原発事故以降、MBSラジオ報道は原発作業員の取材を続けてきました。上田崇順アナウ­ンサーの取材で、作業員の信じられない実態が浮かび上がりました、今の福一の状態は1-3号機はメルトダウンを起こして、4号機は原子炉建屋が爆発し、1.3号機も水素爆発を起こした。2年経った今もメルトダウンした燃料がどこにどんな状態であるかわからない全世界で前例のない事故。

建屋の様子は、一切変わらない。むき出しになって飴のように曲がってぶらんぶらんのまま。線量が高いので容易に作業が進められない。F1内にあった樹や花が全部刈り取られて平たい土になり、そこに汚染水のタンクを建てている。

当面の課題はタンクを設置する事で、敷地内に930個の大小のタンクが設置されていて今も増やされ続けている。これは冷却に使われた放射能に汚染された水の貯蔵である。建屋内にも1日400トンの地下水が流れ込んでいて、その流れ込んだ水がどこにいくのかという事を含めると放射能がどこに行っているのか全体像を把握できない。

容量1000トンのタンクが2日半で満タンになる。今32万トンの総容量のタンクの27万トンが埋まっていて余裕がなくなってきている。使用済み燃料の取り出しを急いでいて、今4号機の燃料プールから今年中に取り出しをする計画になっているが溶け落ちた燃料はどうなっているか、わからないし現在の技術では溶けてしまった燃料の取り出しは不可能であるのでロボットなどの技術開発を急いでいる。

放射線量はJNNの取材によると4号機建屋周辺の空間線量は260ミリシーベルトになると確認されている。建屋周辺の伸びた草などの植物は520ミリシーベルト/毎時。それは一般人の年間被曝量を2時間で超える量である。

4号機は建屋の高い所で作業できるが1-3号機は線量が高すぎて建屋の中に入って作業する事はっできない。

汚染された水を扱う作業は、前後の教育を入れて1ヶ月、実際17-18日の作業で20ミリ、1年分の被曝線量を超える。福一の収束作業には1日3000人の作業員が従事していて、2012年12月の時点で2万4900人ほどの人が福一に入るという登録をした。今の段階で2万5000人を超える人が登録しただろうと思われる。

半年ぐらい前から作業員が忙しくなってきていて、12人でやっている仕事をそっくり受け継いで今は6人でやっているという。1人当たりの負担は倍なのでとても忙しい。作業員の人数が減らされている。東京電力がコストを削減したいがために業者に対して入札するようになった。コストを下げるために現場レベルでは、作業員の方が泊まっていた旅館代、朝夕の食事代を廃止。

それまでいわき市に寝泊まりしていたが、それより近い広野町という所にプレハブやアパートを建てたり空き家になっている民家を借りてそこに作業員に共同で生活するようにさせて食事代も自腹という事にした。これまで大型バスでの送迎もなくした。作業員自身が何人かのグループでワンボックスカーなどで自分で運転して仕事に行くという事にした。風呂の準備も作業員自身にやらせる事にした。

広野町は緊急事避難準備区域を去年解除された所で除染作業する人の拠点になっているがそこの住民の方で戻っている人は少ない。モニタリングポストの数値もいわき市などに比べると高めの数値が出ている地域である。

2年経って放射能に対する感覚がマンネリ麻痺してきている。現場で完全防備でマスクをして作業着を着て来た時は危ないと思っていたが、周りの影響でなあなあになっていくという。Jビレッジの線量を調べて、1キロ(500uSv/h)あると驚いていたが今は、100キロ(50000uSv/h)オーバーの車に乗ったりしていたので感覚が麻痺して1キロはどうという事がないと思ってしまって持ってしまうという。国や東電の体質の失望もマンネリ化している。

賃金も多重下請け構造のため少ないと若い作業員は日当6000-7000円というケースもある。マンネリ打破のために東京電力は作業員にアンケートをってその結果が出たが就労実態に対してのアンケートではこれまでの多重請負についても踏み込んだ内容になっていて「作業を指示している会社と給料を支払っている会社は同じですか」とか「あなたの知り合いに違法派遣、偽装請負這いますか』とか自給、線量の高さによる特別な手当についての質問になっている。27社3000人以上を対象にして回答を得た。

しかし作業員に訊くと「社長の前で書かされた」とか担当の人間がついて「ここはこれに丸しなさい」という。アンケートの内容は「何次受けか、日当はいくらか」「相談する窓口がありますが相談したいですか」など詳細に切り込んでいて良いと思ったが、蓋を開けてみたら会社を通してアンケートが来るので自分では書けない。

そのアンケートによると、最初に言われていた労働条件と来てから労働内容が違っていた人がおよそ13%。その半分が賃金について話が違っていたという風に言っている。東京都の最低賃金が837円。それ未満の人がおよそ5%居る。「何次受けですか」という質問に「わからない」と答えた人を含めると5次受け以上の所に9%。しかしアンケートを配った会社は27社だけでどの程度下の会社まで伝わっているかわからない。

自分がA社という会社に務めているのにも拘わらず「B社にいると言え」という風に言われたり書類にそういう風に書かされたという人が15%いる。偽装請負があった。15%の人が今日の自分の被曝線量がわからないという風に答えている。これもアンケートの取り方に問題があったので実態はもっと高い割合になった可能性がある。

東京電力はこのアンケートの結果を受けて賃金や多重請け合いについて「適切な労働契約や賃金の支払いが行われるよう元請け会社さまを通じて引き続きお願いをした参ります。又元請け会社さまの対策がしっかりと行われているか定期的に調査を実施して参ります」「今後も相談窓口を設置していますのでご活用していただきたいと思います」と回答している。

線量管理についても「放射線が皆様の人体に与える影響について資料配布、健康相談窓口のご案内など引き続き放射線に対する不安を解消する機会を設けて参ります」という風に答えている。

どの時期にこのアンケートの結果を実施しますかという欄には継続と書いてあって東京電力の広報に訊いた所「これまでもやってきましたし、これからもやっていきます」という事だった。このアンケートの結果を受けて対策を行うのかという問に対しては「やってます。こういう新しい事を始めました。人をはけるようにしました」というプラスアルファーの回答はなかった。

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必要な人員も装備も削減されて復興というよりもビジネスになりつつある。作業員の状況は以前よりも悪くなっているように思える。未だに被曝線量がわからないなど作業員に線量計さえ与えてないのだろうか。こんな事をいつまで続けていけるのだろうか。


富岡町の取材、videonews.com