ロコモティブシンドローム(運動器症候群、通称ロコモ)とは、骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、歩行や立ち座りなどの日常生活に障害を来たしている状態で、進行すると要介護や寝たきりになるリスクが高くなります。

 

この通称ロコモ症候群というのは老人の運動機症候群として知られているものでしたが、近年子供達にもこの症状が多く見られるようになり、厚生省、自治体、NPOなどいろいろな組織が調査をはじめました。

 

驚くことに、雑巾掛けで歯が折れる、転ぶ時に手がつけない、雑巾掛けをする際に腕で体を支えられない児童も報告増えているといいます。

一方で、子供達の運動のやりすぎによるスポーツ障害も問題になっており、過剰に運動をし過ぎたことによりOveruse syndrome(使い過ぎ症候群) となり、野球肘、オスグッドシュラッテル病、腰椎分離症、疲労骨折などの運動器疾患をおう子供達も報告されています。

 

問題がある一方、過食による肥満、生活習慣の乱れから運動不足の二極化が問題になっています。

食事、運動といった生活の基本は本来家庭で気づかれるものですが、食事面は核家族化、共働きなどで3食の食事をしっかり食べる習慣を維持することが難しい家庭が増えたことも背景にあるようです。

運動面では公園のような自由に遊べる環境が数十年前より減少し外で遊ぶこと自体がむづかしくなった、ゲームの普及、習い事どが運動不足の背景にあるようです。

ある、埼玉の学校で行った検査では、身体を動かす基本動作である以下の4つのうち一つでもできない子供達が4割強に登ったと言います。

1 片脚でしっかり立つ

2 上肢を垂直に挙げる

3 しゃがみ込む

4 体前屈する

ロコモ症候群は運動器の障害により移動機能が低下し、進行すると要介護になる危険性の高い状態です。

お年寄りの場合進行すると要介護になる危険性の高い状態になるわけですが、子どもの場合運動器機能の異変を放置すると、歩行や日常生活に何らかの障害を引き起こすことがあり、ケガや故障を誘発しやすくなります。

また、運動・スポーツの運動量や実施方法が適切でない児童は、生涯にわたる変形・痛み・成長障害を引き起こすリスクが上がります。

2005年から全国10地域で学校における運動器検診体制の 整備・充実モデル事業」を実施した結果、普通学校の児童・生徒 の1~2割に運動器疾患・障害がみられたと報告されています。

2016年4月には「学校保健安全法施行規則 の一部を改正する省令」が公布され、児童・生徒の 健康診断項目に「四肢の状態」が必須項目として加えられましたが、この診断は実は1994年に旧文部省が「脊柱および胸郭の検査の 際には併せて骨・関節の異常および四肢の状態にも注意すること」と文部省体育局長通知において明記し警告していた項目ですが実に22年も放置されていました。

こういった検査や調査の遅れが運動障害を持った子供達の把握を送らせて家庭での基本生活習慣の重要性を多くの人が置き去りにしてしまったという風にも見れます。

国内に限らず海外でも今子供達の環境が変わりつつあります。

遊び方にしても、大人がかなり細かく管理をするようになったため、幼少期に危険な遊びを全くしないケースが増えました。

幼少時に危険な遊びをしなかった子供達は、将来、危険回避能力がなくなる、引きこもるなどの傾向があるとの報告が2014年、2015年に研究結果として報告されてました。

 

大人が子供達の全てを管理するという社会になりつつあるというのが実態としてあるわけですから、子供達の生活習慣と運動機能を正しく把握して運動習慣と規則正しい生活習慣を身に付けていくことも管理の一環とし、将来的な運動器疾患を予防が必要であると思います。