目を覚ますと、其処は廃墟だった。
無論、其処で寝ていたのは自分の意思である。
記憶はあやふやだが、ここに寝転んだ覚えがある。
一人で目覚めたのは久しぶりだ。
孤独な空気が山村を臆病にした。
月明かりがあたりを照らす。雨は止んでいた。

天使たちは夜には決して現れない。
寝てたりするのだろうか。
そもそも食事をとったりするのだろうか。
そういえば肥満体の人々は天使たちに殺されることなく連れさらわれていくと聞いたことがある。
…食べたりするのだろうか?
山村はのそりと立ち上がり、大きく伸びをする。

あたりを見渡して、驚いた。
そこにはあの日喰らった天使がいたのだ。
が、よく見ると鏡だった。
そこで自らの体の変化に気付いた。
胸部と腰回りは羽毛におおわれ、鼻頭が上を向き始めた。耳も尖ってきたようだ。
何より驚いたのは筋肉量の変化だ。
どちらかといえば…というより、普通に太っている方だった山村の体は今や筋肉の塊だった。