My violin repair 005 | あまりがんばれないです

あまりがんばれないです

私がかかったまんどくさい病気について。MPNのPolycythemia vera(真性多血症)です。

さて、100年前のMASAKICHI SUZUK作ヴァイオリンのリペア

まず、ネックの取り付けの部分を接着する。

でね、この写真、見てもらうとわかると思うが、取り付け部分日本の技法「蟻(あり)」使ってるんだね。

蟻とは日本の伝統的建築に使用されている基本的継手(つぎて)・仕口(しぐち) で台形の切りかけを使って強度を増す技法だ。

勘弁してくれ、普通おおらかなイタリア人はそんな事しない。どおしてこうなった。

確かに強度、正確さは出る、でも修理の時すべては台無しになりやり直しだ。

勘弁してくれ。と、泣き言を言いながら、慎重に両面を削るしかない。

 

とりあえず、整形して接着。固定。.....ずれてたらどうしよう。日本文化の呪いだ。

イタリア人は直す前提で作るからこんな事しない。

強度を犠牲にしても調整のしやすさを重視する。

この件に関してはイタリア人の方が優れてると感じた。

「おめぇ、修行が足りねえ!これくらい楽勝だろ!」

親方、それは超人職人に言ってくだせー。凡人にはムリっす。

苦労してくっつけて、裏側閉じて何とか.....。

 

で、この楽器ドイツのシュタイナーあたりをモデルとして作ってると思うのですが

いたるところにその他の要素が伺えます。

当たり前ですよね、試行錯誤の連続でしょうからね。

私が感心したのは表面版と裏版の木の厚みですね。

裏版、3.25mm-3.55ぐらいで薄い所では2.60mm

表は3.60-4.00mmとこちらも薄い。
これ以後のモダンは

何故かはわからないが比較的厚いもの4mm以上くらいが増えている。

立派に見えるから?

解らないけど。

私が調べた限りでは、名器は薄いと結論してます。

いかに、ぎりぎりを見切るか、が勝負?みたいな感じです。

そういう意味ではこの楽器は及第点です。

音も気に入ってます。

 

 

この楽器の裏側なのですが、塗装がひび割れてます。

これ、振動に沿ってひび割れてるんですよね。

大変興味深い特徴です。

こんなひび割れ古い楽器じゃないと出ませんから。