オリジナルGNドライヴと擬似GNドライヴ。基本的には、色んな面でオリジナルの方が優れているのは言うまでもなく、擬似に比べてオリジナルが劣る点は、擬似ならではの製造の容易さや製造期間の差による量産性の違いだけだったと思われる。ただ、擬似に対するオリジナルの優位性は常に一定ではなく、それほど圧倒的な差を保ち続けていたわけでもない。…というか、思ったほど差がなかったという印象があるんだけど?


1stシーズン第18話「悪意の矛先」の中で、擬似GNドライヴをイアンがこう分析していた。「機能的には(オリジナルと)同じだが、炉心部にTDブランケットが使用されていない。ドライヴ自体の活動時間は有限…言ってみればこいつは、擬似太陽炉だな」と。TDブランケットというモノが、具体的にどういうものなのかはわからない。ただ、TD=トポロジカル・ディフェクト[Topological Defects] → 位相的欠陥という現象を現す宇宙・SF用語…である可能性は高い。ブランケットが英単語の「blanket」なら覆う物…つまりは炉心を外部から遮断する為の密封容器みたいなモノか?これだけじゃ「だからなあに?」という話だが。


とりあえず、1stシーズンの時点では、オリジナルGNドライヴと擬似GNドライヴの間には、以下のような違い(特徴)があるとされていた。


■オリジナルGNドライヴ (1st時点)

粒子の色が青緑色

半永久的にGN粒子を生産し続ける

製造以降ずっと停止せず稼動し続けている

オリジナルドライヴからのGN粒子は基本的に無害

トランザムシステムの発動が可能


■擬似GNドライヴ(1st時点)

粒子の色が血のように赤い

活動時間が有限でエネルギー切れがある

停止状態からの起動には、専用の始動機が必要

擬似GNドライヴの粒子は攻撃用に圧縮した場合、細胞障害を引き起こす毒性を持つ

トランザムは出来ない


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しかし、オリジナル、擬似共に2ndシーズンでは改良が加えられ、その性能差・機能差は近づいてきているように思える。2ndシーズン時の各ドライヴの状況は大体以下のような感じだと思う。


■オリジナルGNドライヴ (2nd時点)

粒子色は変わらず

半永久機関であることも変わらず

延々と稼動し続けている点も変わらず

無害性も変わらず

トランザムシステムも変わらず(機体側の対応で任意ON/OFF可に)

ドライヴの小型化に成功

ツインドライヴシステムの実現にとりあえず成功

ライザーシステム開発によるツインドライヴの高性能化

隠しシステムのトランザムバーストが発動可能


■擬似GNドライヴ(2nd時点)

粒子の色が明るいオレンジ色

活動限界があるのは変わらないが、機体含めて改良され連続稼働時間が延長

停止状態からの起動には、専用の始動機が必要なのは相変わらず

粒子の毒性問題は解消、無毒化に成功

量産性の高さを利用した複数ドライヴ搭載化も実現

トランザムシステムを実装した物も登場

擬似的なツインドライヴを実装した機体も登場


1stシーズンでは、オリジナルと擬似の最大の違いは、要点を言えば粒子の有毒性と稼働時間の有限性、そしてトランザムシステムが可能かどうかだったと思う。しかし、擬似GNドライヴの発するGN粒子も、その毒性問題は2ndシーズンにおいてはほぼ完全に解決されている。さらに、擬似GNドライヴの動力源としての最大の弱点は、稼働時間に限界がある点だったはずだが、その弱点が如実に実感されるシーンは劇中には殆ど描写がなかった。敢えて言えばガンダムスローネがアフリカの山中にあった補給拠点を失った後、充電の機会を得られないまま人革連のGN-X部隊に追い詰められた時ぐらいだ。しかし、結局擬似GNドライヴが作戦行動中に稼動限界を迎えて停止したシーンは一度もない。要するに、通常なら実用上困らない程度の連続稼働時間を、擬似GNドライヴも最初から十分に確保しているということだ。


1st~2ndシーズン序盤まで、オリジナルドライブの最大の強みはトランザムという切り札がある点だった。トランザムを発動すれば、複数の擬似GNドライヴ搭載機を相手にしても、劣勢を覆せる切り札となっていた。しかし、それすらも2ndシーズン途中からはオリジナルだけが可能というワケでもないことが判明した。元々トランザムは機体全体に蓄積された粒子の全面開放システムだったわけで、そのシステムがオリジナルGNドライヴのブラックボックスに隠されていただけだったのかも知れない。仕組みさえわかってしまえばドライヴがオリジナルだろうが擬似だろうが関係なく実現出来る…トランザムはそういうシステムに過ぎなかったのだろう。エイフマンとビリーによって独自に編み出されたトランザムもあり、トレミーから盗み出されたデータがあればリボンズの擬似ドライヴ搭載機でもトランザムを実装することが可能だった。最早、トランザムはCBのガンダム、及びオリジナルGNドライヴだけの専売特許というワケではなくなった。


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ダブルオーガンダムのロールアウトにより、イオリアが基礎理論を構築したツインドライヴシステムが実現した。さらにその性能を十分に発揮する為のオーライザー(ライザーシステム)の開発により、オリジナルGNドライヴを2基搭載するダブルオーならではの優位性が再び高まった。ある意味これはGNドライヴの究極の姿だと言えるだろう。しかし、これもツインドライヴシステムのデータがリボンズ側に渡ることにより、擬似GNドライヴ2基でもツインドライヴが実現出来てしまった。勿論、ツインドライヴになっても、擬似GNドライヴの連続稼働時間の制約は残されているが、それでも実用上はその制約が足枷になるほどの長時間の持久戦は滅多にない。リボンズは、刹那の乗るダブルオーライザーの強さを「オリジナルのGNドライブの恩恵があればこそ」だと思い込んでいたフシがあるが、モビルスーツの動力源としてのGNドライヴ自体の性能的には、オリジナルと擬似の差はこの時点ではもう殆どなかったと言えると思う。


オリジナルGNドライヴ、及びオリジナルGN粒子の持つ本当の優位性は、MS等の動力源としての性能とは他にあったと言える。トランザムバーストによる意識共有領域の展開、人類をイノベイターとして覚醒させる効果、物質の量子化や量子の転送効果…等々。そっちがイオリア計画的には本命だったと言えるだろう。