧カードとしてオーダーゾーンに置き、そのファイト中、以下すべてを得る。『【起】【オーダーゾーン】【T①】:「グレイトフルパレット」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、 [CB①,オーダーゾーンの照覧すべてを【レスト】させ、手札から1枚捨てる]ことで、あなたのオーダーゾーンから、グレード1か2のユニットカードを望む枚数選び、(R)にコールする。』

 

<熱>「エネルギージェネレーターの効果で1枚引き、“グレイトフルパレット”の効果で山札の上から5枚見て…2枚をオーダーゾーンに置く。“ブロンズブースト”と“セキュリティ・ランナー”の2枚!」

 

 【エネルギージェネレーター】(起動)〇[EB⑦]することで、1枚引く。

 【グレイトフルパレット】(起動)〇【T①】:あなたのオーダーゾーンの照覧が2枚なら、 [SB①]することで、あなたの山札を上から5枚見て、2枚まで選び、あなたのオーダーゾーンに置き、山札をシャッフルする。

 

<アルス>「これでオーダーゾーンのユニットカードは6枚。来るね…!」

 

<熱>「照覧オーダーとしての“ドラミングランサー”の能力発動! カウンターブラスト1を払い、手札の“恩寵湛えし聖なる杯”を捨てる。オーダーゾーンからグレード1、またはグレード2のユニットカードを望む枚数選んでコールする! 七色の光と共に、我が元へ集え! 3枚のカードを一斉にコール!」

 

 【ドラミングランサー(照覧)】(起動)〇【T①】:「グレイトフルパレット」を含むあなたのヴァンガードがいるなら、 [CB①,オーダーゾーンの照覧すべてを【レスト】させ、手札から1枚捨てる]ことで、あなたのオーダーゾーンから、グレード1か2のユニットカードを望む枚数選び、(R)にコールする。

 

 熱はそれぞれ以下のようにオーダーゾーンからRC(リアガードサークル)にコールを行う。

 右前列:セキュリティ・ランナー(グレード2)

 右後列:空拳怪獣 イガレンダ(グレード1)

 左前列:セキュリティ・ランナー(グレード2)

 

<熱>「左後列に“イガレンダ”をさらに手札からコールして、バトル! 右の“セキュリティに”イガレンダ“のブースト、パワー18000でアタック!」

 

<アルス>「ヒールトリガー(爽風竜 ディノブリーズ)でガード、シールド15000!」

 

<熱>「ブーストした“イガレンダ”の効果で、“セキュリティ”と“イガレンダ”を退却し1枚ドロー。照覧の“ペトロメシアス”の効果ですべてオーダーゾーンに!」

 

 【イガレンダ】(自動)〇このユニットがブーストしたバトル終了時、あなたのオーダーゾーンに照覧があるなら、このユニットと同じ縦列のあなたのリアガードすべてを退却させる。2枚以上退却させたら、1枚引く。

 【ペトロメシアス(照覧)】〇あなたのリアガードが効果かコストで退却した時、そのカードをオーダーゾーンに置いてよい。

 

<熱>「もう片列の“セキュリティ”でアタック! こっちも“イガレンダ”のブースト! パワー18000!」

 

<アルス>「そちらはクリティカルトリガー(バーニングフレイル・ドラゴン)でガード! 同じくガード成功」

 

<熱>「“イガレンダ”と照覧の“ペトロメシアス”の同じ効果でドローし、オーダーゾーンに“セキュリティ”と“イガレンダ”を置く」

 

<アルス>「その程度のパワーじゃ、私たちは越えられない。もっと見せてくれ、熱くんとそのデッキの底力を!」

 

<熱>「“グレイトフルパレット”でヴァンガードにアタック! この時、オーダーゾーンの“ブロンズブースト”の効果! カウンターブラストを払って、このカードをコールする! それを2枚! 左右前列にそれぞれ1枚ずつ、“ブロンズブースト・ドラゴン”をコール! そして、“グレイトフルパレット”の効果! アタックした時、カウンターブラストを払うことで、前列すべてのパワーを2倍にする!」

 

 【ブロンズブースト】(自動②)〇あなたのヴァンガードがアタックした時、相手のヴァンガードがグレード3以上で、あなたのオーダーゾーンに照覧が2枚あるなら、 [CB①]することで、このカードを(R)にコールし、そのターン終了時、このユニットを退却させる。

 【グレイトフルパレット】(自動)〇このユニットがアタックした時、このターンにあなたの照覧の能力であなたのリアガードが2枚以上登場しているなら、 [CB①]することで、そのターン中、あなたの前列にいるユニットすべてのパワーを2倍にする。

 

<アルス>「攻撃回数を増やす能力! それにパワー不足をヴァンガードの能力で補っている! これが熱くんのヴァンガードファイトなんだね! ノーガード!」

 

<熱>「ツインドライブ!! 1枚目、フロントトリガー(柩機の竜 エンバイロ)! 前列すべてにパワー+10000! 2枚目、クリティカルトリガー(警邏ロボ デガルコップ)! ヴァンガードのクリティカル+1、右の“ブロンズブースト”のパワー+10000! 一気に詰めよ、我が一撃! “グレイトフルパレット・ドラゴン”!」

 

<アルス>「っぅぅ…! ダメージチェック1枚目、“インレットパルス”。2枚目、“ヴァイオレート・ドラゴン(守護者)”」

 

 アルスのダメージが5枚になった。

 

<熱>「あと1枚! 右の“ブロンズブースト”、パワー40000でヴァンガードの“ダイヤベクトス”にアタック!」

 

<アルス>「“スネコズリ(クリティカルトリガー)”、“ディノブリーズ(ヒールトリガー)”でガード! パワー43000」

 

<熱>「左の“ブロンズブースト”、パワー30000でアタック! これでどうだっ!」

 

<アルス>「“ヴァイオレート・ドラゴン”、完全ガード! 手札の“インレットパルス”を捨てることで、このアタックはヒットしない!」

 

 【ヴァイオレート・ドラゴン】(自動)〇このユニットが(G)に置かれた時、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。あなたの手札が2枚以上なら、手札から1枚選び、捨てる。

 

<熱>「仕留め損ねた…! けど、次のターンで確実に決める! “ブロンズブースト”2枚を効果で退却、オーダーゾーンへ置いてターン終了」

 

〇第7ターン(アルス)

 

<アルス>「では、ターンを貰おう。私のターン、スタンド、ドロー。エネルギーチャージ。素晴らしいファイトだった。このデッキで熱くんとファイトできたことを誇りに思うよ」

【アルス:エネルギー3→6】

 

<熱>「まだファイトは終わっていませんよ。勝利宣言とでも?」

 

<アルス>「あぁ。これが私の“ファイナルターン”だ! ペルソナライド! “ダイヤベクトス”!」

 

 高らかにファイナルターン宣言を行ったアルスはペルソナライドからターンを始める。1枚引き、前列すべてのパワーが、このターン+10000加算される。

 

<アルス>「“ダイヤベクトス”の能力で、ドロップの“ギャラクゼア”を左前列と“インレットパルス”を右前列へそれぞれコール! ソウルブラストして、“ギャラクゼア”はパワー+5000し能力を得る! さらに後列にいる2枚の“スバリー”はブーストを得た!」

 

 【ダイヤベクトス】(起動)〇【T①】: [CB①]することで、あなたのドロップから、「ドラゴン」か「ドラコキッド」を含むそれぞれ異なるグレードを2枚まで(R)にコールする。

 【ギャラクゼア】(自動)〇あなたの「ダイヤベクトス」を含むヴァンガードの能力で(R)に登場した時、 [SB①]することで、そのターン中、このユニットのパワー+5000し、以下すべてを得る。そのターン終了時、このユニットを退却させ、1枚引く。『【永】【(R)】:このユニットがアタックする際、相手の、縦列1つのユニットすべてとバトルする。』『?』

 【スバリー】(自動)〇【T①】あなたの、「ドラゴン」か「ドラコキッド」を含むユニットが登場した時、そのターン中、このユニットは『ブースト』を得る。

 

<熱>「ドロップからのコールのおかげで、盤面はあっという間に元通り…。ここから4回攻撃が来る…!」

 

<アルス>「熱くんのリアガードはいないけど、ヴァンガードのパワーをもう少し高めたいかな。私は手札の“ビートアップ・ドラコキッド”をヴァンガードの後ろへコールし、能力によって山札から”オーダーカード・“本気で勝負!”を手札に加え、プレイ。ソウルブラスト1を払い、相手リアガードを退却! …対象はいないが、オーダーカードをプレイしたことで、“ビートアップ”はパワー+5000」

 

 【ビートアップ】(自動)〇このユニットが(R)に登場した時、 [CB①]することで、あなたの、山札かドロップから「本気で勝負!」を1枚まで探し、公開して手札に加え、山札から探したら、山札をシャッフルする。

 【本気で勝負!】(コスト:SB①)〇相手の前列のリアガードを1枚選び、退却させる。そのターン終了時、【コスト】[手札から1枚捨てる]ことで、あなたのドロップから「本気で勝負!」を1枚選び、手札に加える。

 【ビートアップ】(永続)〇このターンにあなたがノーマルオーダーをプレイしているなら、このユニットのパワー+5000。

 

<熱>「(ヴァンガード列のパワーを13000上げてきたか…)」

 

<アルス>「バトルフェイズ。先陣を切れ、“ギャラクゼア”に“スバリー”のブースト、パワー43000でヴァンガードへアタック!」

 

<熱>「手札の“デガルコップ(クリティカルトリガー)”でガード! さらにオーダーゾーンの“セキュリティ・ランナー”の効果発動! 手札の“フライハイツ”を捨て、オーダーゾーンのから“セキュリティ・ランナー”をドロップに置く! ヴァンガードのパワーを2倍に増やす! “デガルコップ”のシールド分と合わせて、パワー56000!」

 

 【セキュリティ・ランナー】(自動)〇あなたのヴァンガードがアタックされた時、あなたのオーダーゾーンに照覧が2枚あるなら、 [このカードをドロップに置き、手札から1枚捨てる]ことで、あなたのヴァンガードを1枚選び、そのバトル中、そのユニットのパワーを2倍にする。

 

<アルス>「強力な防御能力だ。面白いね! しかし私のアタックは続く! “インレットパルス”、“スバリー”のブーストで続け! パワー33000!」

 

<熱>「“エンバイロ”、“ハビダブルゾォン”でガード! パワー38000…! あと2回…!」

 

 熱は自分の手札を確認する。そこにはいずれも完全ガードのユニット、“プラネットウォール・ドラゴン”の2枚があった。

 残り2回の攻撃を、この完全ガードをそれぞれ1枚で対処できる算段だ。

 

<熱>「(手札はなくなるけど…、敗北を回避する方が優先だ…!)」

 

<アルス>「ヴァンガードの“アルティユニマス・ダイヤベクトス”で、“グレイトフルパレット・ドラゴン”にアタック! エネルギーブラスト! “ギャラクゼア”をスタンドし、パワー+5000!」

 

 【ダイヤベクトス】(自動)〇【T①】:このユニットがアタックした時、【コスト】[EB③]することで、あなたの、「ドラゴン」か「ドラコキッド」を含むリアガードを1枚選び、【スタンド】させ、そのターン中、パワー+5000し、この能力で「ドラゴンエンゲージ ギャラクゼア」を【スタンド】させたなら、さらにパワー+5000。

【アルス:エネルギー6→3】

 

<熱>「完全ガード! “プラネットウォール・ドラゴン”! 手札は1枚だから、手札を捨てる必要はなし!」

 

<アルス>「なるほど。ツインドライブだ。1枚目、“ギャラクゼア”。2枚目、クリティカルトリガー(妖獣 スネコズリ)発動! すべての効果を“ギャラクゼア”へ! “ギャラクゼア”でアタック、そのパワー38000、クリティカル2!」

 

<熱>「もう1枚、完全ガード! “プラネットウォール・ドラゴン”!」

 

 熱は最後の手札の1枚をガーディアンサークルへとコールした。“守護者”の“プラネットウォール・ドラゴンによって、攻撃はヒットされない。さらにそのコストとして手札を1枚捨てる必要があるが、手札が1枚以下のためその必要もない」

 

<熱>「どうですか…! 守り切りましたよ! これでもう1度俺のターンが帰ってくる!」

 

<アルス>「くくく…。それは、どうかな?」

 

<越>「…? 攻撃はもう4回終えたのに、どうして…そんなに余裕な感じなんだ…!」

 

<アルス>「熱くんは素晴らしいプレイを私たちに見せてくれただけでなく、こうして私たちの攻撃を4度防いで見せた。これはその褒美さ。刮目せよ! 我がフェイバリットバディ・“ドラゴンエンゲージ ギャラクゼア”の真の力を! ドロップの“ヴァイオレート(守護者)”と“トランケイトブレス”の2枚を…除外する! “ギャラクゼア”は2度目のアタック終了時、再び立ち上がる! スタンドせよ、我がバディ!」

 

 【ギャラクゼア】(自動)〇【T①】このユニットがグレード3以上にアタックしたバトル終了時、このターンにこのユニットが2回以上アタックしているなら、 [ドロップから、「ドラゴン」か「ドラコキッド」を含むノーマルユニットを2枚除外する]ことで、このユニットを【スタンド】させる。

 

<熱>「い、1枚のユニットで…3回の攻撃!?」

 

<アルス>「さぁ、フィナーレだ! “ギャラクゼア”で“グレイトフルパレット”に賛美の一撃を! アタック!」

 

 3度目の“ギャラクゼア”の攻撃、パワー38000クリティカル2。

 

<熱>「手札は…ない。ノー…ガード。ダメージチェック…」

 

 熱が捲ったカードは、“グレイトフルパレット・ドラゴン”。トリガーはない。

 熱のダメージゾーンに、6枚目のカードが置かれた。

 

……

 

<アルス>「ありがとう。熱くんとファイトできてよかった。私と、私のバディたちも褒め称えている」

 

<熱>「そのデッキは、一体なんなんですか…! 見たことも、聞いたこともない…!」

 

<アルス>「“ダイヤベクトス”。そして“ギャラクゼア”。私はこのデッキをそう…“アルティマキナ”と呼ぶ! このチャンピオンシップで、全世界を叫喚させる! 熱くんも、力が欲しくはないか…?」

 

<熱>「力…」

 

 熱は少し、考えた。

 

<熱>「…っ! 何を考えているんだ。俺のデッキは…、“アラシ”さんが、俺たちのために考えてくれたデッキ…! 俺は…!」

 

<アルス>「力は時に、人を支配する。私は熱くんを尊重する。…が、“アルティマキナ”には及ばずとも、その力の象徴はあるけれどね」

 

 アルスは1枚のオーダーカードを取り出す。

 

<アルス>「このカードも、誰かに分け与えたいな。力は分配するものだからね。自分だけの力より、誰もが憧れる、誰もが触れることのできる力の方がうれしい。…熱くん、この力を誰かに与えてくれないか? 私たちの力を受け取らなくてもいい。ただ、力は皆平等。このカードを受け取ったファイターが、強くなれる。そんな力を」

 

<熱>「…与える。けど、そんな当日にデッキを変えるなんて…」

 

 熱は、アルスが手渡したオーダーゾーンを手に取る。

 

<熱>「っ…!」

 

 その時、突如として熱の意識は遠のいた。

 

……

 

<熱>「…はっ!」

 

 熱が再び意識を取り戻した時、既にアルスの姿はなかった。

 

<熱>「俺は…今までなにを。それに、江久世さん(アルス)はどこへ…?」

 

 アルスの姿を探す熱の目線の先に、かつて熱にとってはアルスのいた場所と同じ目線に、1人の少女の姿があった。

 

<熱>「キミは…、ユ…ユリちゃん…!? ランラン(ユラン)の妹の…!」

 

 そこにいたのは、ユラン(Run)の妹・ヒユリだった。熱同様、チームの2人の到着を会場の外で待っていたのだ。

 

<熱>「どうして…俺はユリちゃんと一緒に…?」

 

 記憶のないことに戸惑う熱に、ヒユリが語り掛ける。

 

<ヒユリ>「…熱さん。ありがとう。…これが、わたしの力なんだね」

 

 その目はハイライトが消え失せ、その手には、アルスが熱に手渡した際に熱の記憶が遠のいた例のオーダーカードが握られていた。

 

 そのカードの名は………、“マスク・オブ・ヒュドラグルム”。

 

……

 

 時は経ち、チャンピオンシップは予選が始まった。

 

 一斉に響き渡る「スタンドアップ」の掛け声のコールと、会場にいるすべてのファイターがこの予選を勝ち上がり、決勝トーナメントへとその駒を進めようと、これまでの努力を実らせようと励む。

 

 その中にはもちろん、ユラン(Run)たちチーム・エクステンドもいる。

 

<AKI>「メグリビでアタック!」

 

<コウノ/Kさん>「“ギィル”でアタック!」

 

 AKIとコウノが勝利し、チームは2対1で勝利。

 

<ユラン/Run>「ごめん2人とも…。助かった…」

 

<AKI>「これはチーム戦。気にすることはないよRun。こうして、キミの負け分を僕たちが取り戻したんだ」

 

<コウノ>「そうだよ~。私かAKIくんのどちらかが負けちゃったときは、よろしくね」

 

<ユラン/Run>「はい!」

 

 チーム・エクステンドは順調に勝ち上がっていた。

 

……

 

<会場アナウンス>「皆様、まもなくチャンピオンシップ予選を突破し、決勝トーナメントへ進出したチームが発表されます。進出チームは8チーム、お使いの端末にて、進出チームのリーダー様へ一斉に送信されます」

 

<ユラン/Run>「いよいよ…だな」

 

<AKI>「あまり堅くならなくていいよ、Run。4回戦のうち、3勝1敗。僕らは十分勝ち上がれる可能性がある」

 

<コウノ/Kさん>「さすが、チーム全勝者が言うと安心感が違うね」

 

 チーム・エクステンドは予選4回戦のうち3勝1敗。最後の4戦目にてユランとコウノが敗れ、全勝突破とはならなかった。

 

<ユラン/Run>「…来た! 来た! 来たぞ! 決勝トーナメント進出だ!!」

 

<コウノ/Kさん>「やったね!」

 

<AKI>「あぁ、このまま勝ち進もう。2人とも、頼んだよ」

 

 チームは無事決勝トーナメント進出を決めた。周りには、同じく決勝トーナメント進出を決めた地チームや、惜しくも敗退したチームの歓喜と落胆の声が響き渡っている。

 

<会場アナウンス>「決勝トーナメントへと進出されたチームの皆さん、これより40分後にトーナメント組み合わせを発表します。それまでには会場周辺へとお戻りください」

 

 チャンピオンシップを目指して、日々励んできたユラン(Run)たち。

 その努力は実り、まずは決勝トーナメント進出。これから、さらにファイトは激化していく。

 

 

 

続くー。

 

 

 

〇注目カード●

 

『ドラゴンエンゲージ ギャラクゼア』

所属国家:なし

種族:アルティマキナ

ノーマルユニット

グレード:4

パワー:18000 シールド:0

【永】:このカードはライドできず、ノーマルコールできない。

【自】:あなたの「ダイヤベクトス」を含むヴァンガードの能力で(R)に登場した時、【コスト】[【ソウルブラスト】(1)]することで、そのターン中、このユニットのパワー+5000し、以下すべてを得る。そのターン終了時、このユニットを退却させ、1枚引く。

・【永】【(R)】:このユニットがアタックする際、相手の、縦列1つのユニットすべてとバトルする。

・【自】【(R)】【ターン1回】:このユニットがグレード3以上にアタックしたバトル終了時、このターンにこのユニットが2回以上アタックしているなら、【コスト】[ドロップから、「ドラゴン」か「ドラコキッド」を含むノーマルユニットを2枚除外する]ことで、このユニットを【スタンド】させる。

出自:オリジナルカード

 

 “江久世 アルス”の使用する特殊ライドラインデッキ・“アルティマキナ”のフェイバリットバディ。“ダイヤベクトス”の能力によってコールされたることで能力が有効となり、縦列アタックと、相手のヴァンガードがグレード3以上ならヴァンガードの能力と合わせて合計3度の攻撃が可能となる。また、ターン終了時に退却し1ドローできるため、防御にも生かすことができる。

 

 

●登場人物

 

加我矢 ユラン(加我矢 癒爛)/Run(H.N.)/チーム・エクステンド

使用デッキ:ストイケイア/アテナイアー(オリジナル)

樋野 アキト(樋野 愛生人) /AKI(H.N.)/チーム・エクステンド

使用デッキ:ケテルサンクチュアリ/メグリビ(オリジナル)

叶絵 コウノ(叶絵 香乃 /Kさん(H.N.)/チーム・エクステンド

使用デッキ:ダークステイツ/ギィルゼクス(オリジナル)

 

加我矢 ヒユリ(加我矢 日癒璃))/ヒユリン(H.N)/チーム・なかよし

使用デッキ:ドラゴンエンパイア/グランドハイター・ドラゴン(オリジナル)

熱(H.N.)/チーム・ダイナマイト

使用デッキ:ブラントゲート/グレイトフル(オリジナル)

 

江久世 アルス

使用デッキ:ドラゴンエンパイア/アルティマキナ(オリジナル)

 

 

ヴァンガード Extend-Run 7話:アルティマキナ(2)