福島第一原発の停電事故。今回の事故を東電は“事故”とは呼ばず“事象”と呼んでいて事故を矮小化している。上田アナウンサーが福島県で取材をしていた。地元ではあまり報道されてなかった。放射能の報道に関してはマンネリ化してしまっている。その一方憤慨している人達も居て「水温が規定以上に上がるまでに4日あるなら逃げなければいけない場合もあるので真実をしっかり教えて欲しい」と「いつになったら本当の事を教えてもらえるようになるのか、福島県民を馬鹿にしているという声もあった」

原因がネズミのような小動物という報道があったが「そんな一匹ごときにやられるなんて」と憤る人と「ネズミすら怪しい、後から持ってきたんじゃないですか」という声もあった。

一方、福島第一原発に入っている作業員の話では「配管やタンクも仮設のまま放置されている」と。「今回整備しなければならない施設が放射線の影響でほったらかしになっている」と「保安施設はとりあえず仮設のものばかり」という事でした。

作業員は「汚染水を溜めるタンクは鉄のボルトで止めているたけの物もあり溶接ができていないので汚染水が漏れていた」という。電源については「今回は冷却システムに関係したので大きなニュースになったが停電はちょくちょくあった」という話だった。

それから汚染水の処理では「普通の耐圧ホースを使っている所もある」という、ホースでさえも仮設ホースであるという。この終末は急遽土日出勤と言われていて何か内部で行われているか気になる所である。

昨日2時34分に地震があったがその時、皆ガソリンスタンドに卒倒して行列ができた。「きちんとした情報を出して判断基準を教えて欲しいと」「命がかかっているので何とか伝わるようにして欲しい」という声が聞かれた。


質「2年も経っているのに仮設の物がかりなのはなぜか」

小出「こんな事故が起こるとは誰も思っていなかったのです。そして4つの原子炉が同時に溶け落ちてしまうような人類が今まで一度も経験した事がないような過酷な事態が今進行しています。それを何とか収束させなければいけないわけで、現場ではいわゆる下請け、孫請けの労働者達が被曝をしながら苦闘としているのです。

でも大変な被曝環境ですので、すぐに完璧な装置を作れるなんて事はないわけで、思ってもいなかった現場で思ってもみなかったような事態に仮設仮設で対処するしかないという。本当に過酷な現場なのです」


質「バックアップの電源を用意する事は難しかったんですか。3.11の教訓は原発は絶対停電させてはならないという事だったんじゃないですか。2年も経ってバックアップの電源も用意できないんですか」

小出「仮設配電盤があったと私も東電の発表で聞いていたわけですが、その仮設の配電盤もトラックの荷台に乗せてようやく現場に運び込んだ物なんです。その現場というのは1時間当たり300マイクロシーベルト」

質「それはどういう値なんですか」


小出「今私が居る自宅の家ですけど、1時間当たり0.05マイクロシーベルトぐらいです。それが0.6マイクロシーベルト、つまり約一桁上がってしまうと、もう放射線の管理区域にしなければいけません。普通の人は入れない場所になってしまうわけです。

そして私が働いている京都大学原子炉実験所にはもちろん放射線管理区域がありますが、その中でも特に被曝が激しい所という場所がもちろんあるわけですが、1時間当たり20マイクロシーベルトという空間ガンマー線量率を超えてしまうような場所は高線量区域として特別に規制されるというのが私の職場です。

その20という数字を聞いていただいたわけですけれども、それが300なのです。もう到底労働者すら普通は行かれないという場所に配電盤があるわけですし、そこでトラブルが起きたといって簡単に見に行く事もできませんし修理する事もできないし。ましてやもっとバックアップを作っておけよという事を、もちろん私は思いますけれどもできないのですそんな事は」


質「今回タコ足配線で原因が中々わかりませんでした。こういうやり方しかできないんですか」

小出「本当はもちろんできるわけだしちゃんとやらなければいけない事なのです。ただあまりにも過酷な事故が今現在も進行しているのです。皆さん何か2年経って事故が収束してゆっくり落ち着いて様々な機器が設置できると思われているんだとすれば全く違います」

質「もし最悪の事態になったらどのような事が予想されるか」

小出「使用済燃料プールの冷却ができなくなったのですね。その事自身が私は大変深刻な事だと思っていますが、事故から既に2年以上経っている現在、使用済燃料プールの底に眠っている使用済み燃料が出している熱、私達が“崩壊熱”と呼んでいる熱はかなり減ってきています。ありがたい事に。

そのため仮に冷却が停止しても使用済燃料プールの水が干上がってしまうとか、そういう状況になるまでかなりの余裕があるという事は私は本当だと思っていますし」


質「4号機の場合で4日少しと言われてますよね。65度を超すのは」

小出「もちろんそんな事はいけない事ですよね。65度なんて人が入ったら火傷して死んでしまうというぐらいの熱湯ですよ。そんな温度のプール全体がなってしまうという事ですから大変な事なんですけれども、その水が100度になって沸騰していってプールの水がどんどん失われていく、2011年3月11日は正にそういう状況で危機的で自衛隊がヘリコプターで水を上空から蒔いたり、東京消防庁が放水車で水を入れたり、本当にとにかく水を入れようとしたという。

あの時から比べれば随分崩壊熱自身は減ってきてくれてますので、今現在で言えばかなり今回の事故に関しても私はまだ余裕があったと思いますので。皆さん大変ご心配になったと思いますけど、今回の事だけで言えばまだ良かったと思います。

ただいついかなる時でもこのように乗りきれるという事にはなりませんので、バックアップを含めてきっちとやはりやらなければいけないと思います。ただそれは全て被曝を伴う作業の上にしか成り立ちません」


質「ロボットで代わりをするなんて事は」

小出「まずできないと思ってください。ロボットというのは教えた事決まった事をやる事はできますけど、わからない事に一つ一つ対処するという事は今のロボット技術にはありませんので、基本的には人間がやると思わなければいけません」

質「そうすると今回冷却装置が停止した所でも8800本以上の核燃料が保管されていると聞きました。それがあれもこれも仮設のそんな中に8800本も眠ってるわけですよね。今回本当にネズミだったとして、ネズミ一匹でこれがまずい事になるかもしれないっていう不安をいだきますがどうなんでしょうか」

小出「仕方がないのです。それほど厳しい状況が今もあるし2012年の12月には野田さんが事故収束宣言などおちう物を出しましたけど、事故は全く収束していないのです。只々水をかけて冷やすしかないという事で2年も続いているわけですし。いつ崩れ落ちるかわからない4号機の使用済燃料プールも未だに手を付ける事ができない。今年の末になってようやく何とかプールの底から使用済み燃料を吊り出せるかなという作業が今津ぢているのです」

質「今回東電の情報隠蔽、告知の遅れというのが全く変わっていないという印象を受けたんですが。今回直後に規制委員会に報告しておきながらメディアとか県にも1時間遅れという事で、そういうすぐに言うべき話しで規制委員会も「話なさい」といって指導すべき話じゃないんですか」

小出「仰る通りです。いわゆるマスコミ、ジャーナリズムの現場に居る方々にしっかりと認識して欲しいし東京電力の発表を待っているというような事ではなくて積極的に何か情報を得る仕組みというんを作らなければいけないと思います」

質「先ほど上田アナウンサーの報告で地元の方が「4日あるとしても避難しなければいけなくなったら時間がかかるじゃないか」と仰っておりました。今回国は須川官房長官は、『ある意味で全く心配ない』と19日午前の記者会見で述べていたんですけど。国のやるような事はこのような事態ではどうであったと思われますか」

小出「まあ間抜けた人達ですね。まあ事故当時も2011年3月11日当時もそうでした。確かに今回の停電に限って言えば、まだ余裕があったという事は私も本当だと思います。しかし思わない事がやはり今回も起きているわけですし、危機感という物を持って対応しなければいけないし、情報を少しでも早く住民に知らせなければいけないわけですけれども、2011年3月11日もそれに失敗しました。

きちっと情報を出す事もできない。何が起きているのか整理して考える力すらないという日本の政府だったのです。未だにそれが続いているわけですし、自分達にやった事、今のあり方というのを本当はもっともっと本当は反省しなければいけないと思います」


質「今回の東京電力の説明を小出さんはどのように見てらっしゃいますか。本当にネズミなどの小動物により電気系統だけの問題なんでしょうか」

小出「今回の停電に関しては私は東京電力の説明に合理性があると思います。ただ逆に言うならネズミ一匹によってこれほどの事が起こってしまう。それを防ぐ事ができなかったという、それほどに厳しい現場なんだという事を改めて教えてくれた現場だと思います」

質「こうした同じ事を防ぐ事ってできるんですか。何をすればできるんですか」

小出「もちろん電源を二重化しておけば今回だって防げたわけですし、トラックの上に載せた配電盤、いわゆる仮設の配電盤んでずっとしのいできたわけですけれども、そうではなくてちゃんとした配電盤をもっと増しな場所に作っておくという事をしておけば良かったと思います。
でもできないのです。それほど厳しい現場があるという事を皆さんがわかって欲しいと思います」


質「そういう意味でも政府の『廃炉に向けた工程に向けた支障はない』というのは全くその通りではないと疑って見なきゃ駄目ですね」


小出「もちろんです。廃炉なんか政府が言ってるようには到底できません」

質「30年40年というのも、もうそんな数字じゃないんでしょ、これは」

小出「もちろんありませんし、30年40年経って、本当に万一うまく使用済み燃料を少しでも増しな所に移せた。溶け落ちた炉心を何か少しでも片付ける事ができたとしても、まだずっと事故は続くんです。何十年も放射能の拡散を防ぐために苦闘をしなければいけないという、それほど厳しい状況です」

質「今回起こった事は福島第一原発だけですか、全国の他ではないんですか」

小出「もちろんありえるわけですね。日本の政府、もちろん自民党がずっとやってきた日本の政府があって、その日本の政府が『原子力発電所だけは絶対に安全です。安全性を確認したから動かしてもいいです』というように言って日本中に50何基もの原子力発電所を作ってきてしまいました。

しかし実際には福島第一原子力発電所で事故が起きてしまったのです。だからどんなに政府が安全のお墨付きを与えたとしても事故というのはお墨付きをすり抜けてやはり起こるという事を今回の事故が教えてくれているわけですから。問題はもちろん福島第一原子力発電所だけではありません。

世界に地震の1割2割が日本で起こると言われる地震国なんですから、こんな所に原子力を作ってしまった抱えているという事をもっと皆さん深刻に受け止めるべきだと私は思います」



今回の停電の原因は、発表ではネズミだと言われているが昨日までの東電のHPにあった発表ではネズミという言葉はなかった。ここまで嘘ばかりついてこられると今回もどこまで本当の事を言っているのか非常に疑わしい。オオカミ少年状態で非常に困る。