諸君、ご壮健かな。
何十年も物語の時間が止まっていた物語。それがカリオストロの時計塔の如く、ゆっくりと動き出した。
それは。
スラムダンク。
上映の予告もされていたが、何を描くのか全く分からなかった。私は上映後にすぐに見に行ったが、まだ見ぬ同志もいると思い、少し遅れて記事をアップすることにした。
SLAM DUNKといえば…。
桜木花道と流川楓が主人公。
しかし彼ら可能性に満ちた一年生より、苦難と努力を重ねた二年生や三年生の方が思いは強いわけで、その当たり前のことに気が付かされた映画であった。
沢山の報われなかった高校スポーツアスリートはいたであろう。試合にすら出られなかった人もいるであろう。
そこから這い上がるのがいかに困難であるか。
勝つことをずっと諦めていたチームで、その魂の炎を燃やし続けることがいかに困難であるか。
そんな彼らが見事に咲かせた花だからこそ、現実で時に燻る我々の心を打ったのであろう。
本編ではその苦悩が明確に語られなかったのが。
宮城リョータ。
彼の中にも燻る哀しみ。5人の中で最も過酷なのかもしれない。
誰にでもあるあの頃、そこに垂らされる一条の糸。それがスラムダンクかのかもしれない。
きっといつかは球は来る。そう信じて、今日もまた歯を食いしばるのだ。