新しいスタートデッキが発売され、新たなるギミック・“エネルギー”を体験した“Run”ことユランと妹・ヒユリ。
その週末、いつものようにカードショップ・leadingで新しいヴァンガードに慣れるべく対戦する2人の元へ、店員・小幅イチキがショップへとやってきていた1人の少年を紹介する。
「この子がどうやらヴァンガードに興味を持っているようでね。初めてだからティーチングしてくれる相手を探しているのだけれど…。Runくん、是非キミにやってもらいたくてね」
「“六導(りくどう) セイカ”です。14歳です。よ、よろしくお願いします!」
セイカへのティーチングファイトを行うこととなったユランは、お互いに6つの新しいスタートデッキから1つずつ選んでファイトを始める。
「そ、それじゃあ…。このかわいい子のデッキを使いたいです」
「《リリカルモナステリオ》か。いいな。それじゃあ俺は、この海軍の《ストイケイア》で」
このティーチングデッキではライドデッキが赤いスリーブ、メインデッキが青のスリーブ。そして新しく使用する“エネルギーカード”が黄色のスリーブに入っている。
ファイトの途中でヴァンガードの基本を教えながら、勝負はユランの後攻2ターン目、第4ターンへと移行する。
ヴァンガードファイター・「Run」。カードゲームを通じて様々な出会いと経験を果たす物語。
今回出会うこととなるヴァンガードファイターは、どうやらヴァンガードが初めてのようでー。
ヴァンガード Extend-Run.
盤面整理
〇セイカ(先攻)
ヴァンガード:歌いきる覚悟 ルイーズ(グレード2)
右前列:すくすく花壇 セリーン
左後列:リリックスフラワー リサシャ
手札:4枚
(1)心気充実 アドリアーナ(2)リお茶目な落書き シーレ(3) シアターレッスン ラファティ(4) 朗らかな陽の下で ウォリス(☆)
ダメージ:2枚(裏0枚)
◇ユラン/Run(後攻)
ヴァンガード:求知の妖精 ストロベラ(グレード1)
右前列:元気のリズム ビアラ
手札:4枚
(1)潜伏の射手 シャザール(2) 戦場の歌姫 フィランティア(3) シザーズ・スコーピオ(4) サンベイジング・ドラゴン
ダメージ:3枚(裏0枚)
――
●第3ターン(ユラン/Run)
「俺のターン。まずは“スタンドフェイズ”、“レスト”しているユニットすべてを“スタンド”させる」
「なるほど、これで前のターンにアタックして“レスト”したユニットが、また攻撃可能になるんですね」
「そういうことだな。そして青のメインデッキから1枚ドロー! ライドフェイズ開始時、“エネルギジェネレーター”によって、黄色のスリーブの“エネルギーカード”から3枚を表で追加する、“エネルギーチャージ”!」
【ユラン/Run:エネルギー3→6】
・スタンドフェイズ…ヴァンガードやリアガードをスタンドさせる。
・ドローフェイズ…メインデッキの上から新たなカードを1枚引く。
・ライドフェイズ…エネルギーチャージ③を行い、『手札を1枚捨て、ライドデッキからヴァンガ―ドのグレードより1つ上のグレードにライドする』か『手札からヴァンガードのグレード以上に1枚ライドする』を行える。グレード3にライドするまでは基本的に前者。
ライドに至るまでのヴァンガードの基本行動だ。
「手札から“サンベイジング・ドラゴン”を捨てて、赤い“ライドデッキ”から次のグレード、グレード2・“バラエティフィースト・ドラゴン”にライド! リアガードは自分のメインフェイズなら、同じ縦列になら移動ができる」
「…? 前のリアガードは後ろに移動できるってことですか?」
「そうだな」
セイカは意味のある行動なのかと考えるように首をひねる。
「ということで、さっきコールしていた右前列にいる“ビアラ”を後列へ“移動“! これによって空いた右前列のリアガードサークルに、手札のグレード2・” 潜伏の射手 シャザール“を新たにコールする! さらに左前列にはグレード2・” 戦場の歌姫 フィランティア“もコール!」
ユラン(Run)の盤面には、前列がヴァンガードを含む2枚。ヴァンガードと右後列と中央後列にグレード1のリアガードがいる。
「…わかりました! まさか、後列のユニットもアタックできてしまうとかですか!? それなら…合計5回!?」
「違うよ。後ろのリアガードは基本的にはアタックできないんだよ。その代わり、できることがあるんだ!」
ユランはヒユリとアイコンタクトを取ると、バトルフェイズへと移行する。
「とりあえずまずは左前列の“フィランティア”でヴァンガードの“ルイーズ”へアタック! パワーは10000!」
「ガーディアンのシールドは5000でいいから…、手札のグレード2・“お茶目な落書き シーレ”をガーディアンサークルへコールします! これで、ガード成功ですか?」
「“シーレ”のシールド数値は5000。これをアタックされているユニットに加算するとどうなる?」
「“歌いきる覚悟 ルイーズ”のパワーは10000だから、シールド数値を+5000して15000…。アタックしている“フィランティア”は10000。アタックは相手のアタックしている攻撃対象のパワーを上回っているなら成功…。つまりガード成功!」
「正解だよ! ガード成功だね!」
セイカは“ガーディアンにコールした”シーレ“をドロップに置くと、”やった“と小声で呟いた。
「続けてヴァンガードの“バラエティフィースト・ドラゴン#でアタック! ここもパワーは10000!」
「ここも手札の“すくすく花壇 セリーン”でガードです! これでパワー15000! ガード成功ですね!」
「いいや、ヴァンガードに限ってはそうとは限らない。俺はここから“ドライブチェック”を行う。 “ドライブチェック”! 来たなトリガー! ドロートリガー発動! “大満足の収穫 ラビリット”! ドロートリガーはさっき説明したな?」
「1枚引く効果と、ユニット1枚のパワー+10000…。それって!?」
「そういうことだ、ヴァンガードにパワー+10000! こうすることで、ガードを突破することができる!」
「そんな…。僕のダメージチェック…、あっ! 僕も来ました! “トーカティヴ・アワー タンムーズ”、治…だからヒールトリガーです! 僕もヴァンガードのパワー+10000!」
ヒールトリガーによる回復はない。
「ヴァンガードへはパワーが届かなくなったけど、まだやることはある。右前列の“潜伏の射手 シャザール”でリアガードの“セリーン”にアタックする時、後ろにいるグレード1、グレード0のカードが持つ能力“ブースト”が発動する。前列のユニットでアタックする時に、後列の自身を“レスト”することで、このカードのパワーをブーストするユニットに加算できる! “ビアラ”でブーストして、パワーは18000! これはガード値の計算と同じだな」
「うー…ノーガードです。リアガードは…?」
「リアガードはアタックされて、そのアタックが成功するとドロップゾーンに置かれるよ」
セイカはアタックがヒットしたリアガードの“セリーン”をドロップゾーンに置いた。
「これで俺のターン終了」
●第4ターン(セイカ)
「僕のターンです、まずは“レスト”しているユニットすべてをスタンド。そして、メインデッキから1枚ドロー! エネルギーチャージです!」
【セイカ:エネルギー3→6】
「そうしたら、いよいよグレード3、ライドデッキの最後の1枚のカードにライドだよ!」
「はい! 手札から“五線譜を微風に乗せて リアンヌ(ドロートリガー)”をドロップゾーンに置いて、ライドデッキのグレード3・“満場一体 マリレーン”にライドです! …あれ? このカードいろいろ書いてありませんか?」
セイカはこれまでは見たことがなかった、“能力を持つカード”について興味を持つ。
「それはユニットが持つ能力だな。そうだな…せっかくだから使ってみるか?」
「はい! やってみたいです!」
「よし、じゃあまずは“マリレーン”の起動能力を使ってみるか。ちなみに…」
能力は大きく分けて3つに分類される。
・メインフェイズ中にのみ発動できる【起】で記された『起動能力』
・発動中の場合、発動し続けている【永】で記された『永続能力』。
・発動するタイミングが指定されている【自】で記された『自動能力』。
「この3つだな。この“マリレーン”の持つ能力は起動能力と自動能力だ。まずは起動能力を使ってみよう」
「はい! えっと…コスト? Cブラスト1…?」
「それは“カウンターブラスト”。コストの1つだよ。ヴァンガードをダメージを受けちゃっても、そのダメージを自分の戦術に変えることができるんだよ!」
「コストはダメージゾーンの表のカードを裏にする“カウンターブラスト”。ソウルからドロップゾーンに置く“ソウルブラスト”。そして、この“エネルギー”を消費する“エネルギーブラスト”がある」
「なるほど…。あっ、じゃあ今までやってきた“エネルギーチャージ”は、“エネルギーブラスト”の反対ということですね。なら、“カウンターチャージ”…?と“ソウルチャージ”もあるんですかね?」
「物分かりが早いな。裏のダメージを表にするのが“カウンターチャージ”。メインデッキの上からソウルに新たなにカードを置くのが“ソウルチャージ”だ」
“カウンターブラスト”はカード能力に記されているものでは『Cブラスト』、略称は『CB』。“カウンターチャージ”は『Cチャージ〇』、略称は『CC〇』。ソウルは『S』、エネルギーは『E』となる。『〇』部分に必要な数字が記されている。
「ついでに説明するけど、能力の前に書かれた“【ターン1回】”は、そのカードの発動ではターンに1回しかできないことだな」
ここでは【T①】と記す。
「では…“マリレーン”の起動能力を発動します! コストはカウンターブラストを1枚! そうすることで…山札、メインデッキですね。メインデッキからこのカードと同名のカードを………、手札に加えます! そして“マリレーン”はパワー+10000です!」
【マリレーン】(起動)〇【T①】【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から、このユニットと同名のカードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルし、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
「今手札に加えた“マリレーン”はコールせずに、手札に残しておこうね! 次のターン、もっと面白いことが起こるから!」
「わ、わかりました。コールはしないでおきます。なら、右前列へ手札の“心気充実 アドリアーナ”をコールして、バトルフェイズです! “マリレーン”でアタック! 自動能力が発動します! エネルギーブラスト4…ということは、エネルギーカード4つを取り除いて、リアガード1枚を手札に戻す。…左前列の“リサシャ”を戻して、…手札から1枚コールしてパワー+10000! 手札の“リサシャ”を再びコールできますか?」
「できる」
「では“リサシャ”を左前列にコールします!」
【マリレーン】(自動)〇このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【エネルギーブラスト】(4)]することで、あなたのリアガードを1枚選び、手札に戻し、あなたの手札からグレード3以下のユニットカードを1枚まで選び、ユニットのいない(R)にコールし、そのターン中、パワー+10000。
【セイカ:エネルギー6→2】
「これはちょっと応用だが、いまのは先に“リサシャ”“からアタックするか、”リサシャ“を後列に下げて、その前に新しいユニットをコールしてブーストする方がよかったかもな」
「そうなんですか?」
「コールする時は、スタンドしている状態で出てくるよね? アタックが終わったリアガードを手札に戻して、手札から新しいユニットをコールすると…アタック回数が1回増えるんだよ!」
「そうだったんですか! …次からやってみます!」
「そのアタックは23000だから、ノーガード! さて、グレード3なんだが…“ブースト”アイコンと同じところを見てくれ」
グレード3と記された下には、↑が2つ交わっているようなアイコンがあった。
「それは“ツインドライブ!!”。グレード3は、ドライブチェックが2回できるんだ」
「すごい! “ツインドライブ!!”です! 1枚目・“フロントトリガー(フォワード・ウィール セロッタ)”! これは前列にパワー+10000ですね! 2枚目・“ドロートリガー(五線譜を微風に乗せて リアンヌ)”! 1枚ドローして“マリレーン”に+10000です!」
「すごい! ダブルトリガーだよ! …ってちょっとちょっと!」
「え? …わぁ! ヴァンガードに与えちゃっても意味がないじゃないですか!」
「そうなんだよなぁ。次から気を付けるんだぞ。ダメージチェック、こっちも“フロントトリガー(歌心の乙女 サフィラ)”発動! 前列のパワー+10000する!」
ユランの4枚目のダメージが置かれる。
「お兄ちゃんケチだね、戻してあげたらいいのに」
「ティーチングだけど、俺は手を抜くつもりはないからな」
「いいえ、ヒユリンさんこれでいいです! 気を付けます! 次は“アドリアーナ”、パワー23000でアタックです!」
ヒユリはヤレヤレと言いたげな表情でその場を見過ごす。
「そこは、グレード2のユニットの持つ能力を使わせてもらう! グレード2は前列のリアガードサークルにいる時、ガーディアンサークルへと移動することができる! これを“インターセプト”と言う! “フィランティア”でインターセプト! シールドは5000だから、これでトリガー数値と合わせて25000!」
「グレード2にそんな力が…! もう片方の“リサシャ”でアタックです! こっちは“マリレーン”の能力とトリガーでパワーは28000です!」
「そこは手札の“ヒールトリガー(チアリーサポート・エルフ)”でガード!」
パワー28000に対し、ユランはアタックされているヴァンガードのパワーを35000になるようにガードする。
「これで終了です…。けど、手札は2枚まで削りましたよ!」
「それにお兄ちゃんのダメージは4! いよいよ終盤になってきたね!」
●第6ターン(ユラン/Run)
「俺のターン、スタンド&ドロー! エネルギーチャージ! よし、俺もここからはグレード3! 手札の“ドロートリガー(大満足の収穫 ラビリット)”を捨てて、ライドデッキからグレード3・“大海の水将 クリスティアノス”にライド!」
【ユラン/Run:エネルギー6→9】
お互いのデッキのエース・切札とも言えるメインユニットが出揃った。ヴァンガードファイトはここから急展開を迎える。
「“クリスティアノス”の起動効果で、山札から“クリスティアノス”を手札に加え、ヴァンガードをパワーアップ。これは“マリレーン”と同じ能力だな」
【クリスティアノス】(起動①)〇【T①】【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から、このユニットと同名のカードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルし、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
「同じ能力…?」
「さっき国家ごとのデッキを選んだでしょ? あのデッキに入っているメインのグレード3は、みんな同じ能力を1つ持っているんだよ」
「そうなんですか?」
「“リリカルモナステリオ”が手札に戻すことを行うなら、“ストイケイア”の行うことは…だ。“クリスティアノス”のもう1つの起動能力を、エネルギーブラスト4を払って発動! まずは山札の上から2枚をドロップし、ドロップゾーンからグレード3以下のユニットカード2枚をコールする! コールするのは、左縦列にグレード2の“フィランティア”、その後ろにグレード1の“サンベイジング・ドラゴン”!」
【クリスティアノス】(起動②)【T①】【コスト】[【エネルギーブラスト】(4)]することで、あなたの山札を上から2枚捨て、ドロップからグレード3以下のユニットカードを2枚まで選び、(R)にコールする。
【ユラン/Run:エネルギー9→5】
「ドロップゾーンからのコール!? それにさっき“インターセプト”で退却した“フィランティア”がまた帰ってきましたよ!? ブーストできるユニットまで!」
「このデッキは盤面再生が得意ってことだな。これでさっき俺がやったような、リアガードへのアタックでそのリアガードを退却させても、“クリスティアノス”の能力でそいつを復帰できる! “クリスティアノス”でヴァンガードにアタック! パワー23000!」
「うぅ…手札を使わずに仲間を増やすことができるだなんて。ノーガードです」
「こっちも“ツインドライブ!!” 1枚目・“ブルスラッシュ”。2枚目・“クリティカルトリガー(カラスギ・ペッパー)”発動! “クリスティアノス”にクリティカル、そしてパワーは“フィランティア”へ振り分ける!」
「2ダメージ…! ダメージチェックです、1枚目・“ヘイスティローファー ニーナ”、2枚目・“切なる望み ハナエル”…トリガーがない」
セイカのダメージは一気に5になってしまった。
「“フィランティア”に“サンベイジング”のブースト、パワー28000でヴァンガードにアタック!」
「セイカくん、もう後がないよ! ガードだよ!」
「後が…! は、はい! 手札の“フロントトリガー”と“ドロートリガー”でガードです!」
シールド15000の“フロントトリガー”と、5000のドロートリガーの2枚でガードに成功する。
「同時に2枚でも…出せますよね…?」
「あぁ、むしろ同時に2枚出すか、1枚ずつ出すかを選べるくらいだ。ここは守られたけど、次はどうだ! “シャザール”に“ビアラ”のブースト、パワー18000でヴァンガードへアタック!」
「“朗らかな陽の下で ウォリス(クリティカルトリガー)”で、ガードです!」
シールド15000のガーディアンをコールし、このアタックもガードに成功した。
「止められたか。結構普通にこのターンはやったけど、身についてきているな」
「そうですか。えへへ…。僕、こうやって誰かと楽しく遊びたかったんだと思います」
セイカは自分がファイトを楽しんでいることを感じると、ユラン(Run)とヒユリに自分のことを語り始める。
それは、六道セイカという少年の今だった。
…
僕は六道(りくどう)セイカ。“セイカ”という名前からか、よく女の子と間違えられちゃいます。
最近、両親の都合で田舎から都会へと引っ越してきました。
田舎の友達たちとは上手くできていたし、後押しもされて…最初は都会でも上手くいく。そう思っていました。
けど、こっちは田舎とは何もかもが違って…、学校でも友達もできずに…僕は独りぼっちでした。
そんな時です。クラスの子たちが、“何か”を楽しくやっているような声が聞こえてきて。
家に帰っても両親の帰りは遅く、1人でテレビを見ていると…その時見たものがわかったんです。
“ヴァンガード”。カートゲームでした。けど、もちろんやったことなくて…。
でも思い当たることがあったんです。“カードショップ”というお店の存在を、僕は知っていました。僕より大きなお兄さんやお姉さん、大人の人たちが入っていくお店を、たまたま見たことがあったんです。
それが………
…
「それが、ここの“leading”だったってことか」
「はい。…そこはなんだか、外の世界とは何か違うような、不思議な空間でした。その時にさっきの店員さんが話しかけてきてくれたんです。…Runさん!」
うつ向いて暗い表情をしていたセイカは、顔を上げて笑みを零しながらユラン(Run)へと語りかける。
「今僕、すごく楽しいです! ヴァンガードが、僕を呼んでくれたみたいに…。これ、変な感じですかね…?」
「いや、俺もそんな感じだった。…セイカの友達になら、俺たちがなってあげられる。ヴァンガードは、カードゲームは人と人を繋ぎ合わせてくれる…!」
「ありがとうございます! 僕、六道セイカです! 改めて、よろしくお願いします!」
「あぁ! さぁ、セイカのターンだ!」
●第7ターン(セイカ)
「はい! ユニットをスタンド、メインデッキから1枚ドローです! そして、エネルギーチャージ!」
【セイカ:エネルギー2→5】
「セイカくん! さっき手札に加えた手札の“マリレーン”にライドだよ! ヴァンガードと同じカードにライドすると、特別なことが起こるんだよ!」
「はい! “満場一体 マリレーン”から手札の“満場一体 マリレーン”に、ライドです!」
セイカはヴァンガードと同じカードへとライドする。
「ヴァンガードと同名のカードからカードへとライドした時、特別な能力が発動する。“ツインドライブ!!”アイコンの下を見てくれ。ここにアイコンが1つ記されている。このアイコンを持つ同名カードへとライドすると、このターン中前列サークルにいるユニットにすべてパワー+10000が加算され、さらに1枚ドローできる! これが特別な能力・“ペルソナライド”だ!」
「“ペルソナライド”…カッコいい…! 前列すべてのパワー+10000! メインデッキから1枚ドローです! “マリレーン”の起動能力で、山札から“マリレーン”を手札に加えます!」
【マリレーン】(起動)〇【T①】【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から、このユニットと同名のカードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルし、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
「パワー全開で行っちゃえ!」
「左列の“リサシャ”を後ろへ移動させて、その前にグレード2・“リクリス”、右後列にグレード1・“ニーナ”をコールです! これで“ブースト”もバッチリです!」
右列はグレード3・“アドリアーナ”とグレード1・“ニーナ”。左列はグレード2・“リクリス”とグレード1・“リサシャ”。ヴァンガードのパワーは33000と、攻撃の準備は整った。
「いきます! “リクリス”に“リサシャ”をブーストさせて、パワー28000でヴァンガードへアタックです!」
「ペルソナライドとなるとパワーが高い…! ノーガード、ダメージは“サンベイジング・ドラゴン”」
ユラン(Run)のダメージに5枚目のカードが置かれる。
「“マリレーン”でヴァンガードにアタックです! 自動能力でエネルギーを4つ消費して能力を発動します! 攻撃を終えた“リクリス”を手札に戻して、左前列へ新たに手札から“マリレーン”をコール、パワーを+10000します!」
「その攻撃は、このカードでガードだ!」
そうするとユラン(Run)は、手札からシールドが0のカードをガーディアンとしてコールした。
「シールド0…? それじゃ守れませんよ?」
「いいや、このカードはガーディアンとしてコールされた時に発動する能力を持っている。手札のカードを1枚捨てることで、ユニットを1枚選んでそのユニットに攻撃はヒットしない! 手札の“シザーズ・スコーピオ”を捨てて、“マリレーン”の攻撃は俺の“クリスティアノス”にヒットはしない! これが完全ガードだ!」
【願意の乙女 アレハンドラ】(自動)〇このユニットが(G)に置かれた時、【コスト】[手札から1枚捨てる]ことで、あなたのユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。
「どんなにパワーが高くても絶対にヒットしないカード!? ド、ドライブチェックです! 1枚目・“アドリアーナ”、トリガーはありません。…2枚目…きました! “クリティカルトリガー(朗らかな陽の下で ウォリス)”です! トリガーの効果は、今度こそリアガードの“マリレーン”に与えます!」
「リアガードにトリガーパワーを振れたね!」
「はい! リアガードの“マリレーン”で、Runさんのヴァンガードにアタックです! パワーは13000にペルソナライド、トリガー効果と“マリレーン”の能力で30000加算した合計43000です! そして、そのクリティカルは2!」
「…俺の手札に、その数値を守れるカードはない。ノーガード。だけど、まだ終わりじゃない! ここから“ヒールトリガー”が出れば、次に繋がる! ダメージチェック!」
ユランはメインデッキの上から1枚捲る。
…“クリスティアノス”だ。
「トリガーは…ない。これって!」
「あぁ、これで俺のダメージは6になる。…俺の負けだな」
ユラン(Run)のダメージに6枚目のカードが置かれた。
………
「おめでとうセイカくん! 初ファイト初勝利だね!」
「はい! おかげでヴァンガードのことが知れた感じがします! あの、Runさん…ありがとうございました」
対戦席から立ち、お辞儀するセイカ。
「いいよ。俺の説明、上手くできていたか?」
「はい! すごくわかりやすかったです!」
「なら…よかった」
「実はお兄ちゃんが一番安心しているとか?」
「それはヒユリの気のせいとして。どうだ、ファイト内でも触れたけど…」
「あっ、えっ…あっ! その…突然すみませんでした! 戸惑い…ましたよね」
セイカはファイト中に自分のことを語り始めてしまったことを気にしているようで、ユランに謝罪する。
「いや、いいこと聞いた。なぁヒユリ」
「うん! わたしたちはもうセイカくんのお友達だよ! よろしくね!」
「Runさん…ヒユリさん! ありがとうございます! …わぁっ、もうこんな時間! 僕もう帰らなくちゃいけなくて…」
始めた時間も時間なだけあって、既に外は暗くなり始めていた。
「そうか。気を付けて帰るんだぞ」
「また遊ぼうね!」
「はい! ぜひ、よろしくお願いします!」
そういうと、セイカはティーチングデッキを店員の小幅の元へ返却し、小幅へも一言礼を言うとショップから去っていった。
「セイカくん、すごかったよね?」
「あぁ。…これがAKIの感じていた気分か。なんか、気分がいいな」
ユラン(Run)にとっての初めての先導者。セイカの成長を期待するユランは、まさに先輩ファイターだった。
………
セイカ・帰り道
「楽しかったなぁ…!僕も早く、自分のカードを手に入れたいなぁ…」
そうワクワクする気持ちを抑えられないセイカ。
そんなセイカに、正面から“男”が近づいてくる。
「こんにちは。いや、こんばんは…かな?」
「えっ…。お、どちら様…ですか」
セイカは警戒する。
「キミ、ヴァンガードはやっているかい? 面白いゲームだよねぇ。…キミだけのヴァンガードを、始めたくないかい?」
「えっ……」
この邂逅は、後に…無情な遭遇を生み、とある因縁に、ユランたちを巻き込むこととなる。
続くー。
〇注目カード●
『満場一体 マリレーン』
所属国家:リリカルモナステリオ
ノーマルユニット
グレード:3
パワー:13000 シールド:なし
【起】【(V)】【ターン1回】:【コスト】[【カウンターブラスト】(1)]することで、あなたの山札から、このユニットと同名のカードを1枚まで探し、公開して手札に加え、山札をシャッフルし、そのターン中、このユニットのパワー+10000。
【自】【(V)】:このユニットがヴァンガードにアタックした時、【コスト】[【エネルギーブラスト】(4)]することで、あなたのリアガードを1枚選び、手札に戻し、あなたの手札からグレード3以下のユニットカードを1枚まで選び、ユニットのいない(R)にコールし、そのターン中、パワー+10000。(【エネルギーブラスト】(4)はエネルギーを4つ消費することで払える!)
出自:DZ-SD06/001
クイックスタートデッキ・リリカルモナステリオのメインとなるグレード3。山札から同名カードを手札に加え、次のターンの“ペルソナライド”への安定感は抜群。アタックした時にエネルギーを4つ消費することで、リアガードを手札に戻して、新たなカードをコールすることができる。連続攻撃を狙おう。
●登場人物
加我矢 ユラン(加我矢 癒爛)/Run(H.N.)
使用デッキ:ストイケイア/アテナイアー(オリジナル)、ストイケイア/クイックスタートデッキ
加我矢 ヒユリ(加我矢 日癒璃) )/ヒユリン(H.N.?)
使用デッキ:ドラゴンエンパイア/グランドハイター・ドラゴン(オリジナル)
六導 セイカ(六導 成佳)
使用デッキ:リリカルモナステリオ/クイックスタートデッキ
小幅 イチキ
使用デッキ:ドラゴンエンパイア/オーバードレスG4ニルヴァーナ
ヴァンガード Epoch-Run 5話:初めての先導者(2)