999は東京ばな奈を抜き去るか? | オッサン、そこは便所じゃねーぜ!

999は東京ばな奈を抜き去るか?

「わが家の大学生が大阪へ戻っていきました」


「この年末年始は彼にとっても、祖父が帰天したり、もう一人の祖父は緊急入院でアタマに穴を開ける手術したり、祖母も原因不明の病?で入院したり、地球が絶滅しなかったり…で大変だったことでしょう」


「でも、ま、多少はゆっくりできたのかな」


「いきなり知らない土地で一人暮らしをするようになって、なんだか少しオトナになった気がしますね」


「そうそう。戻って行くときも、おみやげを買っていかねばと」


「ほお…そら、まぁ、オトナの振る舞いですね」


「で、大阪を出るとき部活の友達にリクエストされたのが『東京ばな奈』だと。あいつら、それしか知らねーから、と」


「むかしは雷おこしだったのに」


「ね。で、なんか、くやしいじゃないですか。指定された土産物を買うって。もっと関西人が知らないものがあるだろ、東京なんだから、と息子にけしかけたんですよ」


「そらそうだ」


「でもね…ないんだ。おいしいケーキ屋さんだとか和菓子屋さんだとかのはある。東京だから。けどね、わかりやすい東京みやげって、意外と選択肢がないんですよ」


「わかりやすいみやげって?」


「やっぱりね、その土地らしさを表現していることでしょうね。材料とかパッケージとかで。ただし、それがある程度認知度が高くなくちゃダメなんですよ」


「沖縄のちんすこうとかサーターアンタギーとか?」


「札幌の『白い恋人』とかもそうかな。あー札幌行ってきたね?とすぐわかる。でも、こちとら東京です。すごく東京っぽいのに、手垢がつきすぎてないみやげものってのが、もう少しはあると思ったんだけどな」


「で、結局?」


「地元でちょっと評判の洋菓子屋とか行ってみたんだけどダメで、諦めかけて夕食の食材を買うためにプチ高級スーパーに入ったら、たまたま帰省みやげコーナーがあった。そこで『青山ストリート』とか『東京ぼーの』とかいうのを、喜んで買ってました」


「東京で評判の洋菓子屋さんの…ってのはマジすぎるんですよね。対個人だったらいいけど、会社とかサークルのメンバーに対しては面白味がない。少し話題なり笑いがとれるくらいのがいい。そういう東京みやげって…たしかにスカイツリー方面行かないとないかもなー」


「そうなんですよ。そこでね、思ったのは、ぼくら練馬が地元です。ここでね、たとえば『銀河鉄道999練馬大根サブレ』みたいなのがあったらね、これはピッタリなんです。マンガとアニメのまちで話題性がある。『東京ばな奈』のそのまま対抗にはならないかも知れないけれど、ちょっと変わったお土産がいいなぁ…と考える層は絶対にいて、その人たちがわざわざ買いに来る可能性は高い。池袋とか東京駅とかに置いてもいいけど、どうせならその土地で買いたいな、って人もいるはず」


「そうなったら地域の活性化に繋がりますねー。ただし、わざわざ来てくれる人のための“演出”を、もっと街としてしなきゃいけないですけどね」


「文化による街と産業の活性化。じつは、この素案みたいなものを松本零士先生にお会いしたとき直接お話ししたら、けっこううなずいてくださってたんです。んー。てことは、あとは“仕組み”をつくれれば」


「ま、そこがいちばんの難所ですけどね」


「でも、今年、そんな地域活性化作戦を、いろいろ具体的に手がけていきたいと考えてるんですよ」


「そんなわけで、本年もよろしくお願いします」