◎JAILBREAK
▲脱獄
☆Thin Lizzy
★シン・リジィ
released in 1976
CD-0057 2011/05/24
シン・リジィの6枚目のアルバム。
僕が大学生の頃、TBSで多分関東ローカルの深夜番組「ピュア・ロック」という音楽の番組が放送されていました。
メインパーソナリティの伊藤政則と和田誠がバーを舞台に番組のキャラクター人形との会話を交えながらハードロック・ヘヴィメタル系の音楽について熱く語る番組で、1時間の間に数曲のビデオクリップを流し時にはアーティスト直々にゲスト出演して歌やギターを披露したりとそれは楽しい番組でした。
番組に気づいてから毎回録画して観て録りため札幌に帰省している間は父にタイマーで録画しておいてもらいさらに当時は札幌にいたヘヴィメタマニアの友だちにダビングして見せていました。
僕がこのBLOGを始めて少しが経ちましたが、僕の音楽的な基本は少しハードなロックであることがだんだんと分かってきました。
このCDは日曜に棚にあるのに目がとまって聴いているものですが記事にするとなると書くことが浮かびやすいのは「ピュア・ロック」で扱っていたハードロック・ヘヴィメタル系のものが多いのです。
その番組は僕がまだ若くて頭が多少は柔らかかった頃に観て聴いただけに僕への影響も意外と大きかったのかもしれません。
番組はビデオからDVDに起こして保存してありますが地上波なだけに画面のゴーストがひどいですね(笑)。
それでもいい思い出であり貴重な資料です。
シン・リジィは「ピュア・ロック」でよく流れていました。
でも僕は最初は大嫌いでした。
具体的に言えばフィル・ライノットが苦手でした。
まずはねっとりとして少し恐い声が生理的にだめでした。
ジム・モリソンと同じ傾向だと僕は感じていましたがドアーズも高校時代にベスト盤LPを買ったものの声に抵抗があってそこから先に進まなかったバンドです。
フィル・ライノットの顔もなんだかちょっと生意気そうでかつ呪術的に恐かった。
おまけにビデオクリップを見ているとバラを一輪手に持ったり小さな女の子を相手に歌ったりというロマンティックなところが僕の感覚からすると彼の声や顔には相当ミスマッチ感覚があってかなり違和感がありました。
もうひとつこれが決め手かもしれないけどフィル・ライノットの歌はサビの部分はちゃんと歌メロがあるけどヴァースの部分ではラップじゃないけど歌メロがなく言葉を音楽に乗せているだけであって歌が好きな僕には響かなかったということです。
でも全体の音は結構かなりいいなと思いました。
きっと当時はCDを買うお金の制限があって(今ももちろんあるけど)、「不必要」なものはなるべく買いたくないという自己防衛本能がそうさせたのかもしれません(笑)。
それから数年後に30歳を過ぎてからこのアルバムのリマスター盤CDを市内の中古CD店で見つけました。
その時は「ああボン・ジョヴィが歌った有名な曲が入ったCDか」くらいにしか思わなかったのですが、後日別の市内の中古レコード店で別のアルバム2枚のリマスター盤の中古CDを見つけて状況が変わり、2軒はしごして3枚を買い以降は新品で買い揃えました。
余談ですがまた別のリマスター盤を新品で買ったすぐ後にさらにまた別の市内の中古CD店でそれを見つけてちょっと早まったかと思いました(笑)。
しかし正直言えば中古で3枚を見つけた時点でも別にシン・リジイを好きになっていたわけでもなろうと思っていたわけでもありませんでした。
じゃあなんで買ったかというと、リマスター盤というのは僕がそのアーティストを聴く大きなきっかけのひとつだからです。
それが一時に3枚同時に安く手に入るなら買わない手はないじゃないですか。
とそこまで書いてもまだ疑問に思われるかもしれない。
僕が元来音楽に対しては探究心と冒険心が割と旺盛で何か機会があれば聴いてみたいと思う部分が大きいからです。
ましてやシン・リジィは曲としてはいいなと思ったものがあったのでその障壁は意外と低かった。
もうひとつ、音楽は聴く時宜があるというのが僕の持論であり信条ですが、一時に3枚も中古であったというのは千載一遇のチャンスであり時宜到来と感じたからです。
さらにいえば声が嫌いな人というのも僕は意外と克服できてきていたからです。
白状すれば、僕はR.E.M.をまだMTVやラジオなどで聞いていただけの頃はマイケル・スタイプの声が大嫌いでしたが、気に入った曲があってCDを買うとそれが苦にならなくなり、今では現役で最も好きなアーティストのひとつにまでなっています。
まああとは最初の話に戻りますが僕の基本はハードなロックだからでしょうかね。
大事なことを忘れてはいけない。
シン・リジィはアイルランドの魂とまで言われていますが、僕はアイルランドへの憧れのようなものが強く、そのような存在であるシン・リジィを聴いてみたいという思いは小さくてもずっと持ち続けていました。
かくして僕はシン・リジィを買って聴き始め抵抗感もだんだんと薄まりいつしか大好きなアーティストとなりました。
かつては大嫌いだったけど今は大好きというアーティストは結構ありますが、シン・リジィは僕の中ではその代表的な存在です。
フィル・ライノットは1986年に亡くなりその報には当時から接していましたが、「ピュア・ロック」が放送されていた1988年頃というのは亡くなって少し経ち、フィル・ライノットやシン・リジィの再評価の機運が高まってきた頃でありだから番組でもよく流されていたのかもしれません。
ただ、ですね、フィル・ライノットのどうしようもないロマンティックさだけは今でも微妙に抵抗があって「へっ、このキザ野郎!」と心の中でつぶやきながら聴いています(笑)。
もちろん愛情を込めて言ってますからね、今はほんとに大好きだから。
◎このCDこの4曲
Tr1:Jailbreak
じゃぁ~んとギターで始まるけど何拍で全体の演奏が始まるのかいまだにタイミングがつかめない(笑)。
切れのいいギターと軽快な口調のヴォーカルにサビが大盛り上がりで1曲目から気持ちが煽られます。
Tr4:Romeo And The Lonely Girl
ああきたきたロマンティック路線(笑)。
これはアップテンポな曲だけどスロウでもメロウでも彼のロマンティックさは曲の形状に関係なく表れるのが面白い。
Tr6:The Boys Are Back In Town
彼らの代名詞にして70年代ハードロックの名曲中の名曲でしょうね。
ヴァースは歌えないけどサビが爆発的印象的素晴らしさでついつい歌ってしまう彼らの典型的にして最高の曲。
Tr9:Emerald
アイルランドの大地を感じさせるギターリフが素晴らしい、まさに宝石。
アイルランドそして世界的に彼らがいまだに人気が高いことが理解でき体に伝わってきます。