2ndシーズン第19話「イノベイドの影」にて、リヴァイブの乗るガデッサとティエリアの乗るセラヴィーガンダムの一騎打ちが行われた。どちらも高出力粒子ビームによる砲撃を得意とする機体であり、どちらもイノベイドをパイロットとする機体でもあり。割と興味深い対決かと。


■ガデッサ

型式番号:GNZ-003

頭頂高:24.8m(通常時)/21.4m(接地時)

本体重量:60.4t

武装:

GNメガランチャー×1

GNバルカン×2

GNビームサーベル×2

GNカッター×6

備考:脱出ユニット装備


■セラヴィーガンダム

型式番号:GN-008

頭頂高:18.2m

本体重量:67.2t

武装:

GNバズーカⅡ×2

GNキャノン×4

GNビームサーベル×6

備考:セラフィムガンダム装備


まぁ、この程度の表面的なスペック比べても大した事はわからんのだけど。とりあえず数値的には、ガデッサはセラヴィーよりも本体サイズ(寸法)的には大きく、重量に関してはセラヴィーの方が重い事がわかる。武装的にもセラヴィーの方が重装備で、それが重量に表れていると言えるかも知れない。また、重量には恐らく装甲の厚さも反映しているだろう。どうみてもガデッサの方が身軽で機動性が高そうだし、セラヴィーの方が鈍重で、動きが重い代わりに装甲が厚く頑丈なように見える。見た目的には。


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各機体の設計コンセプトを見た場合、ガデッサはCB側に例えるなら、ケルディムとセラヴィーの中間的というか両立的な役割を担うように設定されているように思える。ケルディムほどの繊細な精密射撃は出来なそうだが、ケルディムに近い長距離狙撃(射程距離)をGNメガランチャーにて実現している。その上で、ガデッサはガンダムヴァーチェの運用データを参考にしており、ヴァーチェのGNバズーカを発展させたものがGNメガランチャーでもある。その為ガデッサはヴァーチェを凌ぐ高火力を実現しており、絶大な威力を持つ大砲を持っている。射程の長さと威力の強さの両立。それがガデッサのコンセプトのような気がする。


対するセラヴィーは、基本的にヴァーチェのコンセプトをそのまま引き継いだ発展型だ。恐らく火力そのものはヴァーチェを上回る威力を誇り、ガデッサよりも総合的には火力は大きいかも知れない。ただ、射程や照準の正確さは然程重視されておらず、長距離の狙撃には全く向かない気がする。良い意味で、大雑把にぶっ放せば広範囲の敵を消滅させられるように出来ているのがセラヴィーなのだと思う。時間を掛けて神経を使って精密な射撃をする機体ではないのだ。つまり一見ガデッサとセラヴィーは似たコンセプトに見えて、実はより一層重装砲撃に特化したのがセラヴィーであり、射撃全般の汎用性を高レベルに持たせた機体がガデッサなのだという気がする。


どちらも大砲を持っている機体だが、実は本体の基本フレームが近接戦闘用のガラッゾと変わらないガデッサは、機動性的には鈍重なものではない。取り回しの悪い大砲さえ手放してしまえば、それなりに高速で動き回れる機体のように見える。そして、対するセラヴィーは、見た目通りに重武装・重装甲を持つ機動性の低い機体であるに違いない。


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この2機が一騎打ちので直接対決をする。しかも、互いの得意分野である砲撃戦ではなく、わざわざ至近距離での格闘戦で、である。「その機体、やはり接近戦が得意ではないらしい」と言い放つティエリア、それに対して「君の機体ほどじゃないさ。火力ばかり優先して…」とあざけ笑うように言い返すリヴァイヴ。


実は2nd第14話「歌が聞こえる」にて一度ガラッゾとの格闘戦を経験しているティエリア。この時は機体の機動性でもパワーでも力負けしていたセラヴィーだ。勿論ガラッゾはガデッサと異なり、元々格闘戦用にチューニングされているのでその得意分野では敵わないのもやむを得ないのかも知れないが、ほぼ同じフレームを持つガデッサもガラッゾと遜色のない駆動力を持つと考えても間違いはない。セラヴィーは結果的にはガラッゾに勝ったが、それは格闘戦能力で上回ったわけではなく、初めてセラフィムを使用して意表を突いた奇襲で勝利を収めたに過ぎない。やはり鈍重なセラヴィーの方がガデッサよりも近接格闘に弱いのでは?という不安が過る。接近戦は身軽で素早い動きが出来た方が有利…そういうセオリーが何となくあるし。


オリジナル太陽炉を持つセラヴィーだが、実は出力的(単位時間あたりの粒子生産量など)にはガデッサの擬似太陽炉も決して遜色はなく、連続稼働時間の面を除けば、MSの動力源としての差は殆どない。そして、ガデッサやガラッゾは両肩が異様に大きな丸みを帯びた形状だが、ここに大型のGN粒子コンデンサを持っており、粒子貯蔵量も相当なレベルにある。それが「ガ系」機体の高性能・高出力の裏づけともなっている。セラヴィーと言えども通常パワーで敵を圧倒する事は難しい。


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しかし、CB技術陣もバカではない。かつてヴァーチェの頃に接近戦での弱みを露呈した事実は学んでいる。セラヴィーは見るからに格闘戦には弱そうに見せているが、格闘のキモは何も機動性や出力の大きさだけではない。セラヴィーにはトランザムという一定時間内の高出力化という切り札もあるが、それ以上に格闘戦での弱点を補い優位を確保する為に、“手数の多さ”という武器を備えていた。ボクシングなどでは、手数と言えばパンチのスピードと回転を上げて繰り出す回数を増やすことを指すが、セラヴィーの場合は文字通り手の数を6本に増やしている。重装甲ゆえに動きは決して速くないが、物理的に手の本数が敵よりも多ければ、敵はそれを全てかわし切れなくなる。


パワーでも機動性でもガデッサは負けてなかったかも知れないが、敵の斬撃を受け止めるビームサーベルを持つ腕が2本しかなかった。それに対してセラヴィーは両腕の他に両膝と両肩(実際は背中のセラフィムから生えてるが)にそれぞれ2本ずつ、計6本の腕とビームサーベルを持っていた。それと残念ながらガデッサはGNフィールド発生装置を持っていなかった。フィールドを展開出来れば6本のサーベルを受け止めることも出来たかも知れないが、その差が明暗を分ける事にも繋がったかも。セラヴィーは本体性能的には鈍重で格闘には向かないが、決して格闘戦を一切考慮していない機体ではなかったということだ。格闘戦用の武装を複数装備する事で、苦手分野への対応力を強化してあったという事だろう。