マジカル・ミステリー・ツアー
コーヒーにメープルシロップを入れて飲んだらとろけそうになった。
長い一日の終わりの夜に、しあわせであるなぁ。
としみじみ。
これもコーヒーのおいしさゆえでなく、今日がいい日だったからそのせい。
いい仕事した後のビールはうまいのと同じ道理。
今日は、午後から近所の散歩をした。
初夏らしいいい天気で、猫が寝てたり犬が寝てたり。
木がうっそうと生い茂る公園でひとやすみ。
その公園は人と同じように木に存在感があって、個性があって、当たり前だけど生きてるんだなぁと実感する。
しかし、そこは一周ぐるりとまるで異空間だなぁ。
花やしき的な俗っぽい、ユニークさもあって、大好きになった。
ぽつぽつと石畳の上を歩いて、足元のありんことハトのフンに、子供のころをなまなましく思い出した。
子供のころをこんなにくっきり思い出せる場所は、なかなかない。
そのまま公園を抜けて、図書館に向かった。
途中、いい坂があった。
坂好きで有名なタモリさんに教えたくなる。
なだらかな勾配で、上り切ったあたりの右側の壁が空ごと緑に覆われている。
上りきって、その緑はなんの場所なんだろうと思ったら、旧財閥の資料館だった。
さもありなん、なアナクロな雰囲気。
今日、痛感した。
特に東京では、「うっそうと茂る緑」には魔力がある。
長く生きてる木々にはなにかが宿っているんだろうな。
図書館に着くと、中は空調を切ってあり、むしむしと暑苦しく、でも不快ってほどじゃあない。
通りすがりの棚にあった、ワールドミステリーツアーの「東京編」を読んでたら、今行ったばかりの公園のことが書かれていた。
興味深く拝読。
ワールドミステリーツアーなんて本を読んだせいで、心がミステリー色にそまる。
火曜サスペンス劇場を見た後で日本海に行くと、いつも以上にわびしさを感じ、心が探偵気分にそまるのと同じ道理。
図書館を出て、帰路。
ざわざわした心持のまま、またぞろ町に点在する「うっそうとした緑」をふらふら歩き求める。
よい加減に日もかげり、曇り空、ミステリー気分は高まるばかり。
近所のお寺で、縁日があったらしく、境内で屋台をしまうひとびとと散り始めるお客さんを見て。
まさに祭りのあと。
家に帰り、そこからは日常的な庶務・雑務におわれて時間はなんのロマンもなく過ぎ去り、そして深夜、こうしてコーヒーを飲んでちょっと今日を思い出して悦に入ったりしてるわけです。