レコードにまつわるあれこれ | 自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

20141201Records


 先週の「めざましてれび」で、レコードが話題に上っていました。

 最近はレコード人気が復活し、2013年のレコードの売り上げが2011年の2.6倍にも伸びたそうです。
 今は新譜も普通にレコードが出るようになっていますね。

 番組では、一般人にアンケートをとり、「レコードのあるある」として、レコードにまつわる思い出話を紹介していました。

 今回はそれを観て思ったことと、僕自身の思い出話を交え、ひとつの記事にまとめてみました。




 本題の前に、今日の1曲はブルース・スプリングスティーンのWarです。
 "Absolutely not!"と歌うところがすごくカッコよくて、高校時代、声まで真似して歌おうとしたものです。




 僕はおそらく「最後のLP世代」だと思います。
 1980年代前半、中高生の頃、僕はLPを買って音楽を聴いていた、という意味で。
 新譜をCDで買うようになったのは大学1年の1987年、U2のTHE JOSHUA TREEで、世の中が本格的にCDの時代になったのは1988年でした。

 前半は、その番組のアンケートを基に進めます。
 アンケートの5位から1位までカウントダウンで紹介します。
 なお、番組では回答の「はい」の率が円グラフで出ていましたが、その数値は忘れてしまいました。
 でも、5位でも6割以上が「はい」だったと記憶しています。



 ●5位:「ジャケット買い」してしまう

 本題の前にいつも理屈をこねる僕の考え(笑)。
「ジャケット買い」、僕の定義はこうです。
「まったく知らないアーティストのレコードを、ジャケットを見ただけで衝動的に買ってしまうこと」
  少し拡大解釈して、アーティスト名か作品名くらいはどこかで耳にしたことがある、程度のものは含めましょう。
 つまりよく知らないことが条件。

 僕は、LP時代は「ジャケット買い」の経験がありません。
 小遣いが限られていたので、ほんとうに欲しいものしか買わ(え)なかったから。
 ほんとうに欲しいと思うに至るまでも、ラジオやテレビで録音・録画したものを何度か聴くという過程がありました。
  今でも「ジャケット買い」は年に1枚あるかないかくらいで、僕は臆病なのか(笑)、基本、知らないと買わないようですね。

 ただし、「モノ」として考えると、その「モノ」を見た瞬間、欲しくなって買ったことはあります。
 シンディ・ローパーSHE'S SO UNUSUALのピクチャーレコードがそれ。
 これはもう4枚目のシングルMoney Changes Everythingが切られた後に出たもので、それまで3曲も大好きだったから、LP買おうかどうか迷っていたところ店頭で見つけて飛びついたのでした。
 他にも、ピクチャーレコードは、既に音源を持っていても、「モノ」として見た時に欲しくなって買ったことは何度もあります。

 なお、CDの時代になり、CDで初めて聴いて気に入ったアルバムを、 大きいジャケットが欲しくて中古LPを買うようになりました。
 バッド・カンパニーのSwan Songレーベル盤は今年ついに1stを見つけ、6枚完結しました。



 ●4位:B面からかけてしまう

 これも僕は、覚えている限り経験ないです。
 なぜかというと、僕はLPを買うとすぐにカセットテープに録音して聴いていたので、LPは1回しか聴かないことがほとんどであり、最初にかける時は普通はどちらがA面かを確認するでしょう。
 多分、B面からかけてしまうという人は、2回以上聴くことによる慣れか単なる勘違いからそうなるのではないかと推察します。
 ビートルズのアップル時代のLPのように、A面とB面でレーベルの絵が違うと、分かりやすくて間違うことはほぼないでしょうね。



 ●3位:日に当てて反ってしまう

 反るというより歪んでしまう、ですが、これも僕はないです。
 理由は簡単、レコードプレイヤーがある場所もレコード保管場所も、家の中で陽射しが当たらない場所にあるからです。
 レコードを出しっぱなしにするということもなかった。
 番組では、ガラス2枚に歪んだレコードを挟んで日向に置くと元に戻ることがある、という裏ワザも紹介されていましたが、でも、レコードの溝は連続したものだから、一度歪んでしまうと元には戻らないのではないか、と、疑問を抱きました。
 かといって試してみるつもりはないですが・・・(笑)。



 ●2位:回転数が違う

 一応説明すると、レコードは1分間45回転と33回転があり、45回転は直径17cmのシングル=ドーナツ盤、が一般的なもの。
 LPを45回転でかけるとヘリウムガスを吸って喋ったみたいな声になり、一方、ドーナツ盤を33回転でかけると、ジャイアント馬場が喋るみたいになりました。
 これは何度かありましたが、たいてい、LPが速くなる方でした。
 といのは、シングルを買うことは少なく、買った際には回転数を意識して変えますが、いわばLPの方がデフォルト状態だから、次にLPを聴く時に回転数を戻すのを忘れてかける、ということ。

 これで思い出したのが、シングルレコードの回転数をわざと落としてギターソロなどの音を拾って練習したという話。
 エリック・クラプトンだったかな、キース・リチャーズだったか、いやその頃のミュージシャンはみなしていたのかな。
 もちろん音が下がるので上げて戻して演奏するのですが。
 僕もそれをやりましたが、僕のラジカセはカセットテープ再生時に回転数が変えられたので、やはりテープでやっていました。



●1位:盤面を傷つけてしまい音飛びするようになる

 これが実はないのです。
 先述のようにレコードはだいたい1回しか聴かないからでしょう。
 それに、レコードをかけるのは神聖な儀式のようなものだったから、手を洗ってよく拭いてからかけていたくらいだし。

 レコード盤の静電気とほこりには気を配っていて、レコードに乗せて自走する電池式のLo-Diのほこりクリーナーを持っていました。
 長さ17cm×奥行4cm×高さ3cmくらいの長方形の箱型のもので、穴があいていてターンテーブルの中心部の突起を穴にさし、電源を入れると回転しながらブラシが回ってほこりをとる、というもの。
 ただ、それでも完璧にはとれなくて、手で扱うクリーナーも使いました。



 というわけで、僕はどうやら少数派であるようですね。


 さて、次は、僕の「あるある」を紹介します。
結果として、輸入盤にまつわる話が多くなりました。





  ◎レコード針を盤面の外に落としてしまう

 僕が音楽を聴き始めた頃、家にあったレコードプレイヤーは、レコード針を自分でレコードに落とすタイプでした。
 しかし僕はそれが苦手で、よく溝より外側に針を落としてしまい、スピーカーから不穏な音が流れて急に止めるということがありました。
 それに見かねたのか、或いは息子が熱心だからか、そのうち父がレコードの大きさを自動検出する新しいプレイヤーを買ってくれました。
 ターンテーブルに5mm×3cmくらいの穴が開いていて、そこから光が出て盤面に反射するかしないかで自動的に大きさを検出し、針がシングルならシングル、LPならLPの溝の端に降りるというものです。
 これは回転数とは連動しておらず、12インチシングルの45回転もちゃんとそこに針が降りたと記憶しています。
 ただし、カラーレコードは光を透過してしまうため自動検できず、その場合は手で針を降ろさざるを得ませんでした。
 そして、その時もまた溝の外に針を落としたことがある・・・



 ◎輸入盤はジャケットが曲がっているものもある
 
 ビリー・ジョエルの52ND STREETの輸入盤を買い、家で袋から出すとジャケットに折り跡のようなものがついて曲がっていたことに気づきショックでした。
 でもこれは返品交換してくれないだろうなと泣き寝入り。
 輸入盤は扱いが雑なのか、結構ありましたね。
 買う段階で分かっていれば避けるようにはなりましたが。



 ◎輸入盤は歌詞カードがないものもある

 最初は、ビートルズ関係ですが、国内盤LPを買っていました。
 国内盤は歌詞カードがありご親切にも訳詩もありました。
 それが当たり前だと思っていたのですが、輸入盤を買うようになると歌詞カードがないのがむしろ普通だと知りました。
 ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのSPORTS!の輸入盤を買う際に、歌詞カードがどうしても欲しく、でも国内盤は1000円くらい高いので、さてどうしようと悩み、当時懇意にしていた輸入盤店の店主さんに歌詞カードがあれば買います、と話しました。
  店主さんは封をわざわざ切って開けて中を見せてくれました。
 「ほら、あった」と店主さんは微笑み、僕はすぐに買いました。
  懐かしいな、あの店主さん、今はどこでどうしているのだろう・・・
 今はネットで歌詞が検索できますよね。
  便利、というか、不思議な世の中になったものです。



  ◎輸入盤返品交換

  僕は、傷がついていて音飛びするなどでのLPの返品交換は、国内盤輸入盤合わせて一度しか経験ありません。
 しかし、その一度がよりによって、高校時代に買ったブルース・スプリングスティーンの5枚組LIVE、写真のものでした。
 しかも音飛びする曲がBorn In The U.S.A.。
 5000円以上したもので、祖母に「アルバイト」をさせてもらいようやく貯めたお金でやっと買ったものでしたが、それが分かって、ほんと、凍りつきました。
 夜9時過ぎでしたが、当時は午後10時まで店が開いていたので、父に頼んですぐに車で店に行ってもらい、レシートとレコードを店で出し、音飛びを確認してもらいました。
 店では飛ばなかったらどうしようと心配でしたが、見事(?)、音飛びし、交換してもらえました。

 今回の曲Warはここからのものです。



 ◎貸した回数1位は

 再びブルース・スプリングスティーン登場。
 そう、BORN IN THE U.S.A.が1位です。
 高校時代はLPをよくクラスメートに貸していましたが、スプリングスティーンのこれは8人に貸しました。
 ひとりに貸して、クラスで朝に返されると、その横で別の人が貸してと言ってきて、返るとまた別の人が、とつながってゆき、家に2週間ほどレコードが返ってきませんでした。
 僕がそれを買ったことを聞きつけた、それまでほとんど面識がなかった他のクラスの人までもが借りにきました。
 先述のように僕はテープで聴いていたので問題はなかったけれど、確か一度だけ、歌詞を見たいたけど手元にないことがあったかな。
 思うに、話題になっていたので、買うまでにはいかないけれど、「ちょっと」聴いてみたい、という人が、特にこのスプリングスティーンでは多かったのではないかと。
 貸した人の感想はさらっとしか聞かなかったのですが、これ実は、日本におけるスプリングスティーンの象徴しているように僕には思えてなりません。



◎輸入盤レコードの匂い

 当時のタワーレコードは輸入盤しか売っていませんでした。
 シスコもそうでしたが、店に入ると強烈な化学臭がしました。
 レコードを買って帰ると、まず袋から臭いが、取り出して手に取ると臭いが強くなり、ビニール封を切ると臭いが一気に広がる。
 殺虫剤の臭いだそうですね、防疫の問題でかけられたという。
 でも、僕は、この臭いが大好きでした。
 もちろん、市販の殺虫剤の臭いだけではいいとは思わない。
  輸入盤レコードを買っている満足感のようなものが、その臭いを通して湧き上がってきたものでした。





 いかがでしたか!

 CDが本格的に普及した1990年頃の話。
 レコード針が買えなくなるかもしれない、と騒がれ、実際、専門店に行かなければ買えなくなりました。
 あれはいったいなんだったんだろう。
 バブルの前の日本らしい、流行をだけ追いたがる姿勢・・・

 レコードは復活しました。
 もしかしてこの先、CDよりも長く生きるかもしれない。

 しかし、わが家ではまだ復活していません。
 そろそろ、本気で置く場所を考えようかな。