中国の小型宙実験室「天宮1号」と無人宇宙船「神州8号」の自動制御による初のドッキング実験に成功してから5年。
今回、宇宙飛行士2人を乗せたロケットを打ち上げて予定の軌道に入ったとして打ち上げ成功を宣言しました。
中国はこれまでで最も長い30日間にわたる宇宙滞在を通し独自の宇宙ステーションの完成に向け、技術力を高めたい考え。
神舟11号は、今後2日以内に、先月打ち上げた宇宙実験室の「天宮2号」とドッキングする計画で、宇宙飛行士が実験室に移ってさまざまな科学的な実験を行うとしています。
中国は、2022年ごろに独自の宇宙ステーションの完成を目指しており今回の滞在期間で長期宇宙ステーション大勢においての様々な実験や計器のテストを予定していると報道されています。

 

ぐーんと宇宙開発に差をつけられた感が否めない日本です。
2022年に宇宙ステーション完成を目指す中国ですが、日本は2022年以降のプランすらありません。
また中国はこの宇宙ステーション開発でロシア、アメリカ、アフリカ、欧州に共同計画を持ちかけています。
そう、日本以外に一緒に開発しましょうと持ちかけている中国。
この状況に、日本国内では中国は日本を除外した宇宙での軍事拡大計画を粛々と始めているといった報道もあるくらい。

ですが、私が中国ならやはり日本には話を持ちかけないかもしれません。
軍事、政治をちょっと横に置いて世界の宇宙産業規模をザックリ見てみると、


アメリカ:売り上げ4兆円 輸出実績1900億円 全従業員7万5千人
ヨーロッパ:売り上げ7000億円 全従業員:3万人
ロシア:全従業員32万人
中国:全従業員23万人
日本:売り上げ2600億円 全従業員数7000人

 

日本の宇宙開発は先進国として規模が小さいのです。だいたいアメリカの15分の1です。
敗戦国ですし、1951年のサンフランシスコ平和条約の締結まで航空関連技術の開発が禁じられ、69年には日本のISASが推進する固体ロケット開発に米国が懸念を示し、日本のロケット開発に意図して最先端でない液体ロケット技術供与をすることで米国依存を促したとも言われています。
とはいえ60年という歴史がありながら。。。という印象は否めないし、近年の宇宙開発計画の遅れの言い訳にもならなくなっています。


宇宙開発と原子力はビックサイエンスと呼ばれていますが、国内においてこの二つのビックサイエンスの資金人材は比較にならないほど、宇宙界発費は乏しい。
電力業界の広報日は年間2000億円、これは宇宙開発日の3分の2にあたります。
東京電力だけに絞ると年間250億円。
これだけのお金が日本全域にばらまかれていることになります。電力ビジネスの大きさを改めて感じますよね。

 

日本の宇宙開発が大きく遅れを取っているのは、歴史、予算など色々な背景はありますが、この分野は特にスピード感が重要にもかかわらず意思決定が日本政府によってされているため、亀のように遅いのです。
ロケット一つ打ち上げるにも手続きは複雑で多くの役所、省庁が関係してきます。

同じピックサイエンスでも宇宙開発というのは原発と大きく異なる部分があります。
原発の開発は大変高い安全性を確保することが重要であるのに対し、宇宙開発は失敗を恐れずチャレンジしていくことで開発が進みます。


我々の宇宙開発の人材は確かに現状少ないのですが、先鋭揃いで大変優秀な方ばかりです。ただ、ここ10年の進行状況を見る限り、残念ながらリーダシップを発揮できる人材が欠けていると言わざるえません。
2位じゃダメなんですかといって、学者たちから返り討ちになった政治家がいましたが、未知の開発への予算を組む時は収益、国内比較での予算の比較ではなくまずはそのフィールドにおいて日本が世界でどの位置にいるかくらいは役人の皆さんには把握していただきたいと思う次第。