※この記事は過去記事の再構成です
諸君、ご壮健かな。
私はいままで、シャア・アズナブルのふとしたしぐさに、心が惹かれたシーンをとりあげてきた。
(過去の「その瞬間、君に恋をした 」)
しかし「機動戦士ガンダム」シリーズには、彼以外にも視聴者を魅了してやまない登場人物がいる。
今回取り上げるのは。
ジュドー・アーシタ。
ハマーン・カーンとの決戦を終えて、死んだと思っていた妹・リィナと再会するシーンである。
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ブライト・ノアは、ジュドーに会わせたい人がいると告げる。
その一言の意味が、ジュドーにはわからない。
もう、最愛の妹・リィナはいない。戦いも終わり、生きる糧を無くし抜け殻のようになった自分に、誰が。
ジュドーは気がついた。
その人の姿に。
ジュドーは駆けだす。
その足は、近づくほどに早くなる。
そう。
そこには。
「リィナー!」
「お兄ちゃん!」
リィナも駆けだす。
その離れていた、空白の時間を埋めるかのように。
「アッハッハッハ」
「お兄ちゃん!」
「コイツ、大きくなってさァ!」
そう言う、ジュドーの目には涙が光っていた。
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このシーンは、私の心を、大きく震わせた。
ジュドーの心は、空っぽだった。あれほど大切であった妹はとうに失い、いつしか自らの存在を見いだした戦いももうしなくてもよくなった。
帰るべき場所も、自らが勇躍できるものも。
もう、ない。
その空虚なジュドーの目に、リィナが飛び込んできたとき。彼は、それがどんなにか大きな光に見えたことだろう。
ジュドーの不器用な、優しさ。
「よかった」
「心配掛けやがって」
そんな妹に寄りかかる言葉ではない。
「コイツ、大きくなってさァ!」
この一言に、彼のたくましくも柔らかな心が、凝縮されている。
(過去記事の目次 )
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