ORIGINアニメ化その1
ガンダムA創刊の目的が安彦ガンダムの連載であったので、当然ORIGIN完結と同時に幕引きがあると思っていたのですが、創刊当時以上にマーケットが肥大化して行ったのは、10年間紙面を見ているだけでも分かるし、休刊どころかガンダムAそのものがマーケットのインフラと化している。そりゃ富野監督でなくても「いつまでもよくやるのよね」って思ってしまう。以後の冠が北爪氏のZガンダムってのはなんだか微妙だが、新連載インタビューでも氏はなんだかおかしな事を言ってるみたいだが、それはまた別の機会に書くとして、ORIGINアニメ化ってのはなんだろうか?
連載開始の経緯からしてサンライズ公認、富野監督の了承済みではあったのだが、アニメ化を目論んでの事ではなかっただろう。では所詮安彦の手によるコミカライズ化、もしくはファーストガンダムのパラレルワールドでしかないORIGINが何故アニメ化の運びとなったのか?
この10数年間、富野監督のガンダム関連の仕事と言えば、ターンエーガンダム、ガンダム特別編、劇場版Zガンダム、ガンダム20th、30thイベント関連映像の演出、ショートムービー数本と、こんなことろだろう。
ここでは特別版に注目したい。特別編はファンからかなりの酷評を得ているが、監督曰く「再演」との事なので、監督としては初めからそういう意図で制作されているのだろう。一部のファンの間では「ガンダム劇場版のDVDは音声改悪版だ」といった意見があったが、あれは特別版であって劇場版のDVDではない。しかし、本来バンダイが特別版に期待したものは違っただろう。
STAR WARSは新3部作の制作に合わせるかのように、旧3部作を最新CGで切り貼りして特別版なるものを制作した。(細かな呼称等の違いは御了承願います)アニメーションで例えれば、のちの劇場版Zガンダムの「エイジング」に通じるものがある。つまり、サンライズとしては、ファーストガンダムそのものを画像、映像面両方でアップデートする事を期待していたのではないのか?
「ファーストガンダムをそのまま焼き直してくれ。」そういうオファーはあってしかるべきだが、実際にサンライズから富野監督へそういうオファーが過去にあったのか、または監督への仁義としてそれはしていないのか、オファーはあったが監督が断ったか、実際の所は不明である。しかし、富野監督が制作指揮をとる、とらないは別として、富野監督が首を立てに振らない限りファーストガンダムのアップデートは無いだろう。(もしくは勝手にやれと突き放されるか)
ギレンの野望に代表されるような、ガンダムゲームに登場するファーストガンダムのシーンの再現は「絵が綺麗」なだけで、ファースト世代からすると「なんか違う」という感じが払拭出来ない。結局のところ、ファーストガンダムのビジュアルに関しては安彦氏の当時の絵以外は受け入れられないということなのだろう。
そこで、劇場版Zガンダムで行なったエイジングで劇場版ガンダムのビジュアルを直す(直すと言う表現は妥当ではないが)とかいう意見が出てきそうなものだが、成功するかどうか分からないようなビジネスをだれがやるものか。劇場版Zガンダムに関して言えば、前編新作で作った場合と同じくらいの手間は掛かっているが、予算は90分の劇場アニメとしてはかなり低く抑えられている。
監督としても、「絵面だけ変えて映画が完成するほど甘いものじゃない」という思いがあると思う。(もっとも、ファーストガンダムなんていまさらやりたくない、という思いの方が強いと思うが)監督は特別編のインタビューで「絵を変えなくてほんとうに良かったと思う」とも語っている。
そうなってくると、ファーストガンダムを今の時代に合った形でアップデートしたいという目論みは消え去ってしまうのだが、そこに来てORIGINアニメ化、という方便が使えるようになる訳である。正直、節操なしといった感じが拭えないでもない。
ORIGIN完結の祝辞に富野監督のコメントが全く無いのは、編集部の気遣いか、もしくは富野監督が断ったのかは分からない。しかし、サンライズの判断は明らかにビジネスを優先したものといえるだろう。
