◎TRAFFIC
▲トラフィック
☆Traffic
★トラフィック
released in 1968
CD-0045 2011/05/12
トラフィックの2枚目のアルバムですが1枚出した後にもいろいろあったようで・・・
僕はかつてはスティーヴ・ウィンウッドが嫌いでありそのあおりでトラフィックもまともに聴いたことはありませんでした。
そうは言いながらもリマスター盤が出ているのでCDを持っていはいました。
僕にとって聴いたことがないアーティストを聴くきっかけのひとつがリマスター盤であり、リマスター盤が出ていることを知ると試しに買って聴いてみるという例は今まで結構ありました。
まあ物欲先行と言われればそうかもしれないけど(笑)、なんであれきっかけは大切だと思います。
トラフィックは10年以上前に1st、2nd、バーレイコーンと3枚をまとめて買ったもののどれを聴いてもしっくりこなくてお蔵入り状態となっていました。
別のアルバムなので詳細は別の機会に譲りますが、ロック関係の本では何を見ても名盤と言われている1stが僕にはまるで受け入れられなかったのが他の2枚にも影響を与えていました。
もっといえばスティーヴ・ウィンウッドという人を受け入れられなかった、そのイメージも引きずっていました。
僕は今年になってデイヴ・メイスンを聴くようになり、デイヴが参加しているものがたくさん聴きたくなったとなればまずは彼の出発点であり既にCDが家にあるトラフィックを聴くのはもう筋でしょう(笑)。
もうひとつ正月にたまたまジョー・コッカーのCDを聴きそこに入っているFeelin' Alrightのオリジナルにたどり着いた、いわば2つの別の流れがたまたま一致してこのアルバムにたどり着きました。
いいじゃない、すっごくいいじゃない!
誤解を恐れずに言えばこのアルバムの曲はみな「ちゃんとした歌」であるのがいいところでした。
あ、それは、1stに対する僕の偏見というか理解度不足というかとにかく「なんかちょっと変な歌」というイメージを持ってしまったことの裏返しです。
もう少し言えば、このアルバムの音はサイケデリックの影響が薄いのが僕にはいいところです。
サイケ系はちょっとばかり苦手なのです、僕は。
このアルバムの曲は歌として素晴らしいというのも以前の僕には聴こえていなかった部分でした。
何も考えないで聴けばここには口ずさむのにいい曲がたくさんあります。
これはもうひとえに僕の努力不足というか怠慢というかちゃんと聴かなかったからに過ぎないんだけど、でもやはり音楽は年齢によって聴こえ方が違うということでしょうね。
なお僕が聴いているCDはシングルB面曲やその他音源によるボーナストラックが5曲収録されていますが、それらも素晴らしくてこのCDに限ってはアルバム本編が終わってもそのまま同じ気持ちで充実して聴き通せます。
ブルーズとトラッドの影響が強く出ているのは感じられるけどオリジナリティあふれる音楽であり、何何っぽいというのではなくもう既にトラフィックの音が完成しています。
60年代はロックの基礎が形成されそこから後に広がっていくわけですが、トラフィックが凄いのはこの部分ではないかと思いました。
僕が10代でリアルタイムを経験した80年代ブリティッシュ・インヴェイジョンの中から出てきたバンドはすべてとはいわないけど多くがトラフィックの流れにあるものだったんだと今にして思いました。
簡単に言えば現在まで脈々と受け継がれているブリティッシュ・ロックのひな形がトラフィックだったということでしょう。
そしてトラフィックをまともに聴き始めた最大の余波といえば、スティーヴ・ウィンウッドを好きになったことでしょう。
彼は若くして才能を発揮して英国ロックの重鎮であり続けてきた人ですが、このアルバムのジャケット写真では「インテリ不良青年」といった趣でふてぶてしく構えているのが印象的です。
今では恥も外聞もなく見栄もプライドも何もかもとにかく過去のことは捨て去ってスティーヴ・ウィンウッドを大好きと公言していますが、僕自身もここまで気持ちが変わるとはまったく思っても見ませんでした。
断っておきますが今の僕はそれがうれしくて楽しいですよ。
だって実際にスティーヴ・ウィンウッドの音楽は素晴らしいから!
あれ、デイヴ・メイスンはどうしたの・・・
聴いてますよ。
でも風の噂によればスティーヴとデイヴはあまり仲がよろしくないそうで、デイヴのおかででスティーヴを大好きになったと書くと、デイヴはよろこばないかな・・・
いやデイヴは人が良さそうだからそんなことないでしょう、と勝手に決めてみたり(笑)。
このCDはここふた月ほど聴いていなくて一昨日久しぶりに聴いたのですが、僕の心の中で確かな存在感があるアルバムにのし上がっていることを感じました。
僕の場合、暫くの間聴き込んで一度休んでまた聴き返した時にそのアルバムが僕の心の中にどれだけ入り込んでいるかが分かるのですが、このアルバムはもはや僕の愛聴盤といえる1枚となりました。
そういう音楽との出会いはいくつになってもうれしいものです。
なにはともあれ音楽は素直になって聴くのがいちばんですね(笑)。
◎このCDこの5曲
Tr1:You Can All Join In
デイヴの曲で素軽いフォークソング。
若い頃から気の抜けたヴォーカルで聴かせる人だったんだな(笑)。
Tr2:Pearly Queen
ブルーズの影響は確かに感じるけど「何これっ」という感じの新鮮な響きの曲
デイヴの力強いギターとスティーヴの字余りヴォーカルが面白い。
Tr5:Feelin' Alright
実はですね、ジョー・コッカーで慣れ親しんだこの曲がトラフィックの曲でありここに入っているということ自体、正月にジョー・コッカーで聴くまで認識していなかったのです・・・
とほほを通り越したいいかげんな人間ですが(笑)、でもこれは60年代英国ロックの至宝的名曲ですね。
なんて僕が言っても説得力ないか(笑)。
Tr6:Vagabond Virgin
イントロなしでデイヴとジム・キャパルディが緩く歌い始めるのどかな曲。
聴き終るとむしょうに紅茶とスコーンが欲しくなる英国トラッドの香り高い曲(笑)。
Tr8:Cryin' To Be Heard
これまたもっとブルーズっぽいんだけどやっぱりブルーズとは一線を画す響き。
いやぁ、凄い人たちだったんだなって。