国家議団会議。
月に一度その会議は開かれる。
国内でも最高峰を誇るギルド、ルークスを筆頭に、数多く存在するギルドの長が議員として出席するその会議は、半数近くが欠けた状態で行われた。
議題はやはり、議員達の変死事件。
昨日燈と会ったすぐ後に収集の電話が鳴る位にはまだ機能しているらしく会議は予定通り開かれた。
死亡が確認された人数から、更に数名の顔が見受けられないのは、暗殺を恐れて自分の基地に立てこもっていることであろう。
普段漂う閑却的な雰囲気は今や細く糸が張ったかのように静まり返っていた。
「ギルドを支えるはずの長が、暗殺を恐れて出てこないとは。情けないことこの上ない」
口を開いたのはルークスのトップ、クロウ・ソラス。
嘲笑するのでも無く、彼は淡々と言葉を連ねた。
「さて今、起こっている事件は我々にとって最も最優先されるべき問題であると判断した為、私が独断で議題を変更した」
優は今まで進行されてきた議題の資料の上に、手渡された資料を重ねる。
「反論がある者は?」
誰も手を挙げる者はいない。
こうして、超能力をこの世から消す事から謎の変死事件へと議題は移り変わった。
「今まで私達が得ている情報はただ変死事件の死亡原因が自然死ということと、謎の夢を見始めるという予兆があること。これは皆さま把握しておられますか?」
男にしては長い髪が揺れた。
そう歳を重ねているわけではないはずで白髪の割りにはまだ若々しい趣だ。
頷く議員を青い目がなぞるように見渡した。
「では、他に誰か持っている情報は」
ソラスが回答を促すと渋々といったように議員達は手を挙げ始めた。
小さく誰かが笑った気がした。