あたしはずっと
頭のどっかで
「いつかは殿と
一緒になるんだろうな」と
思ってた。
殿とは 運命みたいな
縁みたいなものがあって
切っても切っても
繋がり続けた糸が
最後には交わるもんだと
ぼけっと思ってた。
「玲は素人受けしない」と
水商売だったころは
よく言われた。
あたしの客はみんな
癖のある人が多かった。
堅気じゃない人や
ネジ一本飛んじゃってるような
大会社の社長みたいなのに
とても可愛がられた。
「普通」に死ぬほど憧れて
あたしが恋をしたのは
「普通」の男だった。
でも普通の男には
あたしは受け入れられなくて
やっぱりあたしを
大事にしてくれるのは
普通じゃない男だった。
それが殿。
水商売を辞めて
収入が減っても
普通のことが幸せだと
思えるのに
殿は普通のあたしじゃ
ダメらしい。
キャバ嬢の誰々ちゃんが
可愛いとか遊びたいとか
ぐだぐだそんなこと
言われて
「でも俺、玲しか
抱いてないよ。偉いでしょ」
ってゆうから
「へぇ。嘘吐く男は嫌い」
と言った。
別に付き合ってる訳じゃない。
だから殿の下半身を
信じる必要もない。
下半身よりも
あたしはもっと殿の
大事なものを信じていたから。
誰を抱こうが、
遊ぼうがあたしには
どうでもよかった。
でも殿は あたしが
女として産まれてきて
過去最低で最悪な裏切り方を
あたしにしてくれた。