目を開けると、毎日通っている塾(?)の前に居た。よく見ると壁に貼ってあるのは、第一志望校に受かった先輩方の名前ではなく、大量の映画のポスター。まるで映画館のようだ。中に入れば、見覚えの無い扉があった、いつの間に増えたのだろう。
私は恐る恐る扉を開け、中を覗く。部屋は大きな幕と大量の椅子が並べてあるレトロな劇場だった。幕には数字が映されて、9・8・7…とカウントダウンしているが、1の次は0ではなく32だったり、100だったり、2だったりする。気まぐれに数字が増えて減る幕には0終わりは訪れず、永遠に物語は上映されない。
建物の外見からは想像出来ない、この大きは空間を見渡す。どうやら塾の学生しかおらず、先生達はいない。
「アンタレス!やっと来たのか、どれだけ待ってたと思うの?」
急に名前を呼ばれ振り返ると、そこには長い間会えなかった友人・ウェイが居た。久しぶりに会ったウェイは相変わらずで、スカートを好まず、愛用のジーンズとTシャツを着て、長い髪を一つにまとめていた。
「久しぶりだね、待ち合わせなんてしていたっけ?」
「なに言ってんだ?毎日会ってるでしょ。学校も、クラスも、塾も同じなんだから。」
そんなはずは無い、あり得ない。ウェイは夏休みから、この塾を毛嫌いし、辞めて、近寄らなかった。しかも彼女は、すでに何日も学校に来ていない。長年上位だったのに、成績が下がった事にショックを受け、現実に耐えられず、外出を拒み続けていたはず。
なのに今、ウェイは家に籠っておらず、塾のような所に当然のように居て、毎日会っていると言う。まるで何も無かった様に、平然と。私の中学最初の友人が、そこには居た。

