日印にこそ、「戦略的互恵関係」が必要だ | 幸福実現党 HS政経塾スタッフEの日記(軍事・宇宙etc.)

日印にこそ、「戦略的互恵関係」が必要だ

 今日の各紙では、インドのシン首相の訪日に関する報道がなされていました。シン首相は、ニューデリーの首相公邸にて会見し、日印関係の強化に関して、様々な意見を述べています。



(産経新聞 2010年10月24日)

http://sankei.jp.msn.com/world/asia/101024/asi1010240300000-n2.htm


「日印間は多くの点で補完しあえる。インドは急速に成長する市場を提供し、インフラ整備での投資を必要としているのに対し、日本はハイテクの大国だ。日本の技術力とインドの市場が提携すれば、両国に有益な成長の機会をもたらすことができる」

「日印関係は多面的だ。今後は石炭、原子力、代替エネルギーなどのエネルギー分野で、日本の投資と技術力がインドにとって大きな助力になるだろう。また、今日の世界にはテロの脅威がある。海上警備や海賊など安全保障と防衛面で連携できる可能性が大いにある」



 今回の訪日の主な議題は日印EPA(経済連携協定)や日印原子力協定などと思われますが、中国の危険性が尖閣諸島を巡る一連の事件で明らかになった今こそ、日本は、インドとの関係強化に一歩を踏み出すべきです。


 

 ジャーナリストであるビル・エモット氏は、現代は、『アジア三国志』の時代であると述べていますが、最大の大国である魏に対して、蜀と呉が連携して「赤壁の戦い」を展開したように、「中国の台頭」に対しては、日本とインドが連携して、その軍事的野心を封じ込めることが大事なのです。



 日本が尖閣諸島を巡って中国と対立しているように、インドもまた領土問題において中国と対立が続いています。インドが中国ともめているのは、パキスタンとも領有を争るカシミール地区の一角にあるアクサイチン地区であり、この地域は、西アジア(アフガニスタンやイラン方面)と南アジア(パキスタンやインド方面)に出るための陸の要衝と見られているのです。そこには、東シナ海にある尖閣諸島が海の要衝であるのに似た問題が潜んでいます。



※アクサイチン地方の重要性

(平松茂雄著『日本は中国の戦争に絶対巻き込まれる』P98)
「アクサイチンは、インドとパキスタンが領有を争っているカシミール地区の一角にあり、チベットのアリ地区からパキスタン領のカシミール地区との間に聳えるカラコルム山脈を越えれば、パキスタンの首都イスラマバードは至近距離にあり、西はアフガニスタンに繋がり、さらにその先はイランである。イスラマバードからカラチに出ればインド洋であり、ペルシャ湾は間近である」



 さらには、チベットを支配した中国は、ネパール、シッキム、ブータンをも脅かしており、インドは中国への警戒の目を緩めることができない状況にあるのです。



(平松茂雄著『中国の安全保障戦略』P54~55)
(毛沢東は)「チベット全土にわたる大規模な道路建設を実施した。まずチベットと中国本土および新疆を結ぶ道路を三本建設し、域内の空軍基地や軍隊の駐屯地を結ぶ道路、チベットからインド、ネパール、シッキム、ブータンとの国境の要衝に通じる道路を建設した。そのうちのチベットと新疆を結ぶ道路が、インドが自国の領土と主張するラダク地区、中国名アクサイチン地区において、150キロメートルにわたって横断して建設された。これはインドに強い衝撃を与え、西部国境における軍事衝突の契機となった」



 シン首相は「海上警備や海賊など安全保障と防衛面で連携できる可能性が大いにある」と述べていますが、民主党政権は、自衛隊のインド洋での給油活動に反対し、それを止めさせた政権でもあります。



 幸福実現党は、結党以来、日印同盟の締結を訴えてきましたが、日本は今こそ、日中友好の幻想に酔いしれることなくアジアの厳しい現実を見つめ、バランス・オブ・パワーの原則の下に、外交の方向転換を行うべきなのです