ポール・マッカートニーの新しいベスト盤
PURE McCARTNEY
発売まであと1週間と1日となりました。
今回は前祝(!?)として、「ポール・マッカートニーの新しいベストになぜこの曲が入らないのか」というな記事をあげます。
まあ普通は収録されている曲について語りそうなものですが、そこは生来のへそ曲がりの僕ということで(笑)。
ベスト盤について、あの曲が入っていないのはどうか、といった意見や考えそして思いによく接します。
選曲や編集が素晴らしくそれ自体満足でもあの曲は欲しかったという意見や、あの曲がないのはおかしいといった批判的なものまで。
中傷に近い不愉快な声もあるでしょうけれど、基本的に僕は、そうした様々な考えに接するのも音楽の楽しみのひとつと思います。
というのは僕のここでの戯言に対する言い訳かな・・・
これは、ベスト盤のリリースが発表され曲目を見た時、そこになかった曲はなぜなのかを考えてまとめた雑文です。
主にシングルカットされた曲ですが、どうかお気軽に(あまり腹を立てずに)お読みくだされば幸いです。
なお、PURE McCARTNEYは2枚組39曲盤と4枚組67曲入りがリリースされますが、4枚組にも入っていない曲を対象としています。
(2枚組の曲はすべて4枚組にも収められています)。
【2016年6月17日 追加補足】
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C Moon
(シングル発売)
(1972)
この曲が入っていない!!!
実はCDが届いて聴いて「あれっ?」と思い、気づきました。
というのも、これは当然入っているものと思い込んでいて、最初にリストを見た時にろくに確認しなかったのでした。
今更ながら驚きですね。
1987年のベスト盤ALL THE BESTに入っていて、僕はそのCDで初めて聴いたのですが、ポールの音楽の奥深さを知った思い入れの強い曲、今回落とされたのは残念でなりません。
しかし、今にしてポールがこれを選ばなかったその心境も気になってきました。
そして僕の悪い癖、外されたとなるとより好きになってきました(笑)。
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Wonderful Chrstmastime
(シングル発売)
(1979)
これは入らないだろうなと、予想通りでした。
ベスト盤ALL THE BESTやEMI時代最後だった2枚組のベスト盤WINGSPANにも入っていなかったし、EMIから出ていたBACK TO THE EGGリイシュー盤と現行UniversalのMcCARTNEY IIにボーナストラックとしてひっそりと収録されただけ。
6月リリースのベスト盤にクリスマスソングはそぐわないといってしまえば簡単ですが、この曲、なぜか、と一応つけますが、なぜかあまり人気がないですよね。
僕はクリスマスアルバムを100枚近く持っていますが、この曲のカヴァーはシカゴしかない(いいカヴァーですが)。
ジョンとヨーコのHappy X'mas (War Is Over)が10以上のカヴァーがあるのとは対照的。
もしかしてポールはいまだにジョンと張り合っているのではないか、一方で勝ち目がない闘いはしたくない、だから引き下がろう・・・
なんてのは邪推に過ぎるでしょうけど、でもこの曲は、良くも悪くもポールの「小市民」的な部分が強く出た曲であり、ベスト盤で聴くのは違うかなあ、と思わなくもない。
最後の盛り上がりが、ほんとうに家族か仲のいい2家族くらいの小さなパーティで盛り上がっている雰囲気が感じられ、
それはそれで時期に聴くと涙が出そうにはなるんですけどね。
うん、だからこれは個人で楽しもう。
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Take It Away
TUG OF WAR
(1982)
これはねぇ、入っていないのが残念でならない。
ジョンのことがあった後に出たTUG OF WARからの曲で、シングルカットされTop10ヒットにもなった曲なのですが、やはりジョンのことのつらさを思い出してしまうのかなぁ。
リンゴ・スターとスティーヴ・ガッドのツインドラムスが印象的で、僕が死ぬ瞬間に聴いていたい曲として以前記事にしましたが、今回、ベスト盤に入らなかったことで、へそ曲がりの僕は、ポール・マッカートニーで2番目に好きな曲はこれ、と言うことにします(笑)。
(1番目も後で出てきます)。
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Ballroom Dancing
TUG OF WAR
(1982)
この曲はポールのシングルカットしなかった曲の中でも屈指の人気曲とずっと思ってきたので、僕としてはこれが入っていないのは意外中の意外でした。
ただ、それはあくまでもこのアルバムを同時代で聴いた者の感想にすぎないのかもしれないですが(それは分かってます)。
ただ、TUG...は昨年リマスター・リイシュー盤が出たばかりで、ポールの頭の中でひとまず完結しているのかもしれない。
いや、違う、Wanderlustは2枚組にも収録されている・・・
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So Bad
PIPES OF PEACE
(1983)
ポール・マッカートニーほど名曲傑作ヒット曲が多い人であれば、それらすべてを1枚や2枚で入らず、どれかを落とさなければならない。
となると、落とされた曲にこれが選ばれたのは仕方がないかな。
同じPIPES OF PEACEから他に2曲入っていることだし、これについては理解も納得もできます。
僕がリアルタイムで初めて買って聴いたアルバムの曲であり、思い入れは深いのですが、それは人により年代によりでしょうから。
当時、すごくいい曲だけどヒットチャートで上位にくることは想像できなかった、そんな曲でもあり、それが時代の感覚だったのだと今にして思います。
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Spies Like Us
(シングル発売)
(1985)
ダン・エイクロイドとチェヴィー・チェイス主演の映画『スパイ・ライク・アス』のテーマ曲としてリリースされたこの曲は、現時点でポール最後のビルボード誌Top10ヒット曲、と書くと
入っていないのは不思議。
でもこれ、ポール自身不振で落ち込んでいた時期のアルバイトみたいなものだから、ポールとしても抹殺させたいのかな、と思わなくもない。
そうであるなら入っていないのもまあ納得できます。
曲としても軽いノリでアレンジもあまり凝っていなくて、ベスト盤の中で聴くと浮いてしまうサウンドかもしれないし。
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Once Upon A Long Ago
ALL THE BEST
(1987)
ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTのための新曲であり、シングルカットもされたほの暗いバラード。
ポール自身落ち込んでいたのではなかろうかというくらいに湿り気のあるメランコリックな曲で、当時の僕はそれを「ポールらしい」と感じましたが、それからポールの過去とその後の作品をたくさん聴きすすめるに及んで、実は「ポールらしくない」曲かもしれない、と今は思わなくもない。
この曲のポールは珍しく「弱い」ですよね。
低迷期の当時は自信を失っていたことが察せられる。
今の自信満々なポールには似合わない。
4枚組にPressこそ入っているものの、Spies...ともどもポールはあの低迷期をなかったことにしたいのかもしれない。
でもアニメの主題歌として提供したWe All Stand Togetherは入っているのが、ポールの人間性の複雑なところですかね。
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My Brave Face
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
ポールが「アーティスト」として華麗なる復活を遂げた89年作FLOWERS IN THE DIRTからの最初のシングル曲。
ビルボードでもスマッシュヒット(25位)になり、ベスト盤に入っていてもよさそうなものですが、でもこれがないのは分かります。
エルヴィス・コステロとの共作だからというと、ひとつは権利関係の問題を考えると入れられないのかもしれない。
しかしそれ以上に今回のベスト盤は、ポール・マッカートニーという稀代のポップス作曲家の集大成であり、他の著名な作曲家が絡んだ曲は入れたくないという矜持があっても不思議はない。
厳密にいえばリンダ・マッカートニーとの共作はありますが、それは問題じゃないし。
もうひとついうなら、この曲のBメロのいかにもコステロらしいうねうねした歌メロは、ポールのベスト盤に入れるとなると、単純に音として雰囲気が合わない、と僕は感じます。
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This One
FLOWERS IN THE DIRT
(1989)
これが最大の謎。
...DIRTからの2枚目のシングルでしたが94位と予想外に低かった、というのはひとつ考えられますが、しかしそれよりなにより、今回のアルバムにはなんと...DIRTから1曲も入っていない。
...DIRTはこの秋にリマスター・リイシュー盤が出るので、それらはそっちで聴いてくれ、とでもいうのかな・・・
リマスター作業が間に合っていないという技術的な問題があるのか、と思ったけどアルバムがまだのMy LoveやArrow Through Me、Pressなどは「2016リマスター」と謳っていて、ベスト盤用に先に数曲リマスター処理するのは難しくないはず。
この曲には超個人的な想い出(失恋)があるんですよね。
僕はそれまでWanderlustをポールのいちばん好きな曲と言ってきましたが、それは今回収められたので、今日この瞬間からポール・マッカートニーでいちばん好きな曲をThis Oneと言うことにする、宣言します!!
まあ、ベスト盤で聴かれることないので、独占欲が強い僕にはかえってよかったかもしれないですね(笑)。
ところで、...DIRTから1曲も入っていないことについて、もうひとつ考えたの可能性が「父の死」。
実際、そのアルバムには亡くなられたお父さんに捧げた曲Motor Of Loveや、お父さんの言葉を歌にしたPut It Thereが入っている、そういう頃でしたから。
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Hope Of Deliverance
OFF THE GROUND
(1993)
この曲はアルバムともども出た時から思い入れが激しくて、前のベスト盤でもこれが落とされて悲しかったのですが、今回期待したところ、やはりというか、なかった。
歌メロも演奏もいいしアコースティックな雰囲気もいいのに・・・
ポール自身が嫌いなのかな。
僕は、ええ、ますますこの曲への思い入れが深くなりました。
それにしてもこのアルバムは人気がない、らしい。
やはりなかったことにしたいのかもしれないと思ったけれど、でもここから1曲地味めな曲Winedark Open Seeが入っているんですよね。
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Young Boy
FLAMING PIE
(1997)
これがねぇ、悲しいね。
弟が当時最初に聴いた時、この曲がヒットしないのであれば、もうヒットチャートにはついてゆけないと「名言」を吐きましたが、その通りヒットしなかった、時代が変わったことを感じましたね。
このアルバムのすぐ後にリンダさんが亡くなり、やっぱりそこが心の中で引っかかったのかなと思ったのですが、よく見ると4枚組にはここからなんと8曲も収録されている。
そうなると逆にリンダさんに捧げられているようにも感じられますが、落とす曲がよりによってこれなのか、というのが理解できない・・・
売れ線狙いすぎたと反省しているのかな。
ちょっとだけ言わせてもらえば、何もここから8曲も入れなくても、3曲にしてあと4、5曲ここで取り上げた曲を入れたてもよかったのではないかなあ、と・・・
まあ、ポールが考えて決めたことですから。
いや、「考えて」はいなかったかもだけど・・・
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Coming Up Live in Glasgow
(シングル発売)
(1980)
おまけ。
Coming Upはポール・マッカートニー7曲目のNo.1ヒット曲で、もちろん2枚組にもスタジオヴァージョンが収録されていますが、アメリカではライヴヴァージョンがラジオで多く流れたことで、No.1になったのはライヴヴァージョンということになっています。
その関係で、ポール2枚目のベスト盤ALL THE BESTでは、US盤にはライヴ、その他はスタジオヴァージョンが収録されました。
僕は当時、収録曲が違うので両方買ったのですが、ライヴかどうかは明記されておらず、買って聴いて気づきました。
そこで思うのは、今度のベスト盤でもUS盤にのみライヴヴァージョンが収録されるのだろうか、ということ。
ないでしょうね、おそらく。
McCARTNEY IIにボーナストラックとして収録されたことだし。
ちなみに僕は、ライヴよりスタジオの方が好きです。
◇
口髭にハーフシャドウのジャケット写真、ポールの自信がみなぎっていますね。
最初は「?」でしたが、もう慣れ、むしろいいと思うようになってきました。
ポール・マッカートニーは近年のツアーが盛り上がっているのに、こんな偉大なソングライターのベスト盤が出ていない現状はおかしいと僕はずっと思っていましたし、そういう人は結構多いのでは。
今回のベスト盤は、そうした声を受けたかたちなのでしょう。
コンサートで盛り上がった1985やHere Todayが入っているのがそのことの象徴と考えますが、だから、コンサートで演奏されなかった上記の曲が入っていないのは、まあ、分かる部分もあります。
しかし今回はあくまでもポールの「気まま」な選曲ということで、今の気分はこうなのかなと思うのもまた楽しいかもしれない。
しれないけれど、ベスト盤は今後も残るものだから・・・
という思いもありますね。
ともあれ、来週、CDが家に届くのが楽しみです!