Blue 再読 | 無敵動画堂高田のブログ

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無敵動画堂 というサークルで、アマチュアアニメを製作している者が、アニメや特撮について語ります。

 Blue 再読。

 

   ↓Blue

 

 

 

 先日読了した本が 葉真中顕の鼓動で、その感想をブログに書こうかな、と思ったら前作にあたるBlueの感想を書いていなかったことに気づきまして。

 それで、折角なので再読してこちらの感想も書いておこう、と。

 

   ↓鼓動

 

 

 

 絶叫にも登場した、女刑事:奥貫綾乃が登場する作品になります。

 

   ↓絶叫

 

 

 

 

 平成15年12月、父、母、長女(夫とは離別)、その息子の一家4人が殺害されるという事件が発生。

 最有力容疑者は、一家の次女にあたる篠原夏希(31)。

 犯行後、薬物の過剰摂取により浴室にて死亡。

 彼女は長年ひきこもり状態にあったという。

 しかし現場には指紋や頭髪など、もう一人、何者かがいた痕跡が。

 共犯者の可能性は高い。

 捜査を進める藤崎文吾ら刑事達は、夏希がひきこもりだったのではなく家出していたのだと知る。

 そして彼女には息子がいたらしいことも……。

 だがその息子=青は、出生届すら出ていない、無戸籍児であった。

 

 そして平成31年4月。5月からは新たに「令和」となる 平成の終わり。

 多摩ニュータウン団地で殺された若い男女の死体が発見される。

 二人の身元の捜査に当たった刑事:奥貫綾乃藤崎司は、二人がいわゆるネットカフェ難民であったことを知る。

 そして二人には、7歳になる男の子と4歳になる女の子、二人の子供がいたのだった。

 施設に保護されていた二人の子供の内、兄には、虐待を受けていたらしい痕跡が……。

 二人の境遇を知った綾乃は、激しく動揺する。

 彼女にはかつて、自分の子供をうまく愛せないことに悩み、結果として離縁という道を選んだという過去があったのだ。

 

 二つの事件、その捜査を追う過程で、平成という時代をプレイバックする作品です。

 様々な人物の視点を経て描かれる 平成という時代。

 そこで表面化したもの、その時代に生まれたもの含め、様々な現代社会問題が浮き彫りにされます。

 貧困、格差、無戸籍児、少女売春組織の存在とその捜査に圧力を加える上層部、技能実習生制度で来日する外国人労働者、排外主義……そして今作で主テーマとして扱われている児童虐待・育児放棄……

 これらの問題提起を繰り返しながら、SMAPの「世界に一つだけの花」を筆頭に、数々の平成ヒットナンバーについて作中で触れられ、この時代に生きた人ならば自身の思い出とともに平成時代を振り返る読書体験となるでしょう

 

 この「平成時代プレイバック」「貧困や格差などの社会問題を浮き彫りに」というのは 「絶叫」「Blue」「鼓動」3作共通のスタイルです。

 それ以外にもこの3作に共通するスタイルがあって、

全作に主人公的な立場で登場するのが女刑事:奥貫綾乃ではあるけれど、

どの作品にも「真の主人公」というべき別の登場人物がいる

のです。

 今作においては 篠原夏希の息子 青:通称ブルー です。

 

 正直なところ、「絶叫」の真の主人公である陽子や、「鼓動」の真の主人公である草鹿に比べると 無戸籍児というBlueの生い立ちは、自分を重ね合わせることが難しくはあります。

 このシリーズの大きな魅力の一つに「登場人物と自分を重ね合わせることによる 平成時代追体験」があるのですが、ブルーと自分を重ねるのは……

 が、作者はそんなことは当然分かっていいて、ブルーを取り巻く周辺人物達が、今回はその役割を担ってくれます。

 メインテーマが「親」というあまりに普遍的なテーマであることもあり、自身の両親とのことを思い出しながら、読み進めることになると思います。

 私の母は決して毒親なんかではない、いい親でしたけれど、まぁ、よく怒鳴り合いの喧嘩をする間柄でしたからねぇ……。

 

 親子の問題、そして様々な社旗問題を突き付けられ、Blueの生い立ちに胸が締め付けられるような、哀しく切ないミステリーです。

 

 

 それにしても……この作品で触れられている様々な社会問題、令和になってもどれもこれも解決の兆しさえ見えないってのは……。

 

 

 

 おまけ

 昔作ったやつ。

 ブログの内容とは、全く関係がありません。