友人がシングルマザーのシェアハウスの記事をアップしていました。
光熱費無料&毎月お米も無料。
家賃は60000円から。
そういう支援がもっと広がれば良いなとしみじみ思い、ストップしたブログを今回久しぶりに書くことにしました。

厚生労働省の全国調査では、国内のシングルマザー世帯は2011年から増加傾向にあり40年前と比べると2倍。
海外(先進国)と比較すると、海外では事実婚もシングルマザーとなっているのですが、日本の場合は8割が離婚によるシングルマザー。
具体的には、離婚 79.7%、「未婚の母」2 6.7% 
司法統計での離婚理由は性格の不一致、暴力、経済的問題などが多いのですが、当事者団体が受ける相談では圧倒的に借金や精神的暴力も含めた暴力による離婚が多いそうです。

日本のシングルマザーは家事と育児を一人でこなします。
統計によるとシングルマザーの年収は平均で181万円。これに児童扶養手当などの社会保障支給を含めても平均で223万円でかなり厳しい生活を強いられているのが現状です。
働き方とか男女格差などが昨今フォーカスされていますが、早急に改善すべきは養育費問題と支援です。

シングルマザーの問題ですぐにでも改善すべきことを以下に挙げてみました。
安倍政権は女性支援と言いながら、これらの改革には全く手をつけないどころか話題にすらしません。

 

1 まず日本女性の働く環境と働き方。
シングルマザーの多くは主婦。結婚して仕事を辞めてしまう社会なのでこういった中高年女性はキャリアや技術がないので低賃金になりがちです。
また、最近の10年間でパートや派遣の比率が高くなっています。
背景には、日本の労働状況全般が労働者保護する規制を緩和し非正規社員・派遣社員を増加させてきたことがあります。
この状況では、女性はますます本格的な社会復帰(正社員)の道が狭くなってしまいます。

 

2 次に父親の責任と子どもの権利。
日本では養育費を支払っている男性が非常に少ない。
日本では別れても父親に子どもの養育義務があるという意識がまだ社会に定着していないのと、養育費は子どもの権利であるという認識が男性女性ともに薄い状況であるのが原因です。
離婚した母子世帯の2割しか、元夫から養育費の支払いを受けていないのが日本の現状。
受け取っていない8割中、6割は離婚以来一度も養育費を受け取っていないと厚生省の世帯調査で回答しています。

 

3 セイフティーネットの拡充
経済状況の他に多い離婚理由は暴力。離婚したシングルマザーは、PTSDを抱えることも多く、なかなか仕事をすることもできません。
現在あるシェルターは夫の暴力からは逃げられるけれどその後の生活をフォローするフローが何もない。
暴力から抜け出した母子たちをその後社会復帰できるよう支援する機関が日本にはない。

 

4 制度改革
年金制度についてはこの 3年公的年金制度が片働き世帯を標準に設計され、離婚が視野にないので生別母子家庭が年金制度のはざまで不利益を被っています。
専業主婦だった女性が離婚した場合、第 3 号被保 険者であった結婚期間は基礎年金部分しかない。
離婚後の就労も低賃金であるため、老 齢年金は極めて低く、母子家庭の老後は貧困ということになる。
08 年からは3号分割が始まったものの、分割される額は 配偶者の報酬比例部分(年金の2階建部分)のみなので分割額は多くはない。

 

5 子供達への教育支援
貧困家庭での教育格差を是正する対策が必要だ。
小学校と中学校の義務教育の間は低所得世帯向けの就学 援助費が支給されるが、高校からの子どもに対する教育などの支援が薄い。
また、裕福な家庭の子供たちがより良い教育を受ける傾向にある中、母子家庭では母親は長時間労働をせざる得ない。
子供と過ごす時間もないし塾にも行かせてやれない。
貧困家庭の子供たちは高校中退、不登校 になる子どもも多く、貧困が次世代に連鎖してしまう傾向にあるのです。

 

日本では離婚率が増えると、驚くことに児童扶養手当の予算削減しろという声が国会で上がります。
2002年の母子家庭支援の政策変更では、児童扶養手当に関する所得制限限度額と手当額の見直しが行われ、子ども一人の場合、年収130万円で4万1720円。
それ以上所得が1万円上がるごとに減額され、年収で365万円まで支給されます。
養育費は申告させ、8割を収入として認めその分手当額が減額。
こう言った改訂の結果、手当が減額された母子家庭が半分弱。
また手当は離婚直後の生活の激変に対処するものとし5年間支給後は削減。

 

そして、日本社会では母子家庭に対する偏見があります。
例えば、私の高校の時音楽の先生が他の教員から仲間外れにされ職員室に戻ることができず音楽室にずっといました。
離婚したというだけで教員失格のレッテルを貼られてしまいました。
無視や嫌がらせはあからさまで、生徒の私たちも知るほどでした。
また、日本では婚外子差別が戸籍上も民法の法定相続分においても厳然とあり結婚しないで子どもを産むという選択には未だ大きな偏見があります。
民法では法定相続分が婚外子は婚内子の2分の1。
出生届で婚外子は「嫡出でない子」という欄にチェックすることを求められます。

子どものにはどのように生まれてきたかなど関係ない話ですが、日本では子どもの権利という観念がすっぽり抜け落ちているのが現状です。
税制上も差別はあります。

手当受給のときなど役所から子どもとの父親との交際や妊娠の経緯などを質問されたり書かせられるなどのプライバシーの侵害も平然と行われています。
これらの差別は法律が変わらない限り社会的差別は無くなりません。
女性の支援云々を語るならまず、下から手をつけないと根本的な解決はいつまでもされません。