社長。部長。リーダー。そして、この国でトップの権力者と言えば総理大臣です。

 

「立場が上」とされる人々は、国単位で、

小さなコミュニティにも存在します。

 

私たちが働いている会社であれば、社長は最も立場が上ですよね。

社長と毎日挨拶なんて交わせるものではありませんから、

私たちが日常的に接している「立場が上」の人は、

部長やリーダー長になるわけです。

 

そんな上の立場の人たちは、現場で働いている人の頑張りや

意図、考えていることを汲んでくれるか?と言われると、

そんな実感が持てないが大半ではないでしょうか?

 

例えば、みなさんが子供を持つ親だとしましょう。

 

親は、子供が不自由なく生活できるように、死なないように

甲斐甲斐しくお世話をしますよね?

 

でも、みなさんの子供時代のことを思い出してもらいたいのですが、

子供って基本的には親に反発……反抗心がどこかで芽生えてくるものです。

それを見て、親は「こんなにお世話してやってるのに!」と憤ります。

 

また、子供の立場から見れば、

「お母さん、お父さんは気持ちを汲んでくれない!」と思うのです。

 

ここで、コミュニケーションがあれば…という解決策は引き合いには出しません。

 

なぜならば、コミュニケーションによる解決は、

しばしばどちらかの「妥協」を生むからです。

 

この妥協なくして、上の立場と、下の立場の人は分かりあえない。

 

……いえ、もしかしたら、

お互いが妥協をしたとしても、分かり合えないものなのかもしれません。

 

 

そこで、先ほどの会社の上層部の人と現場で働く平社員の例に戻しましょう。

 

このように、「上の立場」の人は、部下からのコミュニケーションをベースに、

その部下の意図を汲みます。

優秀な人ならば、それでいいのかもしれませんが、

どうしても意図を汲めない人、想像できない人は一定数いますよね。

 

それなのに、報告するときには彼らが求める形式での報告が求められる。

「こんな報告の仕方がいい」と、それしか正解がないかのように

世の中でも主張される。

 

これが、ビジネスにおけるマナーか?と考えると、

私個人の主張としては、そうは感じません。

 

ビジネスであろうと、お金をもらっている関係であろうと、

親でも子供でも。

 

社会生活には「人」が関わっているからです。

 

気前のいい社長や部長なんかは、

自分から部下の意図を汲もうと取り組んでいる方もいらっしゃるでしょう。

 

そこにはマナーは関係なく、「上の立場の人」が許せるか、

自ら歩み寄っているのか?に左右されている。

 

しかし、部下側…「下の立場」の人は違います。

 

気前のいい上司でも、気難しい上司でも、年下の上司でも。

下の立場の者はいつだって、「上」の意図するところを汲もうとする。

 

汲まなければ、仕事が成り立たないというのもあるでしょうし、

その方が楽だから…というのもあるでしょう。

 

それは、まるで将軍様の意向を汲もうと先回りしている家臣のようです。

 

こういった点は、昔から人の「上の立場に対する」意識というものは、

変わらないのかもしれませんね。

 

上の立場の人がどれだけ言葉足らずでも、名君でも。

 

下の立場の者は、その言おうとしている意図を汲もうとする。

 

今新入社員であっても、いつかは上の立場の人になる。

昇り詰めるほど、自分の意図を部下が汲んでもらえるようになる。

 

世の中は、「上の立場」になるほど、

聞く力が弱くなっていくのかもしれませんね。