◎STOP MAKING SENSE
▲ストップ・メイキング・センス
☆Talking Heads
★トーキング・ヘッズ
released in 1984
CD-0027 2011/04/23
トーキング・ヘッズ1984年のライヴアルバムにして同名映画のサウンドトラック盤ともいえる1枚。
トーキング・ヘッズは高校時代にMTV番組でよくビデオクリップを見て曲を耳にしてはいましたが、CDの時代になって初めて買って聴きました。
最初に買ったのはよく見ていたLITTLE CREATURESでしたが、今回のこのアルバムもすぐ後に買い、どちらも僕が最初に買ったCD30枚に入るくらい早くに買ったものでした。
でも、付き合いが長い割にはいまだによく分からないバンドです(笑)。
ビデオクリップが面白くて視覚的にひかれてCDを買うと、いい曲は多いんだけど何かこうまっすぐじゃないちょっと変わった響きの音楽だなと思いました。
よく分からないうちに解散してしまったし。
ヘッズは今となっては立ち位置が微妙ではないでしょうかね。
すごく崇められているという話は聞かないけど、でも音楽を聴く人の間では特別な目で見る人が多いような気もします。
僕はライヴアルバムは基本的にあまり好んで聴くほうではないかな。
いつも買っているアーティストのものであれば必ず買いますが、スタジオアルバムの曲が好きであればあるほどそことの違いが受け入れられないのが主な理由です。
ただし大好きなライヴアルバムも何枚もあるし、年をとるに従ってこだわりが薄くなってきたので、今では曲がよければかかっていて気持ちがいいと思えるようにはなっています、念のため。
トーキング・ヘッズのこれは、僕が好きなライヴアルバムでも間違いなく五指に入るものです。
なぜ好きかというと、これに限っては収録されている曲はスタジオアルバムよりこのライヴ盤で先に聴いていたからです。
つまり、より正確に言えば僕は、最初に聴いて好きになったものが好きでそれとの違いを受け入れられないのかもしれません。
頭が固いから(笑)。
これは同名映画のサントラでもあってアルバムに流れがあり、コンサートというよりはショーもっと言うと演劇的要素を感じさせるものです。
映画「ストップ・メイキング・センス」を観たのはCDを買って数年後で遅かったのですが、曲だけを聴いて想像していたものと映像のイメージが見事に一致したのはある意味感動しました。
爾来、僕にとってこれは、ロック映画で最も好きなものの1本であり続けています。
どれくらい好きかというと、このビデオソフトが出た時はまだベータのビデオデッキを使っていましたが、これはVHSしか発売されないと分かってついにVHSのビデオデッキを買う決断をしソフトも同時に買ったくらい。
たまたまその頃にソニーもついにVHSのデッキを出したのもありましたが。
今回は映像のことはあくまでも脇道としてCDの話をします。
これを聴いて僕が強く感じたのは、デヴィッド・バーンの歌のうまさです。
うまいというのは、巧いとか上手いとかとも違う、表現力がとにかく豊かな人であり、やはりロック的なものとは一線を画す演劇的かつアート的な要素を強く感じてしかも説得力があるという意味です。
僕はそもそもバーンの声が大好きで、歌手としてなかなか以上にいいと思うんだけど、でもそうした要素が強い上にちょっと変わった人というイメージもあって、歌手としてはかなり損をしている人じゃないかなと思います。
今回は記事の体裁を少し崩して、1曲ずつ短く触れてゆきます。
Tr1:Psycho Killer
=後に映像を見るとギターを持ったバーンがひとりでステージに登場しラジカセから流れるリズムの音に合わせて歌っていました。
ただこのCDのヴァージョンは途中のずっこけたりするような仕草の部分はカットされていて、単純に音楽だけに編集されています。
Tr2:Swamp
=アメリカ南部の音楽を"Swamp"ということを僕はこの曲で知りました。粘りがある音楽を意味することも。
Tr3:Slippery People
=ヘッズの曲は語感が面白いですね。曲も確かにずっと上滑りしたまま。
Tr4:Burning Down The House
=この曲だけ「ベスト・ヒットUSA」で観て聴いて先に知っていましたがオリジナルよりシャープで力強い演奏のロックっぽいアレンジがいいですね。
Tr5:Girlfriend Is Better
=歌詞に"Stop making sense”とあってアルバムタイトルはここからとったのかな。
この曲は特にバーンのヴォーカルが好き。
バブルの頃にバーンはこの曲を使った焼酎のCMに出ていたっけ、懐かしい。
Tr6:Once In A Lifetime
=このアルバムをひいてはバーンやヘッズをダイジェストした感動的な曲。
映像ではヴァースのところでバーンが手で自分のおでこを押して崩れる仕草が印象的でよく真似をしました(笑)。
Tr7:What A Day That Was
=ヘッズの音楽はファンクの影響が強いんだなって今にして気づいた。
Tr8=Life During Wartime
=そして彼らがこんなにものりがいい音楽をやる人たちだったんだと驚き感動した。
Tr9=Take Me To The River
アル・グリーンの曲だと知って当時の僕には都会的な彼らとソウルというのがなかなか頭の中で結びつかなかった。
しかしその不思議さにもヘッズの魅力を感じていたことも確かでした。
曲も素晴らしくすぐに口ずさむようになったけど、ずっと後でオリジナルを聴くと口ずさむ歌としてはヘッズのほうがいいなと思った。
それにしても"Hold me, squeeze me, hold me, tease me"というのはこの人たちMなのかなって・・・(笑)。
このアルバム、現在は完全盤が流通していてそれが普通のものとなっており、僕が今回取り上げた9曲の旧盤は廃盤扱いになっています。
そういうアルバムを紹介するのもどうかと思わなくもないけど、でも僕はこの9曲の旧盤を聴き慣れていてこれが好きなので敢えて紹介しました。
この事実からいろいろなことが考えさせられます。
旧盤は純粋に音楽として楽しめるように編集されていて、映像はあくまでもイメージという感じではないかと。
つまり、サウンドトラック盤と書いたけど、意識の中では9曲の旧盤はあくまでも別物、それだけ純粋に音楽として楽しんでほしいという意図でリリースされたのではないか。
旧盤に収録された曲も完全盤では出てくる順番が入れ替わっているものもあり、それはつまり映像なしで音だけを聴くに際してより効果的な編集がなされたのでしょう。
違うかもしれないけど、でも僕は旧盤でずっと聴き慣れていてこのアルバムが気に入っているので、いまだに音だけ聴くのは旧盤を出して聴いています。
編集されているので、ライヴというよりは普通のスタジオアルバムの感覚で聴けるのも僕が気に入ったところかもしれません。
だから9曲の旧盤をリマスター盤で出し直してほしい!
回りくどかったですが(笑)、今回の記事で僕がいちばん言いたいのはそこです。
言いたいことを言ったのでそろそろしめます(笑)。
今朝は雨でバードウォッチングに行けず外にも出たくないので、こういう時は昔から大好きなアルバムをじっくり聴き込むチャンスですね。
だから朝から聴いて記事にしました。
◎それでもこのCDこの1曲
Tr9:Take Me To The River
=やっぱりこの素晴らしいアレンジと演奏はもう一度押しておきたい!