「2015年 8月の記事」

今、なぜ急にこんなに牛乳論争が熱いのか?!
テレビを見ないので私が知ったのは少し経ってから。
ネットでかなり盛り上がっているのを見ました。
テレビで人気のタレントママが自分の子供には牛乳を飲ませないと発言し、多くのお母さんが怖がっているという事です。

この牛乳論争の前から、ベジタリアンの間では動物性の肉は体に有害などいろいろな説は欧米ではあります。
それにしても不思議なのはなぜ今こんなに盛り上がっているのかという事。
今日この記事を書いてみようかと思ったのは、自分の近くにもこの論争があって
おぉ、この論争はこんなにもみじかなものだったか。。。と思い、ちょっと書いてみようと思いました。

そこで、ざっくり牛乳論争の内容をまとめました。

なぜ、牛乳が健康に悪いのか。

そもそも動物の乳で人が育つわけがないとか、牛の飼育の問題、牛の乳で子牛は育たないのにいいわけがない、ミルクは毒性が強い、ミルクからたんぱく質は摂取できない、ミルクをのむとカルシウムが体から出て行く。。。などなどなど驚愕の内容が!!!

色々お説はあるようですが、この牛乳論争の種になっているのは
コリン・キャンベルというおじいちゃんが書いた「チャイナ・スタディー」という本のようです。

この本に書かれていチャイナプロジェクトと呼ばれた研究は、アメリカ癌研究所がお金を出し、オクスフォード、コーネル大学、中国の癌の研究所などが関わって1983年から1990年の7年間の研究が元になっています。癌の研究資料としてはもう古すぎるものですが、なぜか2005年にこの内容が本にされ2013年になって急に売れまして少し話題になりました。

アメリカ西海岸、ドイツ、イギリス、オーストラリアでここ10年人気のローフードダイエット。以前からあった食事療法ですが、テイラー・スフイフトといった有名人も巻き込んでうまく宣伝を売っているようです。アメリカで流行っているジュース・バーや酸素ドリンクもこの一部。
このブームを日本でも起こそうとしているのか、熱心にコリンおじいさんの本を宣伝し広めようと活動している団体が
ナチュラルハイジーン協会。

このナチュラルハイジーンといのは栄養学というよりは哲学の色が濃い。19世紀の医師たちがまとめた健康哲学で起源は古くピタゴラスの時代までさかのぼります。
この協会がこの哲学とどう関係あるのかは不明、もしくは単に名前を使っているだけかもしれません。

さて、先に示した2005年出版のチャイナ・スタディーという本。コリン・キャンベルじいさんとその息子の二代親子が提唱するものですが、この本の研究データはかなり思考され選択されたものであることがわかっています。
(参考記事(英語))
書いてあることがすべて嘘ということではないし、研究に時間とお金をかけたのも真実ですが公平性を欠いたデーターを選択していること。
そして、動物性たんぱく質の利益については意図的に無視しているので、科学的とは言えません。

また、日本でこのブームを作ろうとしている団体は、「生涯病気とは無縁のナチュラルヘルス」と銘打って宣伝活動をしています。

そして、このコリンおじいちゃんの本が
アメリカを震撼させ、肉の消費量が減った!
食の最新情報食事法が癌の成長を止める!

などとも宣伝しています。

まぁ、説明、実証する必要もなく上のような宣伝は「真っ赤な嘘」。

これらの宣伝は、まさに今、日本で問題になりつつある商法です。海外では「ナチュラルヘルス製品」「伝統的漢方薬(TCM)」「サプレメント」などと呼んで全く効用のないものをスーパーサプリなんて呼んで売りまくる商法です。
アメリカではそういういい加減な商法に肩入れする医者や博士が摘発されています。

当たり前のことですが、万能な健康食品や健康法はないので、癌が克服できるとかスーパー健康法などという名前をつけること自体が詐欺行為とされています。
残念なことに日本では過剰を通り越した嘘っぱちの呼び名をつけて売ることを詐欺としてあまり立件しません。
米国などではこれらの悪徳商法を違法とする整備がされてきました。カナダ、イギリスなども規制を強化しています。

海外で禁止されるようになった怪しいブームは必ず日本にやってくる。。。

ハリウッドダイエットなる飲み物や、腹筋の低周波治療器具。
いずれも効果は薄く、低周波器具に関しては海外で内臓に異常をきたす危険があり販売停止になったものが日本の通販で売られている酷い状況です。
悲しいですが、このチャイナスタディーもその一つでしょう。
すこし中身を読みましたが、すべてが嘘ではありませんがやはり科学でもありません。

例えばたんぱく質の摂取。
牛乳が発ガン性物質であり、牛乳からのたんぱく質摂取は時間がかかるので体を疲労させるという説。
これはおそらく牛乳のたんぱく質が8割カゼインからできている事を言っています。
でも、カゼインプロテイン、ホエイプロティンというのはかなり研究が進んでいる物質です。
カゼインは摂取に時間がかかり人間の体を疲れさせるというのです。
確かにカゼインプロテインは7~8時間消化にかかりますが、植物性のたんぱく質も5~6時間かかります。

多くのお母さんが動物性のたんぱく質はイケないの?と心配されていますが、この研究では動物からのたんぱく質の方が吸収率がよく、植物からのたんぱく質は動物性の半分程度という基本的な事を始め、あらゆる動物性たんぱく質の恩恵、また植物性の不利益に関しては無視しています。
というのも、このおじいちゃんはベジタリアン。
この研究はベジタリアンの食生活の優位性を証明するという、ある意味結論ありきの研究がスタートであった事は有名です。
ところが、日本では英語を読まない人が多い事を利用しそこが隠されてしまいました。
また、このおじいちゃんが関わった20年以上も前の論文がイギリスのオックスフォードが絡んでいるとして確かなデータだという人たちもいますが、この人たちは他の何百ものこれに反する論文を無視しており何を根拠に信憑性がないとしているのか不明確です。
また彼らは、現代医学、我々が学校で教わるほとんどの知識を真っ向から否定していますが、その根拠としているのはあやしい陰謀説。政府が隠蔽した真の健康方ってな感じです。
科学的根拠についてはほとんど論じられていません。

ただ、私はこれを信じて牛乳を飲むのも飲まないのも好きにすればよろしいのでは?と思います。
今時、牛乳を飲まなくてもいくらでも代替えはあります。
戦後食べ物がなくて、GHQが牛乳を飲むのを積極的に進めていた時代とは違います。

ただ、これを宣伝している団体の商法が日本でも「違法」にしましょうと検討されているやり方で、とても信用できないし誠実のかけらもないものであるという事は問題です。
そのような人たちが本当に赤の他人の健康を第一に考えて本やCDを世の中にばらまいているのかと聞かれれば、100%NO!でしょう。

第一次、第二次成長期の子供たちと、中年のオバちゃんの食生活が同じでよいわけがありません。
運動した後は消化の良いたんぱく質を取った方が良いですが、就寝前などはゆっくり消化されるたんぱく質の方がベネフィットがあります。
だいたい、炭水化物はゆっくり体に吸収された方がよいというのには疑問を感じないのに、たんぱく質になるとどうして急に懐疑的になるのでしょう。

それから、このコリンじいさんはダイオキシンの毒性が強いと提唱していた人。
そして、カゼインがダイオキシンに匹敵する発がん物質と言っているようです。

ダイオキシンが健康にいいとは言いませんが毒性がそれほど強くない事は最近分かってきています。この研究がされたのも20年前以上前。最新の科学とは到底言えません。

牛乳の飲み過ぎが健康に悪い?
なんてネットでよく見かけますが、なんだってやりすぎりゃ体に悪いにきまってます。

例えば、ローフードの一環で生の野菜ジュースや大麦若葉の汁をガブガブ飲んで病院に搬送される人たちがいます。
副作用のない青汁でも飲みすぎればカリウム中毒になります。
飲みすぎなくても肝臓の悪い人たちは
飲まない方がいいです。
甲状腺異常のある人もイソチオシアーネが含まれるブロッコリーやキャベツ、大根、わさびの摂取は控えるべきです。

多くの人に抗菌作用、抗がん作用をもたらす物質も病気持っている人には毒の場合もあります。

何を言わんとするかといえば、「万能な健康法などない」という事です。
その人(体質、人種)にあった食生活を作っていく事が大切です。

私は子供の時から魚や野菜中心の食生活で育ちましたが、それでは中年にって成長がとまり衰え始めた体を維持する事はできません。
かといって、子供の頃からの食生活で肉を大量に消化する事も難しい体質ですが、動物性たんぱく質は栄養補給に必須となっています。
脂身の少ない部位なら鳥や豚は比較的体に合っているようなので必要な量だけ食べています。大量に摂取するわけではありませんが、必要です。
おかげで冷え性や神経痛すら抑える事ができます。

一方夫は、完全無欠の肉食。魚が大嫌いで食べられません。
でも、病気をわずらったあとは、野菜や腸内菌を増やす食べ物を多くとり、腸内環境を保っています。
牛乳が大好きですが、lactoseが苦手な体質なので、無調整の豆乳に変えました。

カルシウムを摂ったって、ビタミンDや骨に負荷を与える運動なしには骨密度はあがりません。

同じものを毎日とるのは、もしその食品に問題があった時リスクをあげるので、多くの食品群、異なる産地の物を取る事にしています。

最近よく見かけるどんでも食品神話。
食育をきちんと学校ですることで、いらぬ心配を防げる気がします。

それから、ロビー活動により行政が国民に告知している健康法の内容がなんともお粗末なのも問題でしょう。

健康寿命なんて騒ぐ一方で、明らかにやってはいけない複数の薬の処方で多くの老人が健康を損ねています。
しかも止めない。現状は老人が健康被害を訴えてから薬の処方をやめています。
でも、薬の副作用は時に回復しないダメージを体に残す事は珍しい事ではありません。

健康のために禁煙!などといって、禁煙外来で脳に著しい副作用をもたらす恐ろしい薬を処方するよう宣伝するような事を平気しているのも問題です。


特にコレステロールについては最近改定されましたが、これも長年コレステロールを悪者にして必要ない薬を処方してきた温床になっていました。

こんな事をしてるから、政府が利益のために正しい健康法を隠蔽してきたという説を元にスーパー健康法がはやっちゃう。
政治家と官僚の責任も大きいかも。。。

まとめ:万能な健康法などありません。
健康法は体質によって異なります。
それより、何か一つの健康法に固執する方がリスクをあげます。
年をとれば、若い頃と食生活は変わりまます。
誤解されているのは、食が細るのは自然だからそれで良いと思われている事。
年をとればとるほど、必要な栄養の不足によるダメージが大きい事を認識するべきでしょう。
昔は骨粗鬆症になったらもう直らないなんて言われていましたが、年齢が上がってもカルシウムをとって骨に負荷を与える事で骨密度が上がる事がわかってきました。
筋肉も通常の人のレベルであれば若者も年寄りも、鍛えれば同じ効果を得られる事が分かってきています。

どんな食品も主食ではありません。
戦後じゃないんだから、現在牛乳は一つの食品にすぎません。

それよりたんぱく質を必要な量取っていないお年寄りの食生活の方が問題です。
そして、壊れつつある国内の食の安全問題の方が深刻です。
わたくしは、牛乳より添加物の方が心配です。