令和5予備試験論文民法 評価E
第1 設問1
BはAに対して、本件請負契約(民法(以下略)632条)に基づく報酬として250万円の支払いを請求する。
これに対して、Aは、甲は本件請負契約締結前の7月1日に本件損傷が生じて修復不能となっている。そこで、本件請負契約は履行が原始的不能(412条の2)であるから無効であると主張することが考えられる。
しかし、412条の2第2項には「債務の履行がその契約の成立の時に不能」とあり、履行が原始的不能であっても契約が有効であることを前提とする。したがって、履行が原始的不能であっても契約は有効である。
よって、Aの主張は認められず、本件請負契約は有効である。したがって、Bの請求は認められる。
第2 設問2
1小問(1)
(1)Dの請求が認められるためには、Dに乙の所有権がある必要がある。しかし、Bは契約条項(3)により乙の販売権原がないため、BD間の売買契約は他人物売買(561条)にあたる。よって、Dは乙の所有権を取得できず、請求は認められないのが原則である。
(2)もっとも、Dは乙の所有権を即時取得(192条)できないか。
アDはBと、乙について「取引行為」をしている。Dの平穏、公然、善意は186条1項により推定される。無過失も188条により推定される。
イそれではDは乙の「占有を始めた」といえるか。
BはDに対し、乙は以後DのためにBが保管すると告げ乙を梱包してB店舗のバックヤードに移動している。したがって、Dは乙の占有を占有改定(183条)により取得している。原所有者の静的安全を保護すべく、占有状態の外観に変動がない占有改定は「占有を始めた」に含まれないと解する。
よって、Dは乙の所有権を即時取得することはできない。
(3)Dの請求は認められない。                                     以上

 

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