人肉カプセルの密輸取り締まりを強化

韓国の税関職員は、中国からとされる薬物の密輸撲滅への取り組みを強化している。理由は、この薬物に人の肉が含まれているとみられるため。韓国関税庁は7日に公表した声明で、昨年8月以来、韓国当局が旅行者の手荷物や国際郵便のなかから約1万7500錠の「人肉カプセル」を発見したと明らかにした。
声明によると、パフォーマンス強化薬を装ったこうしたカプセルは、中国北部の都市に住む朝鮮族が密輸したもので、人の健康に有害ないわゆるスーパーバクテリアを含有している。韓国の主要テレビ局の1つであるSBSが昨年、中国の製薬会社が妊娠中絶クリニックと協力して胎児や死産の赤ん坊を原料とするカプセルを製造しているとするドキュメンタリー番組を放映した後、韓国当局による同薬物の取り締まりが開始された。
この番組は、DNAテストの結果、カプセルは人肉を乾燥させてつくった粉末を原料としていることが確認されたとしている。
中国国営紙チャイナ・デーリーは、中国保健省が昨年8月にこの薬物の製造元について調査を開始したと報じた。
保健省の当局者はコメントを求める取材にこれまでのところ返答していない。
胎児は疾患に効く強壮剤との考えがこのカプセルの需要を押し上げている、との韓国のドキュメンタリー番組の見解をチャイナ・デーリーは報じている。
同紙によると、中国では人の胎盤の消費がより一般的だ。血液の供給と循環の回復に役立つと考えられているためだ。
一方、人民日報傘下の新聞、環球時報(グローバルタイムズ)は、人肉カプセルは精力増強に使用されると報じた。1カ月近く前には、中国の医薬品規制当局が、過剰な水準のクロムを含むゼラチンカプセル入りの13種類の薬物(11種類は漢方薬、2種類は抗生物質)を発見し、販売を停止したと発表していた。中国中央電視台(国営テレビ)によると、この有害な薬剤は中国浙江省の工場で、革製品の残りの断片から製造されたとみられている。
韓国関税庁の声明は、同国に密輸されたカプセルは、吉林省の延吉市と吉林市、山東省青島市といった中国北部の都市から持ち込まれた、としている。また、同声明によると、韓国関税庁は、中国からの無害サプリの合法的な輸入経路が設定できるがどうかについて判断するために含有物の調査を要請した。

人が自分について語りたがるわけを脳科学で解明

自分について話すことが、食べ物やお金で感じるのと同じ「喜びの感覚」を脳のなかに呼び起こすことが、7日発表された研究で明らかになった。
個人的な会話であっても、フェイスブックやツイッターといったソーシャルメディアでの発信であっても、それは変わらない。日常会話の約40%は、自分が何を感じ、どう考えたかを他人に話すことで占められている。米ハーバード大学の神経科学者らが脳画像診断と行動に関する5つの実験を行い、その理由を解明した。
脳細胞とシナプスがかなり満足感を得るため、自分の考えを話すことを止められないのだ。
「セルフディスクロージャー(自己開示)は特に満足度が高い」と同大学の神経科学者、ダイアナ・タミール氏は話す。
タミール氏は同僚のジェイソン・ミッチェル氏と実験を行った。両氏の研究は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。タミール氏は「人は自分のことを話すためには、お金さえあきらめる」と指摘する。研究者が呼ぶところの「セルフディスクロージャー」への傾倒度合いを測るために、人は自分の考えや感情を話す機会に対し、通常より高い価値を置くかどうかを検証するテストが実験室で行われた。
また、自分のことを他の人に話している間、脳のどの部分が最も興奮しているのかを検証するために、参加者の脳の活動がモニターされた。
実験に参加した数十人の志願者のほとんどが大学近くに住む米国人だった。
いくつかのテストで研究者は、自分のことではなく、例えばオバマ大統領など他人に関する質問に答えることを志願者が選んだ場合、上限の4セントまで段階的に設けられた基準に応じて、志願者にお金を支払った。
質問は例えば、その人物はスノーボードをするのが好きか、またピザにはマッシュルームをのせるのが好きかといったカジュアルなものもあれば、知性や好奇心、攻撃性といった個人的な特質を問うものもある。
ところが金銭的な動機づけにも関わらず、参加者は自分について話すことを好むことが多かった。
本来得られるであろう金額の17~25%を進んであきらめ、自分について話すことを選んだ。関連した実験で、科学者らはfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を使用した。
これは精神活動と結びついているニューロン間の血流の変化を追跡するもので、他の人について思考を巡らすのではなく、自分自身の信念や選択肢などについて話す際に、脳のどの部分が最も強く反応するかを見ることができる。
一般的に、セルフディスクロージャーを行うと中脳辺縁系ドーパミン経路に関わる脳の領域の活動が高くなる。ここは食べ物やお金、セックスなどで得られる満足感や快感と関係している部分だ。
テキサス大学の心理学者、ジェームズ・ペネベイカー氏は「これは真実だと思う」と話す。ペネベイカー氏はプロジェクトには参加していないが、自己の秘密とセルフディスクロージャーを人がどう処理するのかを研究している。同氏は「人は、他人に話を聞いてもらうのが好きなのだ。そうでなかったら、どうしてツイートをするだろうか」と述べた。

「自殺キット」販売した93歳の米女性、保護観察処分

オレゴン州の男性が昨年末、市販の「自殺用キット」を使って自らの命を断ったことに関し、連邦捜査局(FBI)は5月下旬、キットを製造・販売していたカリフォルニア州の女性宅を医療機器の販売・取扱規制違反などの疑いで家宅捜索した。ロサンゼルス・タイムズによると、捜索を受けたのは、元小学校の理科教諭だったサンディエゴ郊外在住のシャーロット・ハイドーンさん(91)。
FBIはハイドーンさんの自宅から、出荷準備が整っていた自殺キット(1個60ドル)数十個を押収した。
自殺キットは、ヘリウム・タンクにつなぐ医療用チューブが取り付けられたプラスティック製の袋で、これを頭からかぶり、チューブをタンクにつないでガスを吸い込むと、数分以内に「眠るように窒息死できる」仕組みになっている。
オレゴン州ユージーンのニック・クロノスキーさん(当時29)は昨年12月、このキットを使って自殺した。
オレゴンでは自殺ほう助は条件付きで認められているが、自殺用の道具の販売は禁じられている。ハイドーンさんは「自殺キットは苦しみに終止符を打つための人間的な方法」と主張し、「人々は自殺するのに窓から飛び降りたり首をつったりするが、この商品は人々を永久の眠りに導き、穏やかに人生を終わらせる」と説明している。
自殺キットの販売については、尊厳死を支持する人の間にも「相手の状況や身元も知らずに販売している」といった批判がある。
ハイドーンさんが自殺ほう助に興味を持ったのは、夫が結腸がんによる長い闘病の末亡くなった30年前で、これまでに袋をかぶってヘリウムガスを吸った約50人の自殺にも立ち会ったという。
実際に何人がハイドーンさんのキットを使って自殺したかは不明だが、遺族から感謝の手紙を受け取ることも多いという。裁判所はシャーロット・ハイドーン被告(93)に対し、通信販売をめぐる税関連の罪で5年間の保護観察処分を言い渡した。
また、罰金1000ドル(約8万円)を支払うよう命じた。同被告は司法取引の一環として、キットの製造・販売を行わないほか、未払いの税金2万5000ドル以上を納めることに合意した。