小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (26) | 高原山

小説 小はん殺し結城純一郎の演説 (26)

 読み終えて、映像と表層・最後の人間とは一九九二年十一月に書かれたこの怪文書のよ
うに二十一世紀の九月に登場したのだと竹中平蔵は思った。それが911同時多発テロだ
った。ニューヨーク国際貿易センターのツイン摩天楼に飛行機が激突した。ワシントンD
Cのペンタゴンに飛行機は激突した。合計三機の飛行機が激突し四機目の飛行機が打ち落
とされた。いったい911とは何であったのか? 真相は解明されていない。全世界は米
国大統領府が宣言したようにイスラム過激派のビンラディンとアルカイダによる犯行であ
ると刷り込まれた。情報管理とコントロールの下に棲息するのが二十一世紀のあり方だっ
た。竹中平蔵はアメリカ合衆国が恐ろしい国であることを知覚していた。アメリカ合衆国
には軍産複合体による闇の政府が存在する。この闇の政府には誰も逆らえなかった。日本
が二十一世紀に生存する道はアメリカ合衆国と合体するしかないと竹中平蔵は確信してい
た。

 国家生活党の政策である反米国際協働路線の熊野機構などを推進すれば、「ならず者国
家」として規定され、米軍とイギリス軍を主軸にした国際社会の多国籍軍によって日本が
イラクのように壊滅され無政府状態にされてしまうだろう。全世界を無政府状態にするこ
とに米国大領府の「民主化」路線であることは間違いないと竹中平蔵は思っていた。日本
が生存する道は米国大統領府による日本への「年次改革要望書」を忠実に実現していくし
なかった。

 日本は米国財政を支える労働力国家として生存するしなないと竹中平蔵は確信していた。
合衆国統一党の長期政策こそが二十一世紀日本の大道であり、人間的あまりに人間的な指
針であると竹中平蔵は思った。国家生活党の「日本全国民はヒューマノイドへの転換によ
って二十一世紀を生存できる」などは非人間への道であり、世界経済をヒューマノイド経
済へと積極的に変貌させる国家生活党の世界戦略など、自分が人間であると信頼している
人類社会が容赦するはずがなかった。この地球社会を支配している人間的な西欧文明に反
抗し、非人間への脱皮を図る国家生活党の長期政策は非現実的な夢想であると竹中平蔵は
思っていた。国家生活党大会を爆破し、一瞬において彼らを消却するのは人類の正義だっ
た。ゴールドマン・セックス会長はまだ密室の謀議ルームにやって来ない。おれはいつま
で待たされるのだろうと竹中平蔵はまたしても不安になった。

 【映像と表層・最後の人間 世界同時基調色の現在と今後の予測】をカバンにしまい、
竹中平蔵は次に読むべき怪文書を取り出した。

【六芒星は、上昇▽は天を、下降△は地を表示するシンボル】

 ピラミッドは天ではなく地を表示していた。ユダヤ教のエネルギー母胎とは地である。
ユダヤ教は五千年の歴史と対話し、古代からの智恵を集積している。ゆえに天才を現出さ
せるシステムが起動している。さらには、神官がさまざまな帝国興亡を記録してきた。帝
国興亡とは人間の欲望と死。人間ばなれした非人間の冷徹なリアリズムこそユダヤ教の宇
宙唯一の孤独存在である666。二千年年くらいの歴史しかない「天」を表示するキリス
ト教からはユダヤ教を理解することはできない。人間は「天」に住んでいるのではなく
「地」に住んでいる。「天」と「地」をシンクロとして表示する六芒星は、時間を刻印し
ている。

 666はまさに謙虚なアジアが世界戦争に参入すべく挑発を仕掛けている。パキスタン
により、インドが挑発される。そして中国も中央アジアと東アジアの両面から挑発される。
中国内陸において暴動が勃発する。これが引きがねになり「街頭は世界へと接続している」
暴動事態が世界事象として世界各地に現出する。「中国の街頭広場から世界の街頭は怒涛
へと伝播する」この格言が反復する。

 東欧共産主義政権はなだれをうって崩壊していった。「巨万民衆が街頭へと」押し寄せ
るた一九八九年事態の反復こそ街頭の意味。666は世界各地における無政府主義情況の
創出を仕込んでいる。韓国も街頭から無政府主義へと叩き落とされる。

 ネオコン(イスラエル=キリスト原理主義)が911からアフガニスタン侵略戦争そし
てイラク侵略戦争を起動させましたのは、無政府主義の創出。彼らはハルマゲドンの早期
到来を望んでいる。ハルマゲドンの到来のためには、アメリカ合衆国を潰しても「大イス
ラエル」の建国が、なににおいても優先される。

 アメリカ合衆国それ自体の政治・経済・社会を崩壊させる戦略目標はすでに「静かなる
沈黙の兵器」におきまして、プログラムが開示されている。そこにおいて個人はどう生き
延びるのか?これが現在の思想的課題。

 個人が生存するためには世界支配構造の「奥の院」を洞察する必要がある。快適生活に
洗脳された人間ではなく不快の動物であっても、動物的感覚で古代からの「奥の院」生成
を洞察する。おのれが生存するこの世界への危機感が皆無な動物は、危険な獣道を回避す
ることはできない。911以前の世界と以後の世界は全く仕様が違うシステムプログラム
が起動し展開されている。

 日本とはすでに国際金融経済システムにおいて「地域」範囲である。フランスやドイツ
・イタリアがEU経済の地域であるように「民族国家」それ自体の枠はすでに解体されて
いる。666は何故、巨万の民衆を扇動して東欧・ソ連共産主義政権を覆したのか。それ
は国家を解体するためであった。グロバール金融動物が支配するプログラムへと世界を再
編するため。

 666が中国の走資共産主義政権を解体しなかったのは、ただひとつの理由。十億人の
中国を統制できるのは古代以来、強力な独裁政権のみ。広大な中国を統制するためには九
十%のエネルギーを使う必要がある。民主主義政権などでは統治できない。

 ロシアにおいても、無名のプーチンを666が政権につかせたのは、広大なロシアを統
制するためには、治安弾圧のプロこそふさわしいと666が再学習したからです。ロシア
も独裁政権でないと統治できない。民主主義政権では失敗してしまう。

 つまり666が仕込んだ一九八九年以後の世界における国家とは、その地域を管理する
ためにある。中国共産党政権もプーチン政権も666から地域管理を委託されている。
 それは自民党政権も同様。日本地域の管理を委託され、自民党は「日本売却」を666
戦略の指示通り、推進している。666の期待通り「靖国参拝」などで、東アジアに緊張
を創出させている。