M1918トレンチナイフ『ナックルダスター』 | MOWEL BOX

M1918トレンチナイフ『ナックルダスター』


m1918

全長 32センチ

重量 470グラム

刃渡 15センチ

生産国 アメリカ


第一次世界大戦で米軍が歩兵向けに支給したブーツナイフ。

グリップ部分のナックルガードは滑り止めスパイクとナックルダスター(メリケンサック)を兼ねている事からついた愛称で、制式番号はM1918。

 塹壕を利用したトレンチ・バトルが主体のWWⅠ当時、塹壕に斬り込んだゼロレンジで小銃は振り回す事もままならず(まだSMGは開発されていない)、けん銃と銃剣によるドロ沼の格闘戦が主体となったのだが、従来の銃剣では刺突した際の血でグリップが滑る上に徒手格闘戦に縺れこんだ場合、敵の攻撃によって銃剣を落としてしまうなど不都合も多く、徒手格闘、剣撃両方に使えるゼロレンジ専用ナイフとして開発された。

当初は塹壕戦の切り札として重宝された物の、カップガードの形状によって握り替えが出来なかったり、鋳物の一体成型なので切れ味も鈍く刺突専用にしか使えない上、冬季には手袋をはめて使えず、しかし素手で握ると手が凍りつくなど欠点も多く、歩兵や海兵隊員は私物のボウイナイフやハンティングナイフに持ち替えるケースも少なくなかった。

 やがて戦術が塹壕戦から野戦に移行するに従い、ナックルダスターは支給されなくなったが空挺部隊、戦車兵など狭い所で活動する部署には好んで使用され続け、民生品の私物などを持ち歩く兵士も多かった。

 特にSMGとの相性はよかったようで、マーケットガーデン作戦、D-DAYの際はトンプソンM1 にシースを括りつけ、弾倉交換が間に合わずゼロレンジ戦になった場合、抜刀して対応できるよう現地改造していた事が当時の資料からも伺える。

第二次世界大戦終結後、ゼロレンジ戦闘での装備を重視した米軍はバックマスター、グランドマスターズなど格闘用ナイフ、コンパクトSMGやCQB戦術を生み出し、ナックルダスターはその役目を終えたが、その特異な形状は民生品としても人気があり、幾度もリバイバルされ再販されている。