今週、生徒のネームとみっちり向き合った。
大きな声では言えないけれど、
生徒のネーム直しにはいろいろ種類がある。
簡単に言えば初心者用、初級、中級、上級、番外編、って感じ。
彼女の場合は限りなく上級に近い中級、プロレベル一歩手前くらい。
上級は自分が仕事をする雑誌の編集にしてもらうべきだと思うので、
私はしない。(できないって話しも。萌え系・ゲーム系・青年系は作り方が違うので)
番外編はどのジャンルにも属さない個性的な作品を描く子の場合。
そういう子はなるべく手をいれたくないし、いれさせたくない。
その子の個性的な才能をわかってくれる編集に出会えることを祈る。
自分のネームも佳境の中、生徒の作品に入り込み、頭フル回転で体力を使いすぎ、
風邪を引くほど頑張った。ただいま寝こんでいます…。

ネームを作る時、ある程度描ける子ほど陥りやすいのが、「お話を完璧に描いてしまう」こと。
お話が描けて何が悪いのか…とお思いでしょうが、それが落とし穴なのだ。
お話を完璧に描いてしまうと「プロット通りに全部入れて描きました」になってしまい、
感情が後回しの印象が薄い作品になってしまうのだ。
これは本当に私もよくやってしまい、担当に言われたものだ。


「ただプロット通りに描いただけだよね」
「設定読まされてもおもしろくないよ」


自分では完璧にページ調整をして、物語もキャラも破綻せず、きっちり枚数内にエピソードを入れ込みストーリーを完成させて、自信満々に提出しても、「おもろない!全直し!」をくらうわけ。
きっついのなんの。
でも、今それを言う側になっているなんて…。
(言われる側にもちゃんといます)
さすがに「全直し!」は言わないけど、それが必要と思えば、本人が勝手に全部直すだろうしね。

綿密に組まれたストーリー展開の中、動いているのはキャラクター。
「動く」というのは、動作だけではなく、心も含めての意味。
ストーリー構築に集中しすぎると、その部分を同じボリュームで表現して、先へ先へと話しを進め、
きっちりまとめてしまい、どんなによくできたお話でも心に残らないものになってしまうのだ。
漫画の場合、そのものを謳う詩や短歌などと違い、表現したい・伝えたい部分以外にも、感情の盛り上がりを盛り上げるための動きの部分が必要になる。
(そのものだけを描くのが同人誌やショート)
だからどちらも描かなくてはいけない。
その時、バランスに注意するのだ。
展開を「伝えたい部分のための前フリ」と考え、小~中くらいのボリュームに、
盛り上がりを大、にする。
全体を通しての「盛り上がり」の部分のバランスも重要。
ただ感情がばんばん盛り上がればいいってもんじゃない。
唐突にならないように、感情の段階も大切。
感情盛り上がり(大)はなにかと言うと、テーマだ。
作り手としてそれを忘れてはいけない。
テーマ=伝えたいこと、はそこに。

そして、この「感情」うまく描かないと、「なに勝手に盛り上がってんの?」になりかねない。
少女漫画家時代、気をつけていたのが、「悲劇のヒロインになりすぎないように」することだった。
感情表現は読者の感情移入を誘うが、同時に嫌悪感も誘ってしまう危険性がある。
主人公が嫌われてしまってはいけない。
だから相手にそれ相応のことをさせる。
「これはもう好きになっちゃうでショ!」という説得力をもたす。
畑が「大手メジャー商業誌」だったので、マニュアルといえばマニュアルなのだが。
人の好みなんていろいろなので、「私はこういうタイプ、全然こない」って人ももちろんいる。
だから少女漫画の男性キャラは王子様だったのだ。
ツンデレ・ヘタレ・ダメ男が市民権を得たなんてここ10年だ。
ヘタレを描き続けて失敗した私が言うのだ。間違いない!!
だってヘタレが好きだったんだもん!

ものすごいキュンキュンくる「感情表現やエピソード」が上手な作家さんはいっぱいいる。
でも、私はそういう種類の作家さんとは違うのだと数年前に気がついた。
私はそういう伝え方はできないのだと。
同じ少女漫画家でも種類が違うのだ。
なので、作り方があっている作品(仕事)を選ぶようにしてみた。
おかげで楽しくお仕事をさせていただいております。
そういうこともあるので、生徒の作品を直す時、基本的なこと(コマのとりかたなど)をのぞいて、
全員に同じことは言わない。
その「作品」に対してのことだけを言う。
読んでみて、物足りない部分を補足してあげる。
「直し」という言い方がよくないのだな。

「こうしたらもっとよくなるよ」

毎回そう言ってるんだけど、伝わってるかな。

$中堅漫画家は日々格闘、なーのだー

そんな私のネーム、まだあと半分あるのですが、今日は風邪を治すことに専念。
節分で旧正月で新月だから。
なのに、今電話で表紙ラフの直しがきたよー。
あああ、気になって寝られない。
描くか…。

漫画家に必要なのは、身体の安静より心の安静!(涙)