[コラム]君は今井科学「サブロック」を知っているか? | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~

皆さん、お元気ですか。



忘れた頃にやってくるのは、悪い風邪と仕事の締め切り、そして。

パチモン。


今日も街を歩いていたら、運悪く遭遇した魅惑の期待。サブくなるその名も。

サブロック。


欲しがりません、勝つまでは。しかし勝ったことないのに買ってしまった己の不幸を呪うがいい。



あの混乱の末に消えて行った、哀愁の会社・今井科学の開発したキット。それでは箱絵からご覧ください。



魚雷ですか?


これに乗ったが最期、死への片道切符です。一瞬空に浮かぶ飛行船?と思いそうですが、US NAVYという文字から確信は変わるのです。


そう。これは海へと帰りたい人の本能の具象化なのです。何という投げっぱなし哲学、今井科学!




それでは箱の横を見てみましょう。


怪しいお友達がずらり。


何でしょう。遠目に見てももはやシラミの海に落ちたが如く如くむず痒いです。もはや才能です、何の役にも立ちませんが。



では1人目のお友達は「ミニサブマリン」。


海の中で火を吹いてます。


水中でお尻から炎を噴射してなぜ進むのだろう、そんな無粋なことは考えてはいけません。根性なのです。


もはや気合いで爆雷も跳ね返せ!という、人間の力を信じて突き進むのです。コロナが治った時に、抗体できたと無敵モードに入り遊び回った石田純一並みに爆進します。



さて、次のお友達。


タンデム1号…。


急に平和になりました。仲良く並ぶ2人。


「深いねー、怖いなー」

「あ、見て見て!深海魚!」


そんな楽しい会話が浮かびます。そして2号はあるのだろうか?そんなことは考えてはいけません。量産化の野望…そう、夢を見るのが自由なのが民主主義の特権なのです。



それでは次の患者さんどうぞ。


P-1ゼロ号。


…一体何を言いたいのでしょう?パワーゼロ?ゲッター…いや決してそんな事は無いのです。パイロットの脇が少し甘い、そんなこともないのです。


海だから、スクリューの方が…ホバークラフトのように少し浮いたら…そんなことありません。浮力に反旗を翻し、あえて超低空を飛ぶ…そのストイックさが、高度経済成長期を支えた団塊世代のパワーなのです。



それでは、最後のご遺体。


サンダーボート。


名前に突っ込んだら負けです。一見冗談のように噴き出す水飛沫から水を滑走しているように見えますか、よく見ると、設置点を最小限にし宙に浮いています。麻原…おっとおっといけません。


「最近どうよ」

「ぼちぼちですね」


そんな有益な会話をしているかのような、パイロット。2人に思わずにんまりします。



それでは開けてみましょう。いでよ、昭和の怨霊!静まれ、荒ぶる魂よ!


ビックワンガム?


まるで、縄跳びのグリップのような、シンプル設計。これが轟音響く強力兵器サブロックへと昇華するとは、誰もが想像できません。



今回説明書は定番の箱の裏ではありません。独立した1枚の設計書、見てみましょう。


なぜか裸の男しかも少しだるーんとした体。


手には海の苦難を生き抜く、鋭利なダイバーナイフ。足には高速で泳ぐ、足ヒレ。そうなのです、これは攻撃力ある高速艇・サブロックを、人間として具現化した肖像なのです。


どこまでもアカデミック、今井科学!


でも組立図をよく読まなくても作れます。そんなことを言っては何も始まりません。相手は今井科学なのです、蛙の顔に小便とはこのことです。



こうして私はそっと箱を閉じるのでした。