2022年新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
最近なかなかブログを書く時間がなくて放置状態だったのですが、とても珍しい修理がきたのでご紹介したいと思います。
モズライトのトラスロッド折れ補修とタイトルを書いてありますが、折れといってもトラスロッドの製造上別々の金属をつないだ部分がはがれているといったことがほとんどです。
今回はオールドの65年モズライト、とてもカッコイイです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220103/15/guitar-shop-kaede/ba/99/j/o2048153615055929087.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220103/15/guitar-shop-kaede/a3/c2/j/o2048153615055929083.jpg?caw=800)
5.6弦で共振音?がするのでみて欲しいという事でトラスロッドを回したところスカスカで、あれ?となりトラスロッドを抜き出してみたら・・・・
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220103/15/guitar-shop-kaede/23/a5/j/o2048153615055928458.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220103/15/guitar-shop-kaede/16/78/j/o2048153615055929184.jpg?caw=800)
ネジ部分が千切れていますね。(抜いたトラスロッドはサビサビだったので磨きました)
これではトラスロッド調整が効かないので弦を張ったら順反りしてしまいます。
このギターも順反りしていました。
画像のトラスロッドはオールドモズライト特有の弓型といわれるもので黒雲モズライトやその他の一般的なギターとは構造が異なります。
通常ほとんどのギターはシングルロッドという一本の金属棒の先にT字の金属が溶接されており、指板をはがさない限り抜けない構造になっています。
過去にトラスロッド折れのご依頼は何度かご相談いただいたことがあるのですが、私自身溶接に詳しくないのでそのときはお断りしたのですが、何年か前に町内会で知り合った町工場の職人さんに相談してみたところ溶接もできるよってことで今回お願いしました。
ちなみに最初のノーマルの状態はろう付けといって本当の溶接よりもどちらかというとハンダ付けに近い溶接方法がされていたようです。
よって密着強度が弱いので場合によっては剥がれることがあるそうです。
今回は素材的に通常の溶接が出来そうだとのことでより強度の高い溶接をしてもらいました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20220103/15/guitar-shop-kaede/c7/23/j/o2048153615055929240.jpg?caw=800)
溶接後トラスロッドをネックに収めて締め込んでいったところしっかりとネック矯正が効き、順反りを解消することができました。
かなり前になりますがトラスロッドの折り返し部分のろう付けがはがれているものを見たことがあるのですが、ここを付け直す場合はろう付けのほうが良いかもと職人さんが言っていました。というのはトラスロッドを締め込んだ時にトラスロッドの2本の棒が弓のように開いていくのですが、折り返し部分の強度がありすぎると弓のように開きにくくなる可能性があるということで私も納得しました。
楽器修理とはジャンルが少しちがうので引き受けてくれる楽器屋さんは皆無かと思いますが、こんなこともできますということで今回紹介させていただきました。
もしトラスロッド折れで困っているオールドモズライトユーザー様がおられましたらご相談下さい。
ギターショップカエデのホームページ