諸君、ご壮健かな。
パオロ「あの店、つぶれたよ。」
シャア!「そうですか…。」
あの店とは、神田の店。
仲良いパオロが、連れていってくれる予定だった下町の屋台に近い汚ない店。
都心部では、震災の影響で早く帰る会社員が増え。
日銭で回すあの店は、耐えられなかったのらしい。
もしかしたら、震災の被害もあったのだろうか。
あの震災から三週間。
激しい揺れはまだ身体に残っているし。
足が痛くなるほど歩いた疲れはまだ覚えている。
都会の人にも、確実に傷跡は残っているのだ。
被災者の人々は、今でも辛い思いをしているし。
その心中は、察するに余りある。
彼らには平和な生活もあったろうし。
ささやかな楽しみもあったろう。
それを全て、あの震災は流しさってしまった。
でも。
それを見て、罪悪感を感じ。
都会の人々が、縮こまる必要はないのではないか。
被災地の人々ほどではないが、それぞれの心に傷を抱え。
原発や余震の恐怖に怯え。
その思いに苦しみながら、縮こまっている。
癒さねば。
今に壊れてしまう。
足が遠退いたお気に入りの店に行くことは、罪ではない。
店をつぶすまいと金儲けをすることは、はずべきことではない。
都会の人だって、傷を癒していいんだ。
経済が行き詰まって、積み重ねた温もりを失うことは、誰も望んでなんかいないんだ。
平時に戻る復旧や復興に向かう被災地。
じゃあ、ここだって平時に戻るようにするべきだ。
平時なら笑える。
じゃあ、笑えば平時に戻れるはず。
士官学校(大学)時代の友人から届いた、一通のメール。
「うまいワイン、飲みに行こうぜ。」
どこまでも危機感のないメール。
でも、その裏にあるはずのシャア!と同じ思い。
それを感じ。
シャア!は少し、温かくなった。
近いうちに、足が向いてなかった和光前に行こうかな。
あと、宿題の本郷も行かなきゃ。
神田だって、まだいい店があるはず。
無理して騒ぐ必要はない。
以前の生活に戻ればいいだけ。
一生忘れられない、そんな3月。
昨日食べた寿司屋のオヤジの一言。
「シャア!さん、久しぶりだね!」
今でも耳に残っているその一言に、シャア!が長々と書いた、全ての思いが詰まっていた。