現在唯一所有しているまともな双眼鏡です。
今回は最優先で“見かけ視界が狭い”と“倍率が低い”という基準で選択しました。理由はひとつ前の記事を読んでください。その他には、色収差補正が優秀、ギラツキの無い見え味、着色が少ない、瞳径が最低でも5mm前後、ダハ、そしてデザインが好みという沢山の条件を出しました。全て満たされてなくても可能な限りという感じです。
最近は高性能・広視界が当たり前で、一定水準以上の双眼鏡群の中では見かけ視界60度を切る製品を探すのが難しい状態です。結局、最後まで残ったのはビクセンのSG6.5x32WPとニコンのEDG7x42だけでした。この二機種は上記条件を全て満たしています。コンパクトなSG6.5x32WPは視野がとても自然で見易く優れた双眼鏡なのですが、以前ヨドバシカメラで実際に覗いたときに無限遠にピントが出ないことが分かっています。これはいかんともしがたく消去法でEDG7x42となりました。

EDG7x42は、デザインがとても気に入っていた8x32と比べ鏡筒がひとまわり以上太く感じますが、秀逸なデザインはそのままです。個人的にEDGほど美しい外観を持つ双眼鏡は他には無いと思っています。とくに後ろから見た姿が好きで、単色で非常にシンプルではあるものの、曲線を伴なう僅かな起伏と、近似色のパーツで上下を挟まれた、まるで大根のような胴体には色気すら感じます。まぁこれに同調してくださる方は多分いないでしょう(笑)。

対物レンズは深い黄緑色の、パワーストーンで有名なペリドットのような色味で、これまた美しいものです。評判の悪かった対物キャップもハマりやすく外れにくいものになっており、またヒンジ部分も動きにくく調整されていて、改良されたんだとすぐに分かりました。
新品のEDG7x42を箱から出し、遠方を見ながらピントリングをぐりぐりと回すと、無限遠にピントが合った瞬間にピントリングがカチンと底当たりして回らなくなりました。「えっ!もしかしてこれが一杯…?」。そうです!無限遠にピントは出たものの、あまりにもギリギリでの合焦でした。同時にふと甦る記憶がありました「そういえばEDG8x32購入時にニコンプラザで7x42と見比べをしたよなぁ」。下記は自分のブログ内にある、その時の自分で書いた記事の一説です。
【見比べの結果として、EDG7x42は無限遠でピントが出ないことがわかりました。私は左目がより悪いのですが、双眼鏡には左右の視度調整機構が付いているので、双眼鏡を左右逆にするとピントが出るときがあります。残念ながらそのやり方でも7x42は無限遠にピントが出ませんでした。変わってEDG8x32はかなりの余裕を残してピントが出ます】
完全に忘れていました(笑)。今回の個体は無限遠に少し余裕があった為、奇跡的に合焦したのでした(^^; もしかしたら改良時にマイナス側の調整に少し余裕を持たせたのかとも思いますが、単純に個体差で救われた可能性もあります。とにかく本当に助かったという思いでした。この双眼鏡はメガネ着用でも視野環を見れますので、最悪メガネ付でも使用できるのが救いではあるのですが、やはり余計なものは間に極力挟みたくはないですからね。ピントが出ると分かったら、時間を掛けて慎重に左右視度調整と目幅調整をします。これを怠ると双眼鏡の性能を引き出せません。
肝心な見え味はニコンびいきではない私でも、お世辞抜きにしてもやはり素晴らしい。見かけ視界56度の中にギュッと詰まったような密度感の高い描写です。視野内がとても端正で落ち着いていてギラギラせず肉眼の延長のように感じるのはEDGに共通する部分だと思います。8x32に比べ色収差が細く濃く出ますので8x32より少しだけ目立つ感じです(といっても非常に優れた補正です)。あと視野周辺部の破綻の少なさも8x32の方が優れています。逆に7x42の方が優れている点は、当然ですが明るさが断然違い、他には視野内の透明感、色の正確さに一見して違いを感じます。視野内にオレンジ色に近い黄色の着色がありますが、極々軽微で普通に見ていて感じるレベルではありません。瞳径の大きさの影響もあって、色乗りが良く正確であるので空気の澄んだ日の新緑に覆われた山の斜面や、近くにある木々などはもちろん、人工物であるアスファルトやコンクリートまでもコントラストの高さも相まって美しく色深く視野内を彩ってくれます。黄昏時などの視野内の美しさも言うに及ばずです。透明感と色の美しさだけでも価値のある双眼鏡だと思います。以前は星見メインだったということもあって、像の着色はほとんど気にならなかったのですが、昼間の景色を見る割合が増えるにしたがって、段々とそれもかなり気になるようになってしまいました。10x50FMTもWX10x50IFもこと着色(黄色)に関しては、私にとって許容範囲を少し超えている程に感じます。覗いた瞬間に黄色いなと感じます。一度気になると昼間の景色は着色の少ない双眼鏡でないと見たくなくなります。ほんと人間の眼は贅沢なものです(^^;
解像度は私の中で最高評価のZeiss 7x50B/GA T*Marineの精緻で繊細な描写と比べると少し劣るでしょうが、必要にして十分で全く不満はありません。
先日のゴールデンウィーク中に、この双眼鏡をお伴に丹後半島をドライブしてきたときも、海、岩場、そして木々の緑を色濃く見せてくれて、景色を肉眼の何倍も美しく見せてくれました。星見と言えば同口径なら7倍機より10倍機の方に軍配が上がるのですが、昼の景色などを主体で見るとなると、大瞳径の魅力が俄然影響してきます。当機の6mmという瞳径と見かけ視界の狭さ、そして合焦したという幸運も重なったので、しばらくはEDG7x42のみで双眼鏡ライフを楽しみたいと思います。今のところこの双眼鏡で酔う現象は全く出ていません(^^)。

写真は丹後半島の屏風岩。
このような景色を双眼鏡で見るとため息が出るほど美しい!