さて、100年前のMASAKICHI SUZUK作ヴァイオリンのリペア
まず、ネックの取り付けの部分を接着する。
でね、この写真、見てもらうとわかると思うが、取り付け部分日本の技法「蟻(あり)」使ってるんだね。
蟻とは日本の伝統的建築に使用されている基本的継手(つぎて)・仕口(しぐち) で台形の切りかけを使って強度を増す技法だ。
勘弁してくれ、普通おおらかなイタリア人はそんな事しない。どおしてこうなった。
確かに強度、正確さは出る、でも修理の時すべては台無しになりやり直しだ。
勘弁してくれ。と、泣き言を言いながら、慎重に両面を削るしかない。
とりあえず、整形して接着。固定。.....ずれてたらどうしよう。日本文化の呪いだ。
イタリア人は直す前提で作るからこんな事しない。
強度を犠牲にしても調整のしやすさを重視する。
この件に関してはイタリア人の方が優れてると感じた。
「おめぇ、修行が足りねえ!これくらい楽勝だろ!」
親方、それは超人職人に言ってくだせー。凡人にはムリっす。
苦労してくっつけて、裏側閉じて何とか.....。
で、この楽器ドイツのシュタイナーあたりをモデルとして作ってると思うのですが
いたるところにその他の要素が伺えます。
当たり前ですよね、試行錯誤の連続でしょうからね。
私が感心したのは表面版と裏版の木の厚みですね。
裏版、3.25mm-3.55ぐらいで薄い所では2.60mm
表は3.60-4.00mmとこちらも薄い。
これ以後のモダンは
何故かはわからないが比較的厚いもの4mm以上くらいが増えている。
立派に見えるから?
解らないけど。
私が調べた限りでは、名器は薄いと結論してます。
いかに、ぎりぎりを見切るか、が勝負?みたいな感じです。
そういう意味ではこの楽器は及第点です。
音も気に入ってます。
この楽器の裏側なのですが、塗装がひび割れてます。
これ、振動に沿ってひび割れてるんですよね。
大変興味深い特徴です。
こんなひび割れ古い楽器じゃないと出ませんから。