part1はこちらから。
いよいよ終盤part4です。
では続きをどうぞ。
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あらかたのニュースを漁った。

書いてあった内容はどこにでもありふれた

内容だった。

しかしそこには間違いなく親友だった

名前が乗せられている。

その事実を上手く飲み込めないまま、

あっという間に数日が経った。

あれから一歩も外へ出れていない。

友里を探す事なんて出来るわけもなく、

なにもせず只々現実を受け入れられないでいる。


そんな時、自宅のチャイムが鳴った。


居留守を使っていたが、頻繁になる為、

鬱陶しくなり、玄関へと向かった。


「はい。。」

「えっと、、詩穂ちゃん?久しぶり。。

といっても数回しか会ってないね。」

そこにはどこか親友の面影をもった

女性が立っていた。


「・・・奈々のおばさん??」

「もう、葬儀も終わってね。。どうしても、

これだけは渡そうと思って。。

あなたの連絡先、奈々の携帯から

確認しちゃったの。住所まで書いてあって

助かったわ」


初めて出会った頃連絡先を交換する時、

お互いの住所まで書き残していた事を思い出す。


「これ、、奈々からの手紙。受け取って。。

私とあなただけよ。奈々からの貰うの。」

そう言って、少し震えた手は

詩穂の髪や頬を撫でていく。

「あなたは頑張んなさい。。

私が言えるのはそれだよ。」

涙で震えながら、クシャと笑うその笑みに、

思わず涙が流れた。


「いまさら、何書いてあるんだよ。。」

奈々のおばさんが来てから

数時間が経とうとしている。

膝を抱え、真っ暗な部屋の中、

机に置きっぱなしの手紙を未だに開いていない。


「いいよ。恨みでも妬みでも、全部背負うよ。」

そう言って立ち上がると、手紙の封を開ける。


詩穂へ  

こんな風になってごめんね。

詩穂の言った通りだったよ。

私は夢の為に、

一番大切だった親友と離れる決心をしました。

前日まで打ち明けられなくて本当にごめんね。

言っちゃうと、反対されると思っちゃって、

私の決心が揺らぐ気がして、

話すのが前日になっちゃったの。

全部私のせい。

今でもずっと後悔してる。

こんな結果になった事を悔やまないでね。

全然上手くいかなかった。

詩穂に一度だけ連絡してみたけど、

連絡つかなくて、あんな別れ方したのに

都合良すぎだよね。

私の中で詩穂はずっと親友だよ。

ごめんね。


手紙がひらひらと床に落ちていく。

「ふざけんなよ。。悔やむに決まってんだろ!」 

「なんで会いに来ないんだよ!

なんで、、なんで、、」

ボロボロと涙が溢れる。

拭いても拭いても、枯れる事は無かった。


気づけば外に居た。

当てもなく歩いてるつもりが

駅前方向に歩き続けている。

ポツポツとアスファルトが濡れていき、

雨の匂いが鼻を差す。

傘も差さないまま、駅前のベンチへと腰掛け、

途方にくれる。

時間は19時を回った頃だろうか。

駅前は賑やかだが、雨の為、

みんな屋根下を歩いている。


「なんで来ねぇんだよ。バカ。。バカ。。」


「いっそ、、奈々の所いくのもありかな。。?」

親友を助けられなかった事を苦入り生きる

希望も見失ってしまう。

雨は止む事なく、詩穂の身体に降り続ける。


そんな時に一瞬雨が止み、

ザザ、ザザっと雨が跳ね返る音がした。

「遅えんだよ。。」


誰かを確認するまでもない。

友里だ。そう確信し、思わず抱きつく。


「みんな私を一人にする。もう嫌なんだよ!」


思わず抱きついたその人は

華奢な身体をしていた。

ほのかに香水が香り、

どう考えても女性だった為、思わず顔を上げる。


「あの、、、多分、、人違い。。かな。。」

バツの悪そうな苦笑いをした女性は、

可憐で気品が溢れている女性であった。


「え?あ、あの、、ご、ごめんなさい。」

思わず体を離し、謝る詩穂


「いいの。いいの。これ使って?

人待ってるなら傘くらい持たなきゃ」

渡された傘は女性用ではなく、

大きく真っ黒な傘だった。


「いや、でも、、」

「大丈夫。私は、、ほらタクシーで帰るから。。ね。使って?」

半ば強引に傘の柄を渡される。


「あのさ、お節介かもしれないけれど、

大丈夫だから。ね。きっと来るよ。。

待ってる人も。。元気だそうよ。」

そういって励ましてくれる女性は、

目にクマが出来ており、

お世辞にも元気そうではない。


「あの、ありがとうございます。。

なんか、、お姉さんに抱きついて、、

なんかスッキリしました。」

恥ずかしそうに詩穂は

名の知らぬ女性に感謝する。

「うん。よかった。。じゃあ、、行くね。

またね。」

そういって軽くハグを返され、

女性は詩穂の元を去っていく。


傘を差し、ベンチに座りながら

1時間ほど待ったが結局友里は現れなかった。

「なんか、、、バカバカしくなってきたなー。」


降っていた雨も上がり、詩穂は一人帰路に着く。

「あんた、こんな雨の中出かけてたの?」

母はまだ起きており、

テーブルには一人分の夕飯がラップされていた。

「お母さん、、いままでごめんね。。

私、、働くよ。。自分のお金くらいは。。

多分稼げると思う。。」

少し驚いた表情を見せるが、

すぐにいつもの顔に戻り

「はいはい。期待はしないよ。

とりあえずシャワーでも浴びてきな。」

そう言ってタオルを投げ渡す母の顔は

少し嬉しそうだった。

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part4はこれにて終わりです。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


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